お買い物
やってきましたお買い物。
まず来たのは冒険者ギルドの中の小さなお部屋。
体格が良く、眼光の鋭い顎髭のある黒髪の叔父さんがドツカリと座っています。
ギルドマスターさんという偉い叔父さんなんだって。
「宰相様から話しは聞いておりますがフェンリル様と王子様、本当に冒険者として旅をされるおつもりですか?」
「はい。もともとはフェンリル様とヒオ、毛玉の旅に私が同行する事になりました」
アレスはニコニコとしながら返事をした。
それを聞いてギルドマスターはおでこに組んだ手をあてて深い溜め息をついた。
「なりましたと言われましてもですね」
「ギルドマスター、私、いや僕はこれから冒険者になるのですからどうぞ敬語はやめて下さい。それでですね、僕達だけでは何を準備すれば良いのか、さっぱりわからないので、どなたかお買い物をお手伝いしてくれる人を紹介して欲しいんです」
「・・・わかりました」
「ギルドマスター敬語ですよ」
アレスがにっこり笑いながら指摘する
「・・・わかった。買い物なーどうすっかなー」
ギルドマスターが頭をガシガシとかき回しながらドアを開けた。
そこからは冒険者ギルドの受け付けカウンターが見える。
いかにもなお兄さん達が沢山いて、受け付けに並んでいる人やボードの前で何人かと相談している人、奥のカウンターでお酒を飲む人達と結構ワイワイ、ガヤガヤとしている。
そしてそこに外から入って来た青年がいた。
その人は赤い髪に黄緑の瞳をしていて、身長は190ぐらいの長身、身体付きは筋肉質ではあるが筋肉マッチョではない。うん、何かスポーツマンって感じのイケメン爽やか青年です。
皆もその青年の事は知ってるようで、イロイロな人に声をかけられていた。
その青年に向かってギルドマスターが声をかける。
「おー丁度いい所にいい奴がきたな」
そう言いニヤリとする。
「おーい、ラクストちょっと来い」
「なんすか、ギルマス」
軽やかに部屋まで来たラクストと呼ばれた青年にギルドマスターは当たり前の様に命令する。
「お前、今からこいつらを連れて買い物行って来い」
「はっ?買い物?なんで?」
「この二人はこれから冒険者になるんだよ。んで必要な物を揃えなきゃならなくてな。すまねーが一緒に行って手伝ってくれ」
「はぁー?何言ってんすか?冒険者になるから買い物?そんなもん、自分達で少しずつ揃えていくのが当たり前でしょ」
「そんなのは判ってんだよ。いーから行け」
「何で俺っすか」
「お前、この前のペナルティがあるだろうが」
「はっ?ペナルティ?」
「お前の付いてた昇格試験中の冒険者パーティーが商隊の運んでた馬車守りきれなくて一台、荷物ごとダメにしちまっただろうが」
「なっ、あれは、俺じゃなくて、あいつらだろう」
「お前、こいつらは一台ダメにしただけて、頑張った。俺に免じて許してやってくれって言ってただろうが」
「本当に、頑張ったし、最後の一台はほとんどがキャラバンが使った水が入ってた空の樽だけで・・・」
「俺に免じてって言ったろうが」
「・・・言った」
「言ったな。それにお前、相棒が引退して今暇してるだらうが」
「くっそーわかったよ。行くよ」
そう言うとラクストと呼ばれた青年はアレスと僕の方に向いた。
「ラクストだ。よろしくな」
「でっ、買い物って何がいるんだよ」
僕とアレスほ顔を見合わせニッコリ笑って二人そろって言った
「全て・・・です」
ラクストは意味が解らないと言うように片眉をあげた。
ここは街中である。
僕らはラクストに連れられて街に出てきた。
雪は大型犬サイズになり背中に毛玉を乗せている。僕はアレスに手を引かれて歩いていたが、不意にラクストがヒョイと僕を持ち上げて片方の肩に僕を座らせた。
「うわぁー高ーい」
いきなり2メートル近くある男の肩に座ったのだ、今までの目線こらは見えなかった街の様子が見えた。
「お前の足に合わせてたらたどり着かないからな」
「ブーそんな事言ったって僕まだチビだもん」
「おっ、わかってんじゃないか。そうお前はチビで足が短いからな」
僕は短いの言葉に近くにあるラクストの頭をぺチッと叩いた。
「いいんだもん、これからヒオは大きくなるんたもん」
「おー頑張れよ」
からかうようなラクストの言葉にさらにペチペチとラクストの頭を叩いた
「痛てて、ほら着いたぞ。まずはバッグからだ。入れ物が必要だからな。アレスもバッグが必要か?」
「いや、わた、僕はバッグは持っています」
「そうか、ただこれから旅に出るんたったら、一つでは足りないぞ」
「あーそうですね・・・ラクストさん店に入る前にお話しが」
アレスはラクストを呼び止め耳に顔を寄せるように囁いた。
「私のバッグは時間停止のマジックバッグです」
「はっ?」
「そうなんです。なので僕には大きいバッグは必要ありません。気に入れば小さいバッグは購入したいと思っていますが」
時間停止のマジックバッグってなんだろう?
不思議に思ってアレスに聞こうとしたら急に頭の中に雪の声が聞こえた。
『ヒオ、後でちゃんと説明してやるから今ここで声に出して聞いてはならぬぞ』
僕はその言葉にそっと雪を見て頷いた。
僕が雪とそんな念話をしている時、ラクストとアレスも会話を続けていた。
「やっぱり、ただの少年ではないんだな。ヒオも何かありそうだし、何よりこの白い犬も黒い猫も普通の犬猫じゃないだろう」
ラクストはそう言いながら僕達を見回した。
アレスはその言葉に苦笑いを返した
「さすがでさね、ラクストさん先程ギルマスに聞いたのですが、B級冒険者さんなんですね」
「あー相棒と二人でチームを組んでやってたんだ。今はさっきギルマスが言ってたように相棒が引退しちまって一人だがな」
「そうですか。まぁ、その話しは後にしてバッグを買いに入りましょう」
「ああ、そうだな。ヒオのリュックを買わないとな」
「うん」
ラクストが僕を見てにこりと笑うので僕は元気に返事をした。




