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吸血鬼組織リーヴァント

 屋敷を後にしたシグマは組織の隠れ家へと戻ってきていた。

 かつて使われていた坑道を改造して作られた隠れ家は何重にも分厚い扉が取り付けられ、入り組んだ通路は見知らぬ者の行く手を阻む。

 通路を抜け、シグマが集会に使われる大広間へ到着すると、そこには三つの人影が存在していた。


「何だ一人かよ。勧誘失敗か?リーダーさんよぉ」


 横暴な態度で椅子に座る男が煽るように喋る。

 短髪で逆立った髪に傷だらけの皮膚。特に顔に付いた✕印の傷跡が目立つその男は、立ち上がるとシグマへと詰め寄っていく。


「まさかのこのこ帰ってきた訳じゃなぇだろうな。同族だろうと歯向かう奴は殺す。それがオレ達、【リーヴァント】の掟だろ」


 額同士が振れる程、近い距離で睨みを効かせる傷の吸血鬼ヴァンパイアだが、シグマは何も動じる事はなく返事をする。


「そうだな。のこのこと帰ってきてしまった。あいにく様、私の力では彼を殺すことは出来ないのでな」

「ハッ!マジかよ、リーダー様がケツ向けて帰ってきたってのか。これじゃあメンツも丸潰れだなぁ!」


 傷の吸血鬼ヴァンパイアは身を翻すと自席に戻りドカッと腰を下ろす。

 そして先程より低い声で責任を追及する。


「リーダーであるテメェがそんなんじゃ組織は回らねぇ。どう責任とるつもりだ?」

「所詮私は駒だ。替えは効く。それに私は円滑に事を進めるために必要のないリーダーをやっているにすぎない」

「だからはいそうですかってなる訳ねぇだろうが!」


 傷の吸血鬼ヴァンパイアは目の前にある椅子に囲まれた机を蹴り飛ばす。

 そしてその机は怒りに任せて飛ばされた衝撃によって砕け散ってしまう。

その光景に、思わず見かねた隅に立っていた長身で細身の、腰まで伸びる長髪に派手なアイシャドウをした女性らしさの中に男性らしさも感じさせる吸血鬼(ヴァンパイア)が声をあげる。


「だったらワタシが行くわ。ワタシ達に上下関係なんてない。誰かがミスをすれば補い合うだけよ」

「自分のケツも拭けねぇような奴を庇うってのか。お優しいねぇ」


 傷の吸血鬼ヴァンパイアは呆れた様子を見せるが、長髪の吸血鬼ヴァンパイアは取り合わず、シグマに対象について確認をとる。


「処理するのはディアンちゃんだったわよね」

「いや、エルコにはもう一人の吸血鬼(ヴァンパイア)の処理を頼みたい」

「もう一人?」

「あぁ、エルドラという女の吸血鬼(ヴァンパイア)だ」

「何故今なの?」


 エルドラ―――それは以前リーヴァントのメンバーが接触した吸血鬼ヴァンパイアだ。

 だがエルドラの勧誘はまだであり、今回接触があったのはディアンだけである為、エルコには何故このタイミングでエルドラを始末するに至ったのか理解出来なかった。


「ディアンだけの勧誘のつもりだったが、エルドラもついてきたんだ。まさか二人に接点があるとは知らなかった」

「なるほど。二人が共闘するのを防ぐ為に各個撃破するって訳ね」

「そういう事だ」


 エルコに返事をした後、シグマは傷の吸血鬼ヴァンパイアに向き直る。

 そして興味を失った様にどこかを見ている傷の吸血鬼ヴァンパイアに声をかける。


「ディリック、キミにはディアンの処理をしてもらいたい」

「そこはお願いしますじゃねぇのか?リーダーさんよぉ」

「頼む」


 嫌味にも澄ました顔で対応するシグマに、ディリックは舌打ちをする。


「何でエルドラの方じゃねぇんだよ。オレは一度アイツと会ってんだぞ」

「だからこそだ。キミは警戒されている。エルコが行った方が確実だ」


 シグマの返答に納得したのか、ディリックは立ち上がると部屋から出ていくが扉の前で止まると踵を返す。


「気が向いたら殺ってやるよ」


 それだけ告げるとディリックは去っていった。


「ワタシも失礼するわ。任せておいて。期待には答えるから」


 シグマに向かってウインクをすると、エルコも去っていく。

 残ったのはフードを被り素性の見えない吸血鬼ヴァンパイアとシグマのみ。

 しかし二人は特に話す事もないまま、その場を後にするのだった。


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