薬師ギルド
今日は皆と一緒に薬師ギルドに行きます。
昨日採取したクサノオウを持っていって、効能とかの説明をするんだって。
いきなり持っていって大丈夫なのかはわからないけど、せっかく新しい薬草がみつかったのだから、ちゃんと世の中に出して皆の役にたてないといけないって。
そうだよね、こちらの世界は魔法があるとはいえ、病気だってあるし、魔獣がいるので怪我のリスクも高い。
薬草が身近にあって簡単に採取できるのは、凄く良い事なんだって。
それを聞いて、タブレットだけが全てでいつも見ていた機械の中の世界の知識が役にたつことがこんなに嬉しいって思って、ふいに涙が出そうになった。
「どうしたのヒオ」
そんな僕の様子を見てアレスが声をかけてくる。
「僕の知ってた事が役にたって良かったなーって」
「ヒオはいい子だね」
アレスがニッコリ笑いながらまた頭を撫でてくれた。
やって来ました、薬師ギルド
他のギルドより人が少ない。
奥の方にカウンターがあってマッチョなおじさんが座っていた。
僕の薬師ギルドの勝手なイメージはヒョロットした秀才風のお兄さんかおじさんだっんだけど・・・
僕達がそのおじさんに向かって歩いて行くと、おじさんが僕達に気が付いて視線をよこした。
「いらっしゃいませ。お薬をお探しですか?」
「いや、そうではなくて」
ラクストがカウンターに昨日、採取したクサノオウを置いた。
「これは?」
マッチョなおじさんが目線だけをクサノオウにやる。
「これは道端にどこでも生えてる草だ」
「知ってます」
「だが、ただの草ではなかった」
「は?」
「これには、鎮痛作用、消炎作用、皮膚疾患、打撲、腫れ物、虫刺されに効能がある」
「は?」
「俺も今まで知らなかったんだがな。だがいきなりそんな事を言われてもそちらも困るだろう。たから情報だけを届けにきた。一応、根がついた状態の物と上だけの物を採取してきた」
ラクストがそこまで話して昨日採取してきたクサノオウを全てカウンターに置く。
それでもマッチョのおじさんはまだ思考が停止したよう
に動かない。
「あの、大丈夫ですか?」
アレスがマッチョおじさんに声をかける。
すると
「ふざけているのか?」
そう地を這うような声を出し睨み付けてきた。
怖い。僕はギュッとラクストにしがみつく。
「気持ちはわかるが、ちょっと落ち着いて話しを聞いてくれないか?」
「ふざけるな」
「ふざけてはいません。実際に使えるようになるには薬師ギルドが検証した上でしか答えが出ませんでしょうし」
アレスも一緒になって説明してくれるが、マッチョおじさんはまだ、何言ってるんだこいつらって顔して睨んでくる。
「こんな道端に生えていて、当たり前にある物の薬効に我々が気が付いていないなど」
「だが、確かに薬効はあるらしいし、それを調べてもらう為にここに持ってきたんだがな」
「そんな事は・・・しかし」
そこに別のマッチョおじさんがきた。
「どうしたのですか?」
「ギルドマスター」
今度きたのはギルドマスターらしい。
「こちらは?」
「王都のA級冒険者のラクストとC級のアレス、見習い冒険者のヒオ、従魔の毛玉、冒険者パーティーの青の雲です」
そう言うとギルドマスターは少し驚いたような表情をした。
「青の雲。聞いていますよ。ようこそ」
ギルドマスターさんはそう言って僕達をカウンター近くの個室に案内してくれた。
さっきのマッチョのおじさんは不審そうに僕達を見送っていた。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「実は、俄には信じては貰えないと思いますが、この野草なのですが薬効成分がある事がわかりました」
アレスが代表して話しだす。
「この野草にですか?これはその辺の道端に生えている野草ですよね?」
「そうです」
「なぜ、それがおわかりになったのですか?」
その問いにアレスがラクストに視線を送ると、ラクストが頷いた。
「王都から情報は来ていると思いますが、我らはフェンリル様と共に旅を始めました。この街には魔道具を買う為に立ち寄りました。その道程でフェンリル様からこの野草、クサノオウと言うそうですが、こちらに薬効があると教えて頂きました」
そう、この野草の事は僕ではなく雪が教えてくれた事にしたのだ。
その方が変に突っ込まれないだろうと昨夜話しあってきた。
「そうですか、フェンリル様が・・・」
ギルドマスターはクサノオウを手にとり、じっと考えるように目を閉じた。
「わかりました。それで薬効とは?」
「鎮痛作用、消炎作用、皮膚疾患、打撲、腫れ物、虫刺されだ」
「それほどの薬効が・・・」
「まぁ、後はそちらが検証した上での発表になるだろうし、実際に使えるようになるには時間もかかるだろうと、ですがこれが薬草として皆に広まれば、助かる人も増えるだろうし、見習いの子達や新人冒険者の助けにもなるだろうと」
「そうですね。早速検証にかかりたいと思います」
「よろしくお願いします」
アレスが丁寧に頭を下げるとギルドマスターが少し慌てた様子になったが、アレスが首を軽く横に降ると納得したように頷いて
「かしこまりました。しばしご協力をお願いするかも知れませんが」
「かまいませんよ。今フェンリル様との合流待ちでもありますしね」
「そうですか、ありがとうございます。それにしても、こんな事があるのですね。今までたたの野草だと思っていた物が薬草であるとか。年はとっても、まだまだ勉強ですね。楽しみが増えました」
ギルドマスターはそう言って嬉しそうに笑った。
そう言って貰えて僕は嬉しくなりニコニコです。
ラクストもほっとしたように肩の力を抜いてる
「では僕達は今日はこれで失礼します」
アレスのその言葉で僕達は席をたち薬草ギルドを後にした。




