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第五話 修行の成果

「水流連打!」


 私の拳による連撃が炸裂する。


「グァ……ァ……」


 双頭の巨大モグラが力なく倒れた。

 その姿がゆっくりと消えていき、ドロップアイテムの巨大な爪だけが残される。


「強くなったね、シズちゃん」


「うん。自分でもまだビックリしてるよ」


 奈落の底でイリスちゃんと生活し始めて早三か月。

 イリスちゃんにビシバシ鍛えられた私は、ついにAランクモンスターを独力で一方的に殴り倒せるほど強くなった。



 今の私は102Lvだ。

 【バフ盛り料理】でステータスアップ! 魔物を倒してレベルアップ!

 この好循環のおかげで、あっという間にレベル100の大台を超えることができた。

 十五分かけて体力を一割しか削れなかった大毛玉ウサギでも、今ならパンチ一発で半分以上削れるだろう。


 そんなことを考えていると、


「うわ。漁夫が来た」


 イリスちゃんが向いているほうを見れば、プテラノドンがこちらにやってきているのが見えた。


 あれはAランクのジャイアントプテラか。

 レッサープテラの上位種で、三メートルほどの巨体を誇る。


「新兵器の実験台にしようかな」


 不敵な笑みを浮かべるイリスちゃん。


 彼女が【アイテムボックス】から、禍々しいフォルムの機械の腕を取り出した。

 あれは奈落で生成された特殊な金属とAランク以上の魔物の素材から作られたものだ。


「装着!」


 イリスちゃんが自分の左腕を取り外し、代わりに竜の(アギト)を模したようなソレを装着する。


「エネルギー装填!」


 (アギト)の中に白い光が集まっていき――



「ドラゴンブレス・カノン!」



 白い光線が、咢の先から突き進む。


 最強種であるドラゴンのブレスを模したソレは、一瞬で大プテラの到達。

 次の瞬間には、心臓を貫いていた。



「ふぅ。このレベルの攻撃をしようと思ったら、魔力もたくさん消費しちゃうね。あまり連発はできないかな」


 イリスちゃんの動力源は魔力。つまり、魔力がなくなれば動くことすらできなくなる。

 普段の砲撃などは、精霊の力を行使しているから魔力の消費はない。

 だけど、ドラゴンブレス・カノンクラスになるとそうもいかないようだ。


「これはそうそう使うことはないだろうね」


「少なくともAランクの魔物には使う必要ないね。イリスちゃん強いからさ」


 【バフ盛り料理】の恩恵を受けたのは、私だけではない。

 もともとレベルの高かったイリスちゃんも、私と同じ方法でレベルを上げていた。

 彼女の今のレベルは128。

 わざわざこのパーツを使わなくても、大プテラ程度なら一撃で倒せるだろう。


 そんなことを考えていたら、イリスちゃんが話しかけてきた。


「充分強くなったし、そろそろ地上を目指すのもいいんじゃないかな?」


 私たちの目標は“最強の冒険者”。

 正確にはその先、世界に名を広めるというのがゴール地点だ。

 イリス師匠から合格は貰ったから、これ以上奈落の底にとどまる理由もない。


「そうしようよ。それにイリスちゃんと一緒にいろんなとこ見て回りたいし」


「デートのお誘いですか」


「デートじゃなくて一緒に遊びに行くだけだから!」


「シズちゃん、それを世間ではデートって言うんだよ」



 居候させてもらっている研究所に帰ってきた私たち。

 イリスちゃんがこの迷宮について書かれた資料を持ってきてから、奈落について詳しく教えてくれた。


「私たちが今いる奈落は、ディアブル大迷宮とは別のダンジョンだと思ったほうがいい。ディアブル大迷宮は下の階層に行くほど強い魔物が出てくるけど、奈落ではその常識は通用しない。いきなりSランクの魔物が出てきたりするからね」


 ディアブル大迷宮というのは、私が追放されたダンジョンだよ。

 奈落の外の。


「それじゃあ、奈落から出るにはどうすればいいの?」


「ここはディアブル大迷宮の七十八階層に相当する深さなんだって。出ようと思ったら、ディアブル大迷宮の三十一階層まで巨大な縦穴を上るか、一番下に降りるしかない。奈落の最下層はディアブル大迷宮の百階層の入ってすぐのところにつながってるみたいだからね」


「どっちから出る?」


「絶え間なく襲撃されるだろうけど、私たちの実力なら奈落を上るのも可能だよ。だけど、それだと面白くないよね?」


 私たちの目標は、“最強の冒険者”になること。

 だったら――


「前人未到の奈落を踏破してなんぼでしょ」


「だよね。最強を目指すのに、Sランク程度の魔物にビビってどうするんだって話だよ」



 奈落脱出計画を煮詰めた私は、数日分の料理の作り置きを用意した。

 ダンジョン探索中にのんびり料理なんてできないからね。

 脱出して落ち着くまでの分は先に用意しておかないと。


 作った料理は【収納】で保存。

 時間停止効果があるから、いつでも出来立て熱々の状態で食べられるよ。




「三か月……。短いようで長くて、とても濃い時間だったな」


 ここでの生活を振り返っていたら、後ろからイリスちゃんが話しかけてきた。


「お待たせ。準備できた?」


「うん」


「じゃ、行こっか」


 私は三か月間過ごした研究所に別れを告げてから、イリスちゃんとともに歩みだした。



「さあ、地上に戻ろう」


「そのために地下に行くという矛盾」


「急がば回れってやつですよ」


「回り道っていうか、逆走しだしたようなもんだけどね」



本日はあともう一話更新します。

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タイトル「実家を追放されてから早三年。気がついたら私は最強の吸血鬼になっていた。あと、気がついたら百合ハーレムができてた」

青文字をクリックすると作品に飛べるので、ぜひ読んでみてください! 面白いですよ!
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