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七つの迷宮  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第一章 寮振り分け試験〈シャッフルポーカー〉
23/34

第二十二話 3匹の戦士 その1

「川がカーブしてる。ってことは、樹海のちょうど真ん中あたりか」


 3日目の朝でようやく中央。予想よりもペースが遅いな。

 この場面で『遅い』は禁句。エイトもテオも最初の頃に比べてよく歩いてくれているからな。


 俺達は深い森の中へ入っていく。


「おいで。小竜(ルリグル)


 エイトが護法魔導書(ピカトリクス)からちっこい竜を出した。

 オレンジ色で、牙があって、翼があって、そして――


「かわいいな」


 俺は小竜の頭を撫でる。

 目がぱっちりで大きい。鱗の感触も柔らかくて気持ちいい。


「いてっ!」


 頬に鋭い痛みが走った。

 右肩を見ると、クロウリーがくちばしで頬を強くつついてきていた。怒っている様子だ。


「あ、クロウリー君、嫉妬かなぁ?」


 なんてエイトが猫なで声で言う。


「わりぃわりぃ。お前の方がかわいいぞー、クロウリー」


 クロウリーの顎の下を撫でる。

 クロウリーは顔をあげてカーッと嬉しそうに鳴いた。


「どうして召喚獣を出したのだ?」

「食料調達を手伝ってもらおうと思って。小鬼(ルキテン)


 今度は小鬼を出す。

 ゲームとかで見るようなゴブリンと同じで、緑の肌で俺の膝ぐらいまでの背の高さ。耳は尖っていて、目つきも悪く、まぁ不細工だ。


「――お願い、美味しそうな果物を取ってきて」


 エイトが命令すると、小竜と小鬼は森の中へ進んでいった。


「召喚獣は眠らず、腹も空かず、感情もないと聞く。言われた命令をただこなすだけのロボットのような存在。奴隷として使うならうってつけだな」

「て、テオ君……そういう言い方は、あまり、好きじゃないかな……」

「うっ!」

「お前は言葉の選び方が下手だなー、テオ」


 小竜と小鬼は一度召喚すると10分間この世界に存在できる。

 召喚獣を召喚している間は護符紙(マーカー)のクールタイムは一切進まず、召喚獣が消えてからクールタイムは進みだす。小竜と小鬼のクールタイムは約40秒。


 召喚獣たちは10分に果物1個ずつぐらいは運んできてくれた。俺達も森を進みながら食べられそうな物は回収し、バッグアニマルに詰め込んだ。


 そうやってやりくりしつつ進んでいき、昼過ぎのこと、俺達は木々のない花畑に出た。


「綺麗……」

「美しいな。ここに画材一式があれば絵に描きたいぐらいの風景だ」


 エイトとテオは花畑の中心に進んでいく。

 良い景色だし、甘い香りがする。だが同時に、見晴らしがよくて鼻の利かない場所である。


「おい、お前ら。こんな開けた場所に不用意に出るな」


 でもあそこまで進んだなら、もう突っ切るしかない。

 俺は2人の背中を追い、花畑に出た。


 その時、



「試験中に、呑気な奴らだなぁ!」



 この素晴らしい空間に、ズカズカと入ってくる輩がいた。


「「「リヴルド」」」


 俺達3人はすぐさま護法魔導書(ピカトリクス)を出す。

 敵の数は3人。全員男だ。すでに護法魔導書(ピカトリクス)を持っている。しかも、全員俺と同じリヴルドネックレス、“鬼鉄の鎖環(レギアント)”をつけている。


「アイツら……」

「どうしたの、レイヴン君」


 奴らの護法魔導書(ピカトリクス)、3冊とも……護符紙(マーカー)が2枚しか挟まっていない。


「「「全身強化(ルースタイン)ッ!!」」」


 奴らは全員、全身強化の強化(バフ)をかけた。



――まずい……!



脚力強化(フードタイン)!」


 俺は脚力を強化した後、エイトとテオを腕に抱える。


「ぬおっ!」

「きゃっ――」


 その場から全力で離れる。

 同時に、俺達がさっきまで立っていた場所に、奴らは拳を打ち付けていた。


 俺は2人を下ろし、白鉄槍(テッサリード)のページを開く。


白鉄槍(テッサリード)


 護法魔導書(ピカトリクス)を槍へと変化させる。


(アイツらの護法魔導書(ピカトリクス)のページ数は見た感じ100ページ前後。その内75ページを全身強化(ルースタイン)に使うとはな。3人共護符紙(マーカー)は2枚ずつ。ぶら下げているリヴルドネックレスが俺と同じ“鬼鉄の鎖環(レギアント)”だから、もう1枚の護符紙(マーカー)は間違いなく――武器護符紙(ウェポンマーカー)だな)


 奴らは護法魔導書(ピカトリクス)をめくり、


白鉄槍(テッサリード)ッ!!」

白鉄小剣(テッサルシード)……」

白鉄斧(テッサジード)!」


 それぞれ護法魔導書(ピカトリクス)を槍、短剣、斧に変化させる。それぞれランス(槍使い)、ソード(短剣使い)、アックス(斧使い)と名付けよう。


(ごりっごりの武闘派集団ってわけか!)


 ランスはニヤリと笑い、


「金髪のお前、良い反応だったぞ。お前は動ける奴だ。だが……」


 ランスは俺の背後の2人を交互に見る。


「足手まといを2人抱えて、オイら達に勝てるかな?」

~作者からのお願い~



いま、少しだけポイントが上昇傾向にあります。ここを逃すともう打ち上がるチャンスはないと思います。

なので、もし面白いと感じてくださったなら、評価&ブックマークをしてくださると本当に助かります。もしもレビューをいただいたら飛び上がって喜びます。執筆のモチベーションに繋がりますので、よろしくお願いいたしますm(__)m

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