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セティの傷
「それでも可愛いセトに万が一の事があれば…!」
「ピアージュ。その時はその時だ。セトはそれまでの器だったという事だろう」
コイツら…さっきから聞いてればセトの事しか可愛くないのかって思う、イライラする。
「…ラムセスの背中の傷の事は知ってるのかよ…」
「ヴァン!!」
思わず言っちまった。
「同じ息子なのに、ラムセスは弟たちに、その母親達に傷つけられてるんだけど?それ、知ってるのかよ」
「…知っている」
灰猫王はマントを取ると背中を見せる。
「!!」
そこには古傷とはいえラムセスのようにびっしりと傷が…。
「伝統のようなものだ。力ある兄を疎ましく思う弟は。王位継承戦までの死闘は禁止されている。少しでも力を削ごうと、あるいは八つ当たりのようなものだろう。
私の伴侶であったセルケトは王位継承戦で死んでしまい、私だけが残ったが…」
それはまるでラムセスの未来はこうだって言っているような気がして…。
「ラムセス、どうかセトを守ってね?」
「お任せくださいお義母様」
もう、決定事項だと言わんばかりに会話が勝手に進んで行く。俺様はポツンと取り残されたようだった…。
「さぁ、冷めてしまったが食事を頂こう」
目の前に並ぶご馳走はホテルの料理より豪華なのに味が全く分からなかった…。
(所詮、俺様はセトの代わり…なんだよな)




