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第1話「テスト勉強教えてくださいの会」

ファミグル本編!

「もしアダムかイブのどちらかがりんごアレルギーだったら、世界はどうなっていただろうね。」

そう呟く女性の声が頭の片隅から離れない青年《矢代/社》は明日期末テストが控えている《あい》の誘いでカラオケに勉強を教えに来ていた。


「そもそもアレルギーは50年前に発見されているから人類創造時代には概念すらない。新約聖書の登場人物に当てはめるのは強引じゃないかな。」

そう呟くのは《もるふあ》。(あいからは「もる姉」と呼ばれている)

彼女も同じくあいの誘いで勉強を教えてくれと誘われてカラオケに来た。


「あーー!もう!!テスト範囲外の話しないでーーー!!!!アレルギー出ないから!!!!」

頭を抱えて悲痛を叫ぶのが明日期末テストを控えている女の子、あい。


「そこ間違えてる。」

もるふあは赤ペンを持ちながらあいの解いているプリントを眺め、指摘する。


「あーあ、ほらテスト範囲外の話するからだー!!」


「これ最初に解いたとこだよ、そもそもカラオケで勉強っていうのに問題がある。」


「元も子もないこと言わないでよ!」


「そーゆときこそ歌おうよ!」

そう言ってデンモクで楽曲選択をし始める彼は《アネレス》。

みんな同様勉強教えて欲しいとあいに誘われて来た、あいからは「お兄ちゃん」と呼ばれている。


「そーだね!お兄ちゃんの言う通りだ!」


「それじゃなにも進まないよ。」


「あーもう!もる姉は黙って!社くんも何か言ってよ!」


「あ、えっと…あいのしたいようにしたらいいんじゃないかな。」


「と、言うわけで!」


デンモクに曲を入れ始めるあい。

それに少しため息をついてタバコを取り出す。


「あ!絶対タバコ吸いに行くでしょ!」


「え、うん。」


「私もいくー!」


「ダメ。」


「えーん、いいじゃん!吸わないけど見るだけ!!」


「ダメだよ、未成年は喫煙所行っちゃったら。」


「バレなきゃいいの!!」


社はその言葉にはっとしてあいを見つめる。


「ダメっすよ!大人しく俺と歌うっすよ!」


「僕もタバコ行こうかな。」


「社も行く?」


「うん」


「なんで社くんはよくて私はダメなのー!」


「社っちは二十歳だからいいんすよ!」


「ふん!」


あいは拗ねてデンモクをいじいじする

もるふあと社は部屋を出て喫煙所へ向かった。


「大人ってどうしてタバコ好きなの?」


「俺は吸ってないっすよ。」


「お兄ちゃんは吸わないでね。」


「….うん。社っちも吸ってるのかな?」


「なんでもいいけどさ〜!お兄ちゃん、勉強教えてー!」


「あぁ、もう歌う気分じゃなくなったんすね、いいっすよ!」


時は同じくして喫煙所。


「なんで着いてきたの?吸ったことないんでしょ?」


「...ここはどういう人たちの集まりなんですか?」


「どうせそんなことだろうと思った。お兄ちゃんとか言ってるからややこしいよね。」


「はい...。」


「あれは勝手にあの子が呼んでるだけであたしたちはただネットで知り合って住んでる地域が近かっただけのオフ会みたいなもんだよ。」


「それっていつから...?」


「うーん、私もリア友に誘われてこの界隈来たからそれ以前のことは知らないけど《あい》、《アネレス》、《私》と《リア友》の4人でよく遊んでたよ。」


「そのリア友はもういなくなったんですね」


「そうね。あなたが来るちょっと前ぐらいに就職が決まっていなくなっちゃった。」


「3月ぐらいですか?」


「まぁそのぐらいかな。なに?警察みたいね。」


「色々聞いてすみません。」


「いいの、そんな怖がらないで。ここに呼ばれるってことはあいに信頼されてるってことだから。」


「そうなんですか?まだ少し壁を感じるんですけど」


「君が弟っぽいからじゃない?当時いたリア友、《アル》って言うんだけど《あるじぃ》って呼ばれてたんだよ。可哀想でしょ(笑)」


「おじいちゃんみたいな存在だったんですね。」


「まぁ...確かに?同い年だからちょっとピンと来ないけど。」


「色々教えてくれてありがとうございます。」


「あはは、そんな畏まらないで。そろそろ戻ろっか。」


「...はい。」


もるふあと社が部屋に戻るとあいはシャーペンを持ってプリントと向き合っている。

アネレスは優しい目でそのプリントを見つめている。


「あれ勉強してたの...?」


もるふあが少し関心したように聞くと


「ねぇ見て〜!」


そこにはおそらくもるふあ、アネレス、社の顔がかわいいタッチで描かれていた。

それを見てもるふあは呆れ、社はあははと枯れた笑いをした。


「ご、ごめんなさい!べ、勉強しますから!!!」


「あれ何時までだっけ?」


「あれ、もう出なきゃじゃん。」


「もう喉ガラガラっすよ。」


「いや歌わずに勉強おしえとけ!」


もるふあがそういいながらアネレスの頭を軽く叩く。

そして身支度を整え外へ出た。


「今日は本当にありがとう!みんな。」


「明日期末テスト頑張ってね。」


「頑張る!ありがとうもる姉!またね。」


そういって4人はそれぞれの道へ分かれた。

社は何かを思い出したかのようにアネレスに近づく。


「アネレスくん。」


「社っち、帰りこっちなの?」


「う、うん。」


「あいちゃん、今日全然勉強してなかったけどテストどうなるんすかね。」


「ま、まぁ。どうにかなりそうですけどね。」


「まーたテスト終わったらお疲れ会するんすかねぇ〜」


「いつもこんな感じなんですか?」


「そうっす。あんま家にいたくないみたいっすからね。」


「そ、そうなんですね...。」


「なに緊張してんすか?ラフにしていいんすよ。」


「あの。」


「ん?」


「ケンジくんって知ってますか?」


「....それ俺の本名っす。」


社は確信した。

それと同時にあの日のことを思い出す。

「遅いよ、ケンジくん!」

それは意気揚々とした声で泥酔した僕に話しかけたあの日の小夜の姿態。

彼は間違いなく小夜の彼氏だ。

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