殺らなければ殺られる
大量のナイフが迫る中、ディアンは防壁を作る為に血を操作し、自身とアリスを覆い隠した。
弾丸の如く降り注ぎ続けるナイフ達。
大量の血を圧縮し生成した分厚い壁にぶつかり続ける音が絶え間なく中に響いている。
もしも破られれば確実に死ぬ。
ディアンはアリスの上に被さり、嵐が過ぎ去る時を待つ事しか出来なかった。
そしてどれ程の時が経ったのだろうか。
終わりの見えない暗闇では何時間にも感じられた。
「と……止まったの……?」
アリスは不安げに呟く。
防ぎきった。
ナイフは一本たりとも内部に侵入していない。
きっと外から見ればここはナイフの山となっているだろう。
「小娘、今から壁を解く。大量のナイフが降ってくるから体を丸めてろ」
「アンタはどうすんのよ」
「オレは……。とにかく自分の身を守れ。いいな、解くぞ」
アリスからの質問にハッキリと答える事はなく、ディアンは防壁を解除する。
針山の様に突き刺さっていたナイフが音を立てて崩れ落ちてくる。
アリスは体を丸め、防御体勢をとる。
そしてディアンは崩れ落ちるナイフを押し退け、ディリックの元へと向かった。
もう躊躇はしない。情けもない。
あまりにも危険な能力だった。
同じ攻撃が後何度あるかも分からない。
ここで殺らなければ確実に殺られる。
虚をつかれたディリックは目を見開いている。
ディアンは鎌を作り出すと、これまで抱いていなかった殺意を込め、全力でディリックを斬り伏せた。




