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第3話「ヴァンとラムセス」~ ユリ side ~
第3話「ヴァンとラムセス」
~ ユリ side ~
「まだ岸も見えない」
今日も地平線まで続く河を船首から眺め、僕はため息を吐いた。
「世界一の河と言われるだけの大きさはありますね」
「アルム」
僕の後ろに現れたのは半山羊人のアルム。ヴァンが最も信頼している船のクルー。
「セト君の具合は?」
「まだ熱が引いていません。三日風邪の症状ですからユリは近付いちゃいけませんよ」
三日風邪と言うのは子供がかかる風邪で、大人になるとうつらないらしい。一応僕はセト君と年齢が同じだから三日間接触禁止。
まぁ、三日はこの河を渡るのにかかるから支障はないんだけど…。
「分かってる。
セト君が治る前に僕がうつると治ったセト君がまたうつって延々と続いちゃうもんね」
「その通りです」
「寝室、アルム達と一緒にすればよかったなぁ」
今の僕の寝床はお父さんとお母さんの部屋に移してある。今まで一緒に寝て来なかったから凄く気まずい。
「獣臭いからやめておいた方がいいですよ。パッチョのいびきなんか地響きクラスで寝れませんし」
「確かに。僕達の部屋まで聞こえてくる」
ふふっと笑うと僕はまた前を見る。
「ヴァンはどうしてるだろう…」
「さぁ?今頃はもう灰猫領に着いた頃でしょう」




