野宿じゃない?
フワフワの真っ白の毛と腕の中の黒い毛
僕が目覚めて目にしたもの。
僕はお昼ご飯の途中に寝てしまい、雪の背中に寝かされて、お昼からは寝たまま過ごしていたらしい。
残念、まだイロイロ見たかったのに。
そう言うとラクストが、笑いながら、まだ冒険一日目なんだから慌てる必要はないさと言って、僕の頭をグリグリした。
それでも、まだお日さまはお空の上、さっきの草原とは違って少し、木がはえている。
「ラクスト、小鳥、ほら小鳥がいるよ」
「そうだな」
「沢山いるんだね」
「ああ、この木に巣があるんだろう。集まって作ってるんだ。他の魔物に襲われた時に対抗する為にな」
「魔物?」
「ああ、蛇の魔物もいるし、フライ系の魔物もいるからな」
「ふーん」
色んな魔物がいるんだね。外の世界は凄いね、沢山の生き物が生きて、僕、もっともっと沢山の事が知りたいよ、沢山遊びたい。
ヒオは大きく深呼吸してこの世界の匂いと風を感じて、嬉しくてニッコリと笑った。
「雪、僕少し歩きたい」
「わかった」
街道は他の草の道と違って沢山の人が歩いたり、馬車が通ったりするので硬く踏みしめられている。
道の端には小さな花が咲いていて、昔タブレットで見たクサノオウにとっても似ている。
黄色いの4枚の花弁に中央から緑のガクが出ている所もそっくり。
あまりにじっと見ていたからか雪が横にきて首を傾げた。
「どうした」
「ねぇ雪、これあっちのクサノオウに凄く似てるね」
「気になるなら、摘み取ってリュックに入れて見ればいい」
「リュックに?」
なぜリュックに入れるのか不思議に思いながら摘み取り入れてみる。
「もう一度、その花の事を考えながら手を入れてみなさい」
「うん」
雪に言われたとおりにすると、目の前にタブレットが表れて、今入れた花の情報が表示された。
「クサノオウ、野草、鎮痛作用、消炎作用、皮膚疾患、打撲、腫れ物、虫刺されに効く」
あっ、本当に前の世界のクサノオウと同じ薬効だ。
でも、確かクサノオウは毒性が強かったと思うんだけど、この世界では毒性がなくなってるのかな?
そうだったら凄く便利だな。
「どうしたヒオ」
「ラクスト、この黄色いお花が咲いてる野草は薬草だね」
「ん?薬草?この草がか?」
「あれっ、この国では薬草として使ってないの?」
「聞いた事がないな。どんな作用があるんだい」
アレスも不思議そうに隣に屈みこみ花を見る。
「えっとね、鎮痛作用、消炎作用、皮膚疾患、打撲、腫れ物、虫刺され・・・かな」
「「そんなに!」」
「でも、ヒオどうしてそんな事を知ってるんだい?」
「えっとね、バッグに入れてから出したらタブレットに表示された」
「タブ・・・レット?」
あっ・・・タブレットって言っちゃった。
そーっと雪を見ると雪は苦笑いのような表情をして
「こやつらならかまわぬ」
って言ってくれた。
「あのね、バッグに入れてから情報が欲しいって考えたらタブレットって言う画面が表れて、あっ、タブレットってこの世界のステータスオープンの時に見えるようなやつなんだけど、そこに情報が表示されたんだ」
「ふーんって、ちょっと待て、何でバッグに物を入れて出したらそんな表示されるんだ?そのバッグは鑑定が出きるのか?」
その質問には雪が答えた
「おそらくだが我が鑑定が使えるゆえ、ヒオも無意識に使いバッグに装備してしまったのだろう」
「無意識って」
ラクストは頭を抱え、アレスは苦笑いをこぼした。
「まぁ、そこを考えても、もうしょうがないんだろうな。さてと、それはそれとして、この草が薬草だとして世の中に知られていないんだが、それだけの効能があるなら知らせないのはもったいないよな。まして、探さなくても何処にでも生えていると・・・よし、採取していこう」
「採取?持っていくの?」
「ああ、薬師ギルドに持って行って話しをしよう。この野草にそれだけの効能があれば、これからの研究によっては沢山の人の助けになるし、道端に生えているから見習い冒険者や孤児院の子供達の小遣い稼ぎにもなるしな。ただそうすると数日出発出来ないがそれでもいいか雪?」
「ああ、かまわぬ。その間に我は少しそこの山の上まで行って来る。すまぬがヒオを頼んでも良いか?」
雪が街道からそれている何キロも先の山を鼻で指し示して言った。
「雪、どこかに行っちゃうの?」
僕が不安そうに聞くとスリリと頭を擦り付けて
「心配しなくても良い。あそこの山にも魔力溜まりが小さいがあってな、そこの浄化を済ましてくる。ラクストやアレスがいるから大丈夫だ・・・毛玉もな」
毛玉が不満そうにニヤッと鳴き雪が毛玉の名前も呼んだ。
「いい子にしていろよヒオ」
「うん、わかった。雪いってらっしゃい」
「ああ」
そう言うと雪はふわりと浮き、駆けるように空を飛んで小さくなっていった。
その間にもラクストとアレスはクサノオウの採取を始めている。
半分は根っこごと半分は茎から上だけ。
理由を聞くと根っこごと必要かも知れないから半分は根っこごと持っていくが、根っこが必要でないなら根絶やす事なくこれからもこの場でクサノオウが採取てきるように根を残すんだって。
確かにその方が自然の為にもいいよね。
僕も採取の手伝いをして、沢山のクサノオウを取った。
暫く3人でクサノオウの採取をし、少し日が傾いてきたところでラクストがズボンの埃を払い
「さて、もうそろそろ街に入りう」
「ラクスト?今日はお外に泊まらないの?」
「うん?ああ今日は街に泊まるんだ。この野草を薬師ギルドに持って行かなきゃならなくなったし、王都では高くて買いづらい物があってな、それをここで購入してから外にいくんだよ」
「買いづらい物?」
王都はあんなに大きいのに、あっ、でも高くてって言ってたね
「それはなーに?」
「それはな、毒虫や小さな魔獣をテントに入れない為の魔道具でな」
「魔道具!」
「そうだ魔道具、中に入れる石は魔獣を狩った時に手に入るからな」
「ふーん」
そう、石は自分達でどうにでもなるんだって、でも魔道具はちゃんとした所で買わないと、変な物を買わされて、ちゃんと効かなくて毒虫に噛まれてしまったりすると時と場合によっては命に関わるような事になってしまうんだって。
だって街まで10日もかかるような所で噛まれたりしたら治療が間に合わない事だってあるから。
もちろん、皆その時の為にポーション等を持ち歩いているらしいけど、魔獣とかと戦った時の為にポーションはとって置きたいからって。
今日泊まる街はそんな魔道具を専門に扱っている街なんだって。
王都にもあるらしいけど、やはり魔道具っていったらこの街メニックなんだって、信用もできるし、王都よりも安いんだって。
「ほらっ、ヒオ来い」
ラクストが僕を捕まえて肩に乗せます。
毛玉はアレスの肩に乗っかってます。
「アレス、街までどのくらい?」
「ここからなら夕方には着くよ」
「僕、歩いて行ける?」
「それは無理かなー夜になっちゃうよ」
「ぶー」
「ほらほら、そんな顔しないの、まだ旅は始まったばかりだよ。これからいくらでも歩いて行けるからね」
「はーい」
ラクストがクスクス笑うのでペチンと叩きます
「ラクスト歩いて」
「ハイハイ」
まだ笑いながらラクストが慣らされた街道を歩き、暫くすると砦に囲まれた街が見えてきました。
街の入り口の前には衛兵が立ち、商人や冒険者のチェックをしています。
僕達もその列に加わり、衛兵さんのチェックを受けます
ラクストのギルドカードを見ている衛兵さんは小さな声でA級って呟き、青い雲ってパーティー名を呼んで顔を上げました。
「ああ、青い雲のラクスト、アレス、見習いのヒオ、従魔だ」
「ありがとうございます。メニックにようこそ」
「数日世話になる」
「はっ」
衛兵さんの敬礼に僕も手を降り街に入ります。
メニックの街はドワーフさんが沢山歩いていて、他にも杖を持って歩いている人も沢山います。
この街が魔道具作りの街であるのを象徴するような光景だった。
お店の前にも沢山の魔道具が並び、多くの冒険者が手に取り、ためつすがめつしている。
「ラクスト、僕も見たい」
「宿を決めてからな」
「うん」
沢山の魔道具のお店を見ながら街の中に向かいます。
暫く歩きラクストが向かったのは3階建ての明るい緑の外壁の小ぢんまりとしたお宿。
「いらっしゃいませ。おや、ラクスト久しぶりだね」
「やぁ、スネル、とりあえず今日から6日お願いできるか?一人部屋1つと2人部屋が1つ、2人部屋の方は従魔が2頭、今はいないがもう1匹は狼だ」
「従魔がいるなら一階の並び部屋でいいかい?」
「頼む」
従魔がいるとトイレの問題があるから一階になる事が多いんだって。
トイレは魔道具で洗浄されるようになっているけと、従魔は外の方がトイレしやすいから。
外のどこでしてもちゃんと洗浄されるんたって、魔道具って凄いね。
「いつも通り先払いだよ。朝食付きで1人部屋は3クロス、2人部屋の方は従魔もいるから外も付いて7.8クロス」
クロスは金貨でスピは銀貨、ルキは銅貨ロクは混合貨なんだって。
僕は前の世界でも買い物した事ないから良くわからないけど、雪が言うには、あちらの世界と価値はあまり変わらなくて
金貨は10000円ぐらい、
銀貨は1000円
銅貨は100円
混合貨は10円程って事だった。
だから1日5000円って事だね。従魔が3000円かな?
魔道具を使ってるからだろうな。
「それで頼むよ」
「はいよ」
鍵が2つ渡される。凄い、カード型だよ。
部屋の前にくるとラクストがカードを専門の魔道具に通して開けます。
ラクストに聞くとこの街以外ではカードではない所もあるらしいから、やっぱり魔道具の街だから最先端なんだね。
この街での散策がとっても楽しみ。




