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災厄と希望

 時はテバリア歴1700年、マルグレート大陸では、魔界から侵攻してきた魔族による大陸征服が進められていた。魔族による侵略は過去数回起こっており、そのたびに人族は協力し、団結し、勝利を収めてきた。



 だが、此度こたび首魁(しゅかい)――『百代目魔王・マザンジオ』は過去例を見ない最強の魔王であった。古より人族に伝えられてきた教えも蓄えられてきた力も魔王・マザンジオにとっては塵芥(ちりあくた)も同然。

 大陸中の国家が手を結ぼうと、あらゆる知恵者が策を練ろうと、魔王は武においても知においても人族を圧倒(あっとう)する。

 向かうところ敵なしの魔王はたったの五年で大陸の半分を支配するに至った。

 

 

 人々は恐怖に支配される。明日も生きているのか。その疑問に答えてくれる人も神も存在しなかった。



 1707年、風向きは変わる。大陸の、とある王国の辺境の村に『勇者』が現れた。『勇者』とは人族に降りかかる災厄を跳ね除けてきた存在。人族の希望。

 有史以来、百人目とされる勇者――その名はフォルテ。

 勇者は魔族に襲撃された村を救った(のち)、瞬く間に勇名を(とどろ)かせ、単独での領地奪還、人族の解放、王女救出、と幾多(いくた)の武功をあげた。刹那(せつな)でも、勇者を目にしたものは漠然とした恐怖から解放され、その金色(こんじき)の髪は希望の象徴とされた。



 そして、1709年――最終決戦の火蓋が切られる。



 ヴァイデン渓谷(けいこく)にて、魔王・マザンジオと勇者・フォルテの一騎打ちが始まったのだ。


 

 最も強い悪魔と最も強い人間の戦い。その勝者が全ての勝者であり、正義である。



 当然、加勢しようと渓谷に足を踏み入れようとした魔族や人族もいた。

 しかし、それは許されなかった。

 響く轟音、灼熱の炎、凍てつく氷雪、青い稲妻。人知を超えた戦いがそこにはあった。



 一年と半年後、二人の戦いが終結すると、ほどなくして魔族は魔界へと戻り、人々に穏やかな日々が返ってきた。



 最終決戦地、ヴァイデン平野に建てられた石碑には『勇者フォルテ、ここに眠る』と刻まれている。

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