足手まといにはなりたくない
戦闘試験から2日後。アリスはとある人物に呼び出され、射撃訓練場の扉の前に立っていた。
「あのー、すみませーん。アリスですけどー」
用件は分かっている。何故ならアリスから懇願した事だから。
アリスは堂々と射撃訓練場に足を踏み入れる。
すると中には二人の職員が何やら言葉を交えていた。
一人の顔は知らない。だがもう一人は知っている。
ディアンと自分をここに招き入れてくれた人物。ナガレだ。
ナガレはこちらに気が付くと「来てくれたか」と手を振る。
アリスが歩み寄って行くと、隣に立つ女性はにこりと微笑む。
「こんにちは。アリスくんだね。私は射撃訓練場の教官の椎名ユキだ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
差し出された手を取り、アリスも言葉を返した。
「さてと」
挨拶は程々に、ナガレは本題へと入る。
「本当にいいんだな?」
「はい。いつまでも足手まといは嫌です。隣に立つのは無理でも、自分の身くらいは自分で守れる様になりたいんです」
「覚悟は決まっている様だな」
そう言うとナガレはポケットに入れていた拳銃を差し出し、アリスは躊躇なく受け取る。
「ありがとうございます」
重い。ずしりとした感覚は、それが武器である事を実感させる。
それは命を奪うにはあまりにも軽い。
だがアリスは奪う為に手に入れたのではない。
拳銃があれば―――
「これで私も少しは役に立てる」
ディアンの負担を減らせる。
その為の手段だ。
「じゃあ俺は行く。後の事は頼むぞ椎名」
「了解」
ナガレが去った後、二人は場所を移動する。
「じゃあ撃ち方を教えるよ」
「お願いします」
そして乾いた発砲音が射撃訓練場に反響するのだった。




