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終わらない追尾

「どうするつもりだ?接近戦でオレに手を出させない寸法か?」

「さぁな。オレに出来る事をするだけさ」


 ディアンは突っ込むと胴体を真っ二つにする勢いで鎌を横薙ぎにする。

 しかしディリックはナイフで受け止めると、そのままいなしてディアンの右脇腹を斬って行く。


「ぐっ……」


 それだけに留まらずディリックは、そのまま駆けて行くと―――


「やめろ!」

「ちげーよバカ」


 ディアンはアリスを標的に変えたのかと思い声を荒げるが、ディリックは一笑するとディアンの背後にあった廃車の元へと向かう。

 そのままディリックは掌を切ると、その手で廃車に触れてマーキングを行い、そして―――


「どらぁぁぁあ!!!!」


 何とディリックは廃車を持ち上げてディアンへと投げ付けた。

 ナイフ程のスピードはない。

 だがしかし、何百キロという巨大な塊が遅くはない速度で迫ってくる。

 加えて自動追尾機能付きだ。

 下手すれば押し潰されて御陀仏。ナイフとはまた危険度が違う。


「そりゃ、こういう事も出来るか」


 ディアンは感心した様子を見せると脇腹から流れる血を操作して壁を作り出す。

 廃車は壁にぶつかると交通事故の様に衝撃音を出すが止まる事はない。

 ナイフを防いだ時よりも血の量は多くして壁を作った。

 しかし、そんな壁でさえ巨大な鉄の塊は止められない。

 速度は低下した。だがそれだけだ。

 廃車が潰れただけで、まだディアンを狙い続けている。

 完全に速度を殺さなければ永遠に追いかけてくる。

 血の破片が飛び散る中、ディアンは即座に同じ壁を生成する。

 そしてその壁にぶつかると廃車はようやく追跡を止めた。

 だが事態はこれだけでは終わらない。

 上空と左右から金属片が弧を描きながら大量に飛んで来たのだ。

 弾ききるには時間が足りない。

 ディアンはバックステップで距離を空けると左右と上に壁を生成し、金属片を防いだ。

 こうなると後は背後にからの急襲か。

 すぐさま背後を警戒するが、映るのは一面の廃材だけ。


「まさか……ッ!」


 ディアンは飛び出る様に血の壁の中から脱出する。

 すると先程までいた場所に、別の廃車が空から降って来る。

 気付くのが遅れればぺしゃんこだった。

 間一髪と言った所だ。

 だが気を緩める時間なんて存在しない。

 息つく間もなく再度右側から廃材が迫ってくる。

 今度は鎌で弾ききれる量だ。

 ディアンが対処しようとした瞬間―――


「よぉ」


 左側からディリックが現れ、左胸を突き刺そうとする。


『しまった……ッ!』


 体は廃材の対処をしようと動いている。

 勢い付いた体はもう止められない。

 ディアンはそのままディリックに刺されてしまった―――かに思えたが。


「テメェの能力は自由でいいな」

「そりゃどうも」


 ディアンはディリックが刺そうとしてきた箇所に血を集め、固めて防御したのだった。

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