表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七つの迷宮  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第一章 寮振り分け試験〈シャッフルポーカー〉
15/34

第十四話 宿を決めよう

 吸血魔が捕まったのなら俺はもうお役御免だ。

 だけど、奴がどういう経緯で捕まって、いまはどうなっているのか、それを聞かなければ帰れまい。


 聞く相手は決まっている。もう1人の協力者である、キーハートの学園長だ。学園長に会うためには試験を乗り越えなきゃな。


 とりあえず、今は目の前の課題に全力で取り組もう。それしかやれることはない。


「テオ。財布を渡してくれ、金は俺が管理する」

「嫌だね。チームの金銭を管理するのはリーダーの役目だ!」


 いつテメェがリーダーになったんだよ!

 コイツは見るからに裕福な家庭で育った坊ちゃんだ(ペットショップでも高い猫買ってたしな)。コイツに金の管理は任せられない。


「じゃあ聞くが、お前、金貨8枚で最大何日暮らせる自信がある? 当然、俺とエイトとお前、3人でな」


 テオは顎に手を添え、10秒間を置き、


「……は」

「は?」

「半日だ」

「金を渡せ! 今すぐ!」


 テオは渋々財布を手渡す。


「まず今日と明日泊まる宿を探すぞ。必要な物は宿で話し合おう」


 というわけで、俺達は宿を探し回った。

 近辺で見つかった宿は4つ。その内、一番安い宿に入る。

 3人でプラン表を見る。


「1部屋1日銀貨4枚か……」


 ネズミの足音は聞こえるし、天井からほこりは降ってくるしで汚い宿だが、まぁこの安さならここで決まりだな。


「ふん! こんなボロい宿はご免だ! 私が推薦した宿にするべきだ!」

「それってさっきの一泊金貨2枚の店のことを言ってんのか?」

「わたしは全然、このボロ宿でも大丈夫だよ?」

「ここが一番安いんだから我慢しろ。俺だってこんなボロボロで今にも崩れそうな宿は嫌なんだからな」


「君たち~、よく店主(ぼく)の前でそんなこと言えるね~。まぁ安さしか良い所ないの、自覚してるからいいけどさぁ」


 1人1部屋銀貨4枚。3人だから1日金貨1枚と銀貨2枚、2日で金貨2枚と銀貨4枚か。食事があと今日の昼と夜、明日の3食と明後日の朝食、計6回ある。1回の食事を銀貨2枚で済ませるとして、食費と宿泊費を合わせて金貨3枚と銀貨6枚が消える。

 自由に使えるのは約金貨4枚か……少し心もとないかな。


「ん?」


 俺はメニュー表のあるプランに目をとめる。


『ツインベッド ワンルーム 一泊銀貨7枚』


 俺はメニュー表をもって店員に話しかける。


「すみません。この『ツインベッド ワンルーム』のプランなんですけど、この部屋に3人泊まるのって有りですか?」


 男性店員は「うーん」と一瞬考え、


「大人ならダメだけど、子供3人だったらギリOKかな」

「よし! じゃあこのプランで……」

「ちょっと待てぇ!」


 テオからストップがかかる。


「それはつまり、片方のベッドに2人寝るということではないのか!?」

「当然だろ」

「順当に考えれば、女性であるエイトが1人で1つのベッドを使う。そして、私と君が同じベッドに寝る」

「なにか問題あるか?」

「大有りだ! この宿で泊まることは認めよう。ただし、私は他人を横に据えて眠ることはできん!」

「わがまま言うなよ。1人1部屋で二泊すれば金貨2枚と銀貨4枚かかる。だけどこのプランなら二泊で金貨1枚と銀貨4枚だ。金貨1枚節約できるのは大きい」

「金貨1枚ぐらい、別にいいだろ!」


 コイツ……この状況における金貨1枚がどれくらいの価値があるかわかってないのか? わかってないだろうなぁ……。


「あの、あのね!」


 エイトがもじもじしながら上目遣いで見てくる。


「わたし、2人の方でもいいよ? わたしと、レイヴン君で1つのベッドでも……いいよ?」


 エイトは金貨1枚の価値がわかっているようだ。

 例え男の俺と同じベッドに寝ることになろうとも、金貨1枚を優先している。


「なぬ!?」

「でもさすがに男女でベッドを使うわけには……」


 赤面するエイト、動揺するテオ。

 俺の頭に1つの名案が浮かぶ。


「わかった、そうしよう。一緒に寝ようぜ。エイト」

「あっ、うん……!」

「なななっ!?」

「だって仕方ねぇよな? テオ君が2人でベッド使えないって言うんだもんなー」


 テオは「ごほん」と咳払いし、


「仕方あるまい。私とレイヴンで1つのベッドを使おう」


 こいつ、わかりやすい性格してんな。


「じゃあお兄さん、このプランでお願いします」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ