12.悪魔と悪魔
1話前の11話、下品なお話になってしまいごめんなさい。
クラスメートの陽キャ、本庄 力斗から逃げ切った俺は、普段行かない中庭に向かっていた。
我が八延高校の中庭は、昼休みの時間になると大体リア充によって占拠されている。
よって、入学以来昼休みに中庭に行ったことは数回程度しかない。
だが、そんな彼らも今は居ないはずだ!
なぜなら先程まで強い雨が降っていたのだから。
そして、万が一にもリア充やヤンキーたちがいて、たとえ絡まれたりしても今の俺には恐るるに足らない。
だって、今の俺にはち〇こ揉み揉み拳法があるのだから。
中庭に向かう際、普通なら足取りも重くなるだろうが、リア充など居ないだろうと言う確信がある為、今の俺の足取りは非常に軽かった。
それはもう、無意識にスキップしてしまうほどであった。
かるく鼻歌混じりにスキップをしながら中庭へと向かう。
水溜まりにピチャッピチャッと接触する音が心地よく感じる。
「わっはっは、今の俺には怖いものなんて無いのでござる!」
上機嫌で中庭に着き、ベンチに座ってみようと思い、ベンチへと視線を向ける。
すると、一人ベンチに座っている人がいた。
一人、弁当を食べている様子だった。
「げっ!」
俺は驚いた。雨が降っていた影響で水溜まりもあるし、ベンチだってビショビショに濡れているだろうに、その人はベンチに座っていたのだ。
わざわざこんな天候、条件の元に中庭へと来る奴の気が知れない。
あのベンチに座っている奴は頭のネジが1本足りないのだろう。
いや、1本なんかでは済まない。14本と言ったところだろうか?
とにかく、奴がアホだと言う事に変わりはない。
かく言う俺も中庭に来ているのだが、俺は元々頭のネジが足りないので仕方がない。
そして俺は、物陰に隠れてベンチに座っている奴を観察することにした。
「はっはーん、こんな足元も悪い条件の元、わざわざ中庭のベンチに来て弁当を食べるアホは誰だー?」
興味本位でそんなアホが誰なのか知りたくなり、目を凝らしてみた。
……ん? なんだか、見覚えがあるような……。
肩に掛かるくらいの綺麗な黒髪、華奢な体型、凛とした顔立ち……あれっ!?
ここで俺は気が付いた。
あの人、俺の好きな山下 涼じゃね!?
そう、あの人は間違いなく、山下 涼であった。
どこからどう見ても山下 涼である。
普段暇な時に彼女を観察していた俺がそう思うのだから、確実にそうである。
「ハァハァハァハァ……」
彼女を見つけるや否や、俺はまるで本庄 力斗バリの過呼吸になった。
そして、彼女から逃げるようにこの場から忍者の如く去ろうと考えた。
しかし、俺の心の中で天使と悪魔の葛藤が起こる。
『行っちゃえよ〜凄森。好きなんだろ? 彼女にアタックしろよ!』
『だめだよ、突然のアプローチはかえって逆効果だよ。その前に、凄森くんなんかにそんな勇気ある訳ないよ』
『はっ、それもそーだな! 俺ってやっぱりアホだわ! 凄森にそんな勇気ある訳ねーもんな!』
『そうだよ、凄森くんは大人しく巣籠るのがお似合いだよ』
……え? もはやお前らどっちも悪魔じゃねーか、俺の事をなんだと思ってんだよ!
普通は心の中の天使と悪魔と言ったら、少なくとも天使の方は優しくしてくれるのが一般的なのに……なんで俺の天使はこんな酷いの!?
もはやアンタも悪魔だよ!
……くそぉう、こうなりゃヤケだ。
俺は決めた。今ここで、彼女に告白してやる!
見てろよ、腐れ悪魔どもめ!
そうして、俺は今ここで山下 涼に告白する事を決めた。
出来る限り頑張ります。
ブックマークや評価(下の方にある☆☆☆☆☆マーク)をして頂けると嬉しいですし、励みになります。