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徘徊変態カエルを助けたら実は天界の王子様でした  作者: えびす


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8.公彦は葵と百貨店で再会する

「本社に確認した所、店舗SNSモデルの報酬として服の贈呈OKとの事です」


「いいのですか? ありがとうございます」


「まさか百貨店の店舗でこれがまかり通るとはね、これが公彦君の力なのね···!」


最新の服を両腕にぶら下げた女性の店員さんに連れられて、公彦は試着室の方へと向かった。



「もうこれだけイケメンだと、どれくらいの数の女性から言い寄られるんでしょうねぇ」


「お姉さんは家からここに来るまでのマンホールの数を数えた事がありますか···?」


「え? いえ、ありませんが」


「私からすれば好きになられた女性の数など、それと同じで一々数えてなどいられないのですよ」


「あはは、そうなんですねぇ」


公彦が試着室に入ると店員さんはカーテンをゆったりと閉めた。


「では着替え終えられた頃にお声掛け致しますねぇ」




―――天界 コントロールルーム


壁一面のモニター群には地上の公彦達の映像がリアルタイムで映し出されている。


場面はちょうど公彦が店員さんに軽口を叩いているシーンだった。


「―――お姉さんは家からここに来るまでのマンホールの数を数えた事がありますか···?」


「―――え? いえ、ありませんが」


「―――私からすれば好きになられた女性の数など、それと同じで一々数えてなどいられないのですよ.........」


司令官デスクでは母上がお煎餅を食べながら、大仏ヘアーのモデルがポーズを取る天界婦人服カタログをペラペラと捲って眺めていた。


「え? ちょっと待って、ちょっとさっきの所、再生して」


母上はカタログから視線を上げると急に顔を険しくしてそう指示した。


「―――お姉さんは家からここに来るまでのマンホールの数を数えたことがありますか.........」



「え? これって○ーランドのパクリちゃうん?」


念の為に映像はもう一度再生された。



「―――お姉さんは家からここに来るまでの.........」



「いやいや、これはアカンやろ、これはアウトやろ」


母上は眉尻を下げ、口を少し尖らせながら言った。


「これはもう完全に調子に乗ってるわ、はいアウトです、これは」



母上の指令が下るとコントロール席に座る部下の女性はメガネの端をクイッと上げた、そしてカチャカチャとコードを入力した後にスイッチをターンと押した。



2秒ほどのラグを待つと、

試着室にいた公彦はたちまちカエルに変身した。


「何ジャコレェエエエエ――!!?」


「え、どうかされましたか!?」


「イヤイヤ、何デモナイデス、イヤ何デモアルケド···何デモナイデス···!?」


「じゃあそろそろ開けますねぇ」 


「アワワワワワ···!!?」


カーテンが開け放たれカエルの公彦を見た瞬間、店員さんはフロア中に響く大声で絶叫した。


「ぎゃぁあああああああ!!!?」


公彦は出口に向かって全力で走り出した。




ちょうど上のフロアからエスカレーターで降りてきたばかりの葵と青は、この絶叫を聞いて声の大元を確認しようと公彦達のいるフロアに降り立って少し顔を覗かせた。


すると前方から下りのエスカレーターを目指してカエルの公彦が全力疾走でこちらに向かってきた。



「き、公彦――!!?」


(ア、葵チャン――!!?

 シカモパトロール男ト一緒ニ···!!!)


「ん、何だあれは?」


青は公彦を見付けるや表情をハッとさせ、肩を怒らせて向かっていった。


「出たな、変態ぃ!!!」


「ニャアアアアアアア!!?」


公彦は踵を返して今度は反対方向に走り出した。


公彦を追いかけてきていたアジ子はそれを見て絶叫した。


「ぎゃああああああ!!!」


フロアに散らばっていた青様担会の令嬢達は青の異変を感じ取り一旦集合を掛けていた。

すると青に追い立てられた公彦がその集団に向かって突っ込んできた。


「―――きゃああああああ!!!」


青と公彦の追いかけ合いの末、フロア中で絶叫が起こり収集がつかなくなりつつあった。



―――公彦何やってるの、

   私がどうにかしなくちゃ···!



葵は公彦がマネキンの裏に隠れているのを見つけるとコッソリ手招きし、空いていた店舗の試着室に二人で逃げ込んだ。

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