ラクスト・・・
俺はラクスト
この国、マンゼミン大国の首都キリシでB級冒険者をしている。
このマンゼミン大国は元々はこの大陸の深い森側にあり、周りを3つの国に挟まれたマンゼミン国と言われていた。
しかし26年前にこの世界に摩嵐が吹き荒れて森という森から魔獣が溢れ周辺3ヶ国も全て蹂躙された。
元々が森の魔獣と戦いながら生きていたマンゼミン国も森から溢れた魔獣によりかなりの痛手を受けたが、それでも魔獣との戦いかたを他国より知っていただけ他の3ヶ国に比べれば遥かに微少な被害ですんでいた。
そこでマンゼミン国に各国が助けを求めた。
しかし、他国に部隊を派遣するには協定があったり、その国の貴族間の覇権があったりで、なかなかスムーズに部隊を派遣する事ができなかった。
それにブチぎれたのが現王、当時の皇太子だった。
「このままだと、国っていう器は残っても民は1人もいなくなるぞ。そこで覇権争いなんぞしたところで、何が残るっていうんだ。自分達の民を残したいなら国境なんぞ今すぐとっぱらって協力しろ」
その言葉に気色ばんだ他国の大臣もいたが、隣のアリラ国の皇太子が腰に挿した剣を置き、我が民を1人でも多く救って頂けるのであれば今すぐ臣下に下りましょうと頭を下げたのを見て他の2ヶ国も最終的には臣下に下る事を承諾した。
それ程までに魔獣の勢いは凄まじく場所に拠っては無人と化した街や村がどの国にもあり、その勢いは衰えるどころか増してさえいた。
現王の一喝により4ヶ国は国境をなくし、各国の兵士や冒険者だった者達は協力しあい魔獣と闘う作戦をたてていった。
とくにマンゼミン国は強くなりたいと魔獣と闘う事の多いマンゼミンに移ってきた冒険者も多く、階級を上げ名を馳せた冒険者が数多くいた。
また兵士も、皇太子自らが魔獣がでると前線にでて行ってしまう為に、そのガードをする為に闘かわらすにはいられないという身を削るような日々を過ごしていたので力を持った兵士が多かった。
よって作戦のほとんどがマンゼミン国の兵士、冒険者中心で立てられ少しづつではあったが魔獣の討伐が行われていき、最終決戦とも言うべきワイバーンやトロールの襲撃をフェンリルである雪の力も借り凌ぎきって3年の月日を費やして摩嵐を乗りきったのだ。
その間のフェンリルの雪の活躍は凄まじく、魔洞窟から溢れてくる翼のある魔獣や人の力ではかなりの犠牲が出ても不思議ではない魔獣の討伐など、まさに神のごとき働きで、街を国を救った。
現王とはその頃からの親しき付き合いであった。
その後、復興の中で4ヶ国は1つの国として建つことになりマンゼミン大国となった。
現王は面倒くさがってまたそれぞれの国に戻ればいいと思っていたのだが、現王の統率力や破天荒さに共にある事を望んだ者が多かったのだ。
その頃からこの街はこの国の中心だった。
そこでB級冒険者として活動していた俺は相棒と二人でパーティーを組んで護衛や討伐の仕事をこなしていたが、
相棒がある日、泊まった宿の1人娘に一目惚れし、アタックに次ぐアタックの末に結婚する事となった。
嫁の親とかからは冒険者が出来なくなってから宿の手伝いをしてくれればいいと言われたらしいが、奴はちょっとでも早くちょっとでも長く嫁といたかった。
結論として、冒険者引退となった。
まぁ、それで俺はソロとなったわけで、この日は1人でも受けられる仕事がないかギルドに足を向けドアを潜った所だった。
「ラクスト良いところにきたな。ちょっとこい」
奥の小部屋からギルマスが顔を出しており、俺を見つけると手招きをした。
俺は躊躇う事なく小部屋に向かいノックとともに部屋に入った。
そこには十代後半ぐらいの少年、五歳程の子供、白い・・・狼?見た目は狼だが?
それから黒猫がいた。
ギルマスの話しとは、この少年と子供が冒険者と見習いになりパーティーを組んで旅に出るので冒険者に必要最低限の物と旅に必要な物を揃えるのを手伝えというものだった。
そんなもの普通はこれまでの間にコツコツとためてきたりして準備する物だが、足りない物を聞いて準備してやれって事なのか?と不思議に思いながらも了承した。
その翌日からの買い物は驚く事ばかりだった。
まず見習い、ヒオという子供、肌着から靴下、靴すら今身に付けている物以外ないという。
なんだ?どこかから逃げてきたのか?
それにしては怯えている様子はないし、周りも隠そうとはしていない。
また少年の方も今着ている物以外は何もないという、だが少年の方はどこか良いところの子息だったろうと判る身のこなしや話し方だった。
なのに何1つない・・・
持っている物といえば、肩から下げているリュックにもなるバッグ、そしてしっかりと使い込んでいる剣のみ。
訝しいみながらも、まぁ俺は全て整えてやるだけだと割りきり、二人から欲しい物を聞き出しつつ必要な物を揃えていった。
気になるといえば、白い狼の視線を感じる事。
ふとした瞬間に見られている事を感じるのだ。
明らかに気のせいではないのだが、意識を向けると気配を外されるのだ。
そんな日が数日続いて、俺は買い物に付き合いながら、この2人の危うさに危機感がどんどん募ってきていた。
まぁ、情が移ってきているせいもあるのだろうが
そして、買い物ついでに昔の冒険者仲間の所に行き旅の食事事情を面白おかしく話していて、ふと気が付いた。
この2人、多少の魔法が使えるらしいが、料理はどうするのかと。
まぁ勿論、パーティーによっては乾燥肉なんかを齧ったり携帯食を利用している奴らもいるが・・・
ヒオに食事の話しをするとヒオが料理をすると言い出した。
だが、料理は多少できても、この2人魔獣の解体も出来ないのではないか?
まして白い狼がとってくる魔獣とすれば大きい魔獣が考えられる。練習してから旅に出させるか?
そうやって考え始めると気になってしょうがないのだ。
ここ数日ですっかり懐いて俺の肩の上でキャラキャラ笑ってるヒオ、ヒオを気に掛けながら気を張ってる様子のアレス。
気にしたってしょうがないだろうに2人と別れた後もついつい2人の事を考えてしまっている自分に気が付く。
「あーこれはもう情が移っちまった時点でそういう事かなー」
と1人ごちた。
そして翌日の朝、俺はヒオ達の宿に向かわずギルマスの所に向かった。




