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本気の能力

 ディアンの驚きの声にディリックは高笑いをする。


「そうさ!テメェが遊んでなかったら、こうなる事はなかった!不殺を貫こうとした結果テメェは死ぬんだ!」


 ディリックの高笑いが響く中、微かにだが何処からか金属類がぶつかり合う音がする。

 だが何処を見渡しても正体がつかめない。

 しかしすぐにその正体は判明する事になる。


「何だあれは……」


 空を覆う程のナイフ達。

 それが意思を持った様にこちら目掛けて飛んで来ている。


「今までにマーキングした物体がテメェを襲う!つまんねぇ戦いになるから使わねぇようにしてたんだ。けど、テメェはオレを怒らせた!地獄で詫びな!」

「クソが……ッ!」


 自滅上等の最後の手段と言う訳だ。

 これまでとは比にならないレベルの量。

 これまでと同じ様に防ぐ事なんて出来ないだろう。

 それにこのままだとアリスも巻き添えをくらってしまう。

 一か八かの賭けに出るしかない。

 ディアンはアリスの元へと走り始める。

 その道中、ナイフを一つ拾いアリスの元へ辿り着くと、そのナイフで自身の首、左右の頸動脈をかっ斬った。

 困惑するアリス。だが今は事情を説明している時間はない。

 ディアンが吹き出る血液を操作するのとほぼ同時。

 ナイフ達が弾丸の如くディアン達のいる場所に降り注ぐのだった。

 轟音を撒き散らし降り注ぎ続けるナイフ。

 そして長くも短い時が過ぎると乾いた風の音だけが響き、静寂の訪れを実感させる。

 ディアン達がいた周囲にはナイフで出来た大地が産み出されていた。

 加えてディアン達のいる箇所には大量のナイフが突き刺さり球状の物体へと変貌している。


「つまんねぇ最後だったな」


 望んだ結末とは違う。

 ディリックにとってこの終結は最も不服とする所だ。

 最高の殺し合いが出来る可能性は十分にあったのに。

 しかし想い馳せても結末は変わらない。


「ガキ、肩貸せ」

「うん」


 ディリックは少女の体を支えにして何とか立ち上がる。

 戦いは終わった。

 ディリック達がその場を後にしようとした次の瞬間―――

 ディアン達に突き刺さって出来た筈のナイフの球体が崩れ去った。

 そして崩壊する球体の中から一人の男が飛び出してくる。


「撤回する。最高だ」


 そしてその男は鎌を作り出すとディリックの胴体を全力で斬り伏せた。

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