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セトの告白 BLスチルあり
「王族じゃなきゃいいのかにゃ?」
「耳と尻尾があるじゃない。ヴァンにはない」
「…ユリの為なら耳も尻尾も千切るにゃ」
そう言ってセト君は自分の耳を引っ張る。
「ちょ、やめてよ!」
慌てて僕はセト君を止める。
「どうすればいいにゃ…どうすればユリは俺に振り向いてくれる?」
「…セト君はヴァンじゃないじゃない。名前が違うし、身分も違う」
「じゃあ名前をヴァンに変えるにゃ。身分も捨てる」
「何でそこまでしようとするの…?!」
そう聞いた瞬間、セト君は僕の肩を抱き、頬にキスした。
「ユリが好きだからにゃ。ユリの為なら身分も耳も尻尾も名前も捨てる」
ざぁーっと湿気を含んだ風が吹く。
愛する人と同じ顔を持つセト君に…一瞬心が揺らいだ。
「俺はユリに悲しい想いはさせないにゃ。いつ如何なる時も一緒にいると誓う。
だから、ヴァンを忘れてこのまま俺を選んでほしいにゃ」
手をぎゅっと握られ、懇願するように見つめられる。
「……」
…答えは決まってる…でも、その答えが揺らいでしまう。
生まれた時から一緒だった、大好きだった、愛していた人を忘れるだなんて出来ない…
「……ごめ…」
ポツリ…ポツリ…
僕の答えを遮るように雨が降り出した。




