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幸せと絶望
指輪屋の主人はショーケースからペアリングを取ると急いで機械にかけ、内側をジョリジョリ削り出す。
「何してるんだ?」
「名前を彫っている」
「ふー…そ、そうなんだ」
ふーんって言いそうになって慌てた。
指輪を受け取り、はめようとした時なんとなく内側を見てみると
すっごい小さい文字で
「ラムセス&ヴァン」
と彫ってあった。
「!!ラムセス…」
それに気付いたのかラムセスはウィンクして見せる。
(やっぱり、俺様の事…)
愛してくれているんだと実感出来て涙が出そうになった…。
「さぁ、帰ろう」
「うんっ!」
しかし、楽しい事は続かなかった…。
「よう、ラムセス。帰ってたんか」
ラムセスの自室に案内されていたその時、嫌な声が後ろからかけられた。
「ぁ…」
振り返ると汚い柄の猫人が数人、こちらをニヤニヤしながら見ている。
「へぇー。セトを見つけたんだ?!じゃあ結婚するんだ?へぇー」
1人がラムセスに近づき、腕を首に回す。
「お前がいない間、ストレス溜まってたんだよねー」
「そそ。母上達もイライラしてるよ。
地下室行こうか?オ・ニ・イ・サ・マ」
「や」
やめろって言おうとした瞬間、バッと手を横に上げられ、指差す方には扉があった。
「其処が私の部屋だ。先に行っていなさいセト」
「でも!」
ラムセスからあの赤いオーラが溢れ出す。口答えはさせないというかのように…




