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徘徊変態カエルを助けたら実は天界の王子様でした  作者: えびす


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14/14

14.葵は照華に嫉妬する

公彦は警備員達を上手く巻きながら、何とかテニスコートにまでたどり着いていた。



―――捕まらずにここまで来られるとは、何て運がいいんだ···!!



だだっ広いテニスコートの隅のフェンスはもうすぐだった。



―――よし、あそこを越えれば帰れるぞ···!



公彦が何とかフェンスの前まで到着すると、そこに一人の女子生徒が待ち構えていた。


「ン?」


令嬢達は皆カエルの姿を見れば逃げ出すはずなのに、その女子生徒は立ち尽くしたままだったので公彦は不審に思った。


そこにいたのは照華だった。


「もう走らなくても大丈夫よ、テニスコートは探さなくて良いと言っておいたから」


(何だこの娘は一体···?)


「ダ、誰···!?」


「私は斎台院照華よ」


「帰リタイカラ、ソコヲ通シテモラエルカナ···」


「ダメよ!」


「ウゥ···」


照華は公彦の前まで来ると顔を覗き込み、頭の皮膚を軽く引っ張った。


「マスクじゃないのね、じゃあホントにカエルのお化けなの?···ふふっ」


公彦は何か意味ありげに笑う照華を見て訳が分からずに動揺した。


「私はこう見えても大巫女の子孫なの、そして昨晩予知夢を見たのよ、今日のこの時間この場所であなたに出会うと···そしてその者と口づけをしろとね」


「···!?」


「私のつまらない運命をわずか少しでも変えられる可能性があるのなら···あなたに賭けてみる価値はあるわ!!」


そう言うと照華は公彦の顔を優しく掴み唇にキスをした。その瞬間、公彦は人の姿に戻った。




✶✶✶




葵は叫び声の上がる方へと足を進め続け、やっと遠目にカエルの公彦の姿を見つけた。



―――いた···! 公彦、足速い···



公彦は物陰に隠れて警備員達を上手くやり過ごしながら、テニスコートの方へと駆けていった。



―――テニスコートに隠れるつもり···?     じゃあそこで公彦を捕まえられるかも



葵は公彦に遅れて、人けのないテニス場に足を踏み入れた。砂粒が靴の中に入ってゆくのを感じながら、コートの奥の方へと走り進むとフェンスの前に公彦と照華が並んで立っているのを見つけた。



―――え、何で照華ちゃんが?



すると二人はキスをした、そして公彦は人の姿に戻った。



―――え······?



「·········」


肩で息をしながら黙ってその場に立ち尽くす葵の存在に、公彦はその時にやっと気が付いた。



―――え、葵ちゃん···



「な、何するんだ!」


公彦は照華を振り払うとそう叫んだ。


「一体どういう事? あなた人間だったの?」


照華はしおらしい表情で公彦の顔を見つめ続けた。


そして葵は思わず涙をこぼしその場に崩れ落ちた。


「葵ちゃん、違うんだよ!!」


公彦は葵に駆け寄ると優しく手でその肩を撫でた。


「葵···?」


照華はやっと葵に気が付くと、寄り添う公彦を腑に落ちない顔で見つめた。


葵は公彦の手を払いのけるとコートから走り去っていった。


「葵ちゃん!」


即座に追いかけようとした公彦の腕を、照華は強く掴んだ。


「おい、何するんだ、離せ!」


「あなたに聞きたい事が山程あるわ、葵とは一体どんな関係···?」


「お前に関係ないだろ」


「あるわ···、あなたは私と結婚するの」


「はぁ? 何言ってるんだお前、早く手を離せよ」


照華が掴んでいた手を緩めると、公彦は葵を追って走り去っていった。


遠まっていく公彦の背を照華は切実な目で見つめ続けていた。


「絶対離さないわ、あなたの事を···」





葵は学園の停留所まで駆け込むとハイヤーに飛び乗り自分の家へと向った。


公彦は葵を追おうとして一台後ろのハイヤーに乗り込んだ。


「前の車と同じ所です」


「はぁ、生徒IDの提示をお願い致します」


「今ないです、名前と番号の照合ではダメですか?」


「申し訳ありませんが、帰宅ハイヤーの利用には必ず生徒IDの提示をお願いしております」


「ちくしょう! 何だよ」


公彦は自分の膝を強く叩くと諦めたように車から出た。もう大分先に進んだ葵の乗ったハイヤーを眺めながら、今度は本当に取り返しのつかない事になってしまったのではないかと、彼は深刻そうな面持ちを見せた。

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