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第二十七話 アルクスの街とタンドリーチキン

「私がここのギルマスのレイナよ」


 アルクスの街にやって来た私たちは、すぐにギルドを訪れた。

 そして今に至る。


「レイナさんって、あの死海のレイナさんですか?」


「そうよ。よく知ってるわね」


「有名人ですから」


 イリスちゃんが私の腕をチョンチョンとつつきながら、小声で話しかけてきた。


「私全然知らないんだけど」


「あ、そっか。この人は元Sランク冒険者の水魔法使いだよ。その強さから死海という二つ名がついたわけ」


「昔の話だし、私がSランクになれたのはギフトが強かったからよ」


「それを使いこなして自分のものにしたからこそSランクになれたんですよ」


「フフ。誉め言葉は受け取っておくわ。貴方みたいな可愛い子に褒められるのは悪くないですもの」


 レイナさんみたいな美人に言われるとちょっとドキドキしちゃう。


「シズちゃんはあげないよ?」


「フフッ。奪う気はないから安心していいわよ」


 なんでこの二人はバチバチしてるの?


「話を戻して、Sランクダンジョンの件についてだったわね」


「詳しくお願いします」


「発生場所はここから北にちょっと進んだところにある村よ」


「村……ですか……」


 ダンジョンが村に突然発生。しかも難易度はSランク。

 こんなことはまずあり得ないから、間違いなく魔物の異常発生と関係があるはず。


「そう。村にいきなり現れたのよ。一瞬で村は壊滅。生き残った人間は多分いないわ」


「だいぶヤバくないですか?」


「そう、ヤバいのよ。だけど一階層からAランク魔物が出てくるようなダンジョンを攻略できる人間なんてほとんどいないでしょ。そのせいで結構ピンチなのよ。ギルマスという地位にいる以上、私が行くことはできないし。私の代わりが務まる人間がいれば行けるんだけどね……」


「それで私たちに行ってほしいと」


「そういうこと。今は高ランクの冒険者を集めてる最中だけど、もともとこの街に高ランク冒険者はいなかったから難航してるわ」


「ほっといたらダンジョンはどんどん成長していくんですよね?」


「ええ。だからすぐに攻略にかかってほしいわ。そのダンジョンは生まれたてだから、まだまだ成長の余地があるはず。最初からSランクなのにさらに成長されたら手に負えなくなるわ」


「わかりました」


「すでに一パーティーが攻略中だけど、そう簡単に踏破はできないと思うわ。だから任せたわよ」


「ええ。お任せてください」


 ギルドを後にした私たちは、すぐにその村に向けて出発した。




「やっと着いた。結構かかったね」


 夕方を過ぎた頃、私たちはダンジョンが発生したその村に着いた。

 道中遭遇した魔物はどれも低ランクで異常は特に感じなかったけど、村についてから分かった。


 他とは比べ物にならないくらい濃密な魔力が村……正確には村だった場所を包み込んでいた。

 奈落と同じかそれ以上のプレッシャーを感じる。

 一筋縄でいかないことだけは確かだ。


「村は壊滅って言ってたけど、全然そんな風には見えないね」


「だね」


 村は濃密な魔力に包まれているものの、建物などは一切の傷がつくことなく残っている。

 村人だけが忽然と消えたなんて不気味でしかない。


「ダンジョンはどう見てもあれだよね」


 イリスちゃんが指さす先には、異様な雰囲気をまとった一軒の建物が立っていた。

 外観や雰囲気が明らかに村のものではない。


「間違いないね。あれがSランクダンジョン……」



 『ソレ』は一言でいえば庭園だった。

 正面には大きな門があり、中に美しい花々が植えられているのが見えた。

 そのすぐ向こうには、教会のような雰囲気の建物が立っている。

 窓にちりばめられたステンドグラスが美しい。


「簡易転移板にここを記録したから、いつでも来れるよ」


「それじゃあ一回奈落に戻ろうか」


 私たちの強さの秘密は、もちろん素の強さや技術もある。

 けど、一番は私の料理によるバフだ。


 バフがなくても、人喰いパンダやフェンリルなら一人で倒せる。

 けど、Sランクは無理だ。

 全ステータス二倍で体力と魔力に自動回復がつく私の料理バフの効果はデカい。


 ダンジョン内で食べる分の料理を作り置きして、体をしっかりと休めてからダンジョン攻略を始めるべきだ。

 無理して行軍して踏破できるほど甘くはないからね。



 というわけで、奈落に戻って来た。


「私はこれから料理を作るよ」


「頑張ってね。ダンジョン攻略中は簡易転移板使えないから、潜りっぱなしになるし。シズちゃんの料理を食べるとバフがつく以上、充分な量を用意しとかないとね」



 今日の夜ご飯はシーサーペントを使いたいから……タンドリーチキンにするか。

 あのさっぱりしたシーサーペントの肉には、濃いめの味付けが一番合うと思うんだよね。


 善は急げ。というわけでさっそく料理開始。

 シーサーペントの肉をカットして、フォークでプスプスしていく。


 次はタレの準備。

 醤油、みりん、トマトケチャップ、おろしニンニク、おろし生姜、カレー粉、プレーンヨーグルト(無糖のほうがよさげ)、塩を混ぜ合わせる。


 ジップロックなどの袋に肉と混ぜ合わせたタレを入れて、しっかりと揉む。

 冷蔵庫で二時間以上寝かせて味をなじませる。


 その間に他の料理を作り置きしていく。



「そろそろ二時間か」


 他の料理を作っているうちに二時間たったので、肉を冷蔵庫から取り出して常温に戻しておく。

 肉が常温に戻ったら、さっそく焼いていく。


 フライパンにオリーブオイルを入れて熱したら、肉を投入。

 皮目が下になるように投入し、中火で肉に焼き色がつくまでしっかりと焼いていく。


 焼き色がついたら、肉をひっくり返してフタをして中火で五分蒸し焼きにする。


 五分経ったら出来上がり。

 フタを開けると、スパイシーな香ばしい匂いが辺りに広がった。


「いい香りだね」


「タンドリーシーサーペントの完成だよ」


 食欲をそそるスパイシーな香りを放つタンドリーシーサーペント。

 噛むと、肉の中に凝縮された旨みが一気にあふれ出してきた。

 カレー粉の風味が、いい感じのアクセントになっている。


「鶏肉で作ると肉がちょっと固くなりがちだけど、シーサーペントの肉だと柔らかくて食べやすいね」


「うん。とってもジューシーでおいしいよ」


「ありがと」


「おかわりお願い」


「はーい」



 作り置きをたくさん作った翌日。

 しっかりと睡眠をとって体を休めた私たちは、Sランクダンジョンにやって来た。


 さあ、ダンジョン攻略開始だ。

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タイトル「実家を追放されてから早三年。気がついたら私は最強の吸血鬼になっていた。あと、気がついたら百合ハーレムができてた」

青文字をクリックすると作品に飛べるので、ぜひ読んでみてください! 面白いですよ!
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