モブだって思い出したんですけど
「ライラック、君との婚約を破棄する」
きらきらと光るシャンデリア、揺れるろうそくの明かり。
ここは、貴族の子女が通う王立魔術学院の、新年を祝う年越しのパーティ会場。着飾った貴婦人や貴公子の卵たちがひしめき合っていて、思い思いに過ごしているはず……なのに布ずれの音しか聞こえて来ない。
不意に響いた声で、音楽も止まってしまって。
声の方に歩み寄ると、人垣の向こう側にぽっかりと空間が空いていて、見知った顔がちらほら見える。
中央には女性が一人、立ち尽くしていた。
豊かな黒髪を流した真っ白な肌のローデシア公爵家のライラック様。
王太子殿下の婚約者として、また生徒会の副会長としても学園内では知らぬ者のいないお方。
対峙するように立っているのは一組の男女。
男の方は王太子フレデリック様。整えられた銀髪の隙間から深い緑の瞳がのぞいて、普段ならばにこやかな笑顔に女性たちの黄色い声が飛び交うのだけれど、今は怖いほど真剣なお顔で、周りもしんと静まり返っている。
隣に寄り添うのはアリアン男爵家の養女ローズ様。波打つ赤毛がまるで本当に燃えているかのよう。たぐいまれな炎使いであることから、炎の薔薇と揶揄されることも多い。
三人とも生徒会の一員で、王太子様が会長、ライラック様が副会長、ローズ様は書記だったはず。
ただの一般生徒であるわたしにとっては関係のない話であるはずなのに。
どうしてかしら、このシーンをわたしは知っている気がする。何度も見た記憶が……。
そう思った途端、何かが目の前を流れて行きました。様々なシーンを切り取った、いわゆるスチルというものだと……どうしてわかるのかしら。
ローズ様と王太子が楽しげに踊るスチル。
涙を流すライラック様と、それを慰める男性のスチル。あれは確か、宰相の息子のミカエル様。
遠ざかる馬車、打ち上がる花火、揺れるシャンパングラス。
ローズ様とミカエル様のスチル。親密そうに抱きしめられるローズ様の姿。夕日をバックにしたキスシーンのスチルを見た途端、全てが繋がった。
ああ、ここはーーゲームの世界なのね……。
ふうっと目の前が暗くなってーー最後に聞こえたのはパトリシア、とわたしを呼ぶ誰かの声だった。
◇◇◇◇
目を開けると、見慣れた天井だった。どうやら誰かが部屋に連れて帰ってくれたようね。
前世……なのかしら。記憶が戻ったショックで倒れたみたい。その後のことは覚えていないもの。
昔の自分のことだけは思い出せないの……。ゲームをプレイしていたことも、その世界のこともみんな思い出せるのに。
だから、なんだか変な感じなのだけれど。
赤の乙女は何色の夢を見るかーー。
確かそんなタイトルの乙女ゲームは、いわゆるテンプレもの。
平民からアリアン男爵家に養子に入ったローズ様がヒロインで、攻略対象は十人以上。
王太子、宰相の息子、騎士団長の息子に魔術師団長の息子、王弟に大富豪の息子。息子だけでなく、親の世代も攻略可能で、ショタからナイスミドルまで幅広いユーザーを獲得した人気作品だったの。
攻略対象によって悪役令嬢が変わるのが特徴で、仕掛けてくるまで敵がわからない仕様だったのよね、確か。
攻略可能な人物を全て攻略したら隠れキャラルートがオープンして、逆ハーレムルートに突入できる。攻略対象が何人いるかとかは公にされてなくて、攻略サイトのお世話になりっぱなしだったわ。
あまりのルートの多さに、わたしは逆ハーレムにたどり着くまでに飽きてしまったけれど、ファンディスクも結構出てたみたい。
王太子ルートは一番入りやすいルートで、悪役令嬢は婚約者のライラック様。ヒロインはそれまでの選択肢によっては闇落ちして、王太子を落とすために冤罪でライラック様を追い落とし、国外追放させる。
でも嘘がバレたらローズが投獄される獄死エンドを迎える。それを回避するのはかなり難しくて、逆ハーレムエンドよりレアだって書いてあったのを思い出す。
でも。
わたしの知っているこの世界とは違うみたい。
婚約破棄のシーンはまるっきり同じだったし、居並ぶ面々も全く同じ。
でも、ローズ様とライラック様はともに生徒会の役員で、別に仲も悪くない。
五人の攻略対象ーー王太子・宰相の息子・騎士団長の息子・魔術騎士団長の息子・大富豪の息子ーーと、もうひとりの令嬢の八人が現在の生徒会で、ローズ様もライラック様も一般生徒の受けはいいのよ。
普段は冷静そのもので、一見冷たく見えるライラック様だけれど、時折王太子に向けて見せる微笑みが素敵で。まるで花が咲いていくようで、こういうの、ギャップ萌えっていうのかしら。
ローズ様はいつも明るく笑顔で、とても前向きなのよね。平民出身で、貴族層からの風当たりも強いはずなのに、楽しそうにしていたわ。そんな姿が好感が持てるってファンも多いの。
だから、昨日の婚約破棄がどうしても繋がらないのよね……。
気を失っていた間にどういうことになったのか、誰かに教えてもらわなくては。
そんなことをつらつら考えていたら、控えめなノックの音がして、すぐに扉が開く音が聞こえてきた。
そっと体を起こすと、入ってきた人は目を丸くしてこちらを見ている。あれはーー。
「パティ、あなた起きてて大丈夫なの?」
「え……」
ぱたぱたと駆け寄ってきたのは、絶世の美女。
銀色の滝、澄んだ緑色の瞳。白い肌を薔薇色に染め、さくらんぼのような唇がとてもなまめかしくて、女のわたしでもどきっとする。
でも、オーランド公爵家の宝玉とも呼ばれるアーメイナ様が、どうしてわたしの部屋に?
惚けているうちに、アーメイナ様はさっとそばの椅子を引き寄せると枕元に腰を下ろしてニッコリと微笑んだ。
「あの……アーメイナ様?」
「まあ、堅苦しく呼ぶのはよして? いつものようにアリィと呼んではくれないの?」
「へっ?」
淑女らしからぬ声が出たのは許してほしい。
だって、わたしはしがない子爵の娘。それも辺境の貧乏な領主の娘で、方やアーメイナ様は王族にも連なる血筋のお方。
肩を並べるのも言葉をかわすのも恐れ多い方なのに。
今までだって、一度も会話したことはないわよね?
アリィなんて名前でお呼びしたことなんて、絶対にない。あったら間違いなく覚えてるはずだもの。パティと呼ばれたことだってないはず、よね?
それに……わたしは知っている。
アーメイナ様は本当は……男の方だってこと。
ゲームでは、アーメイナ様本人は、魔法具の開発に没頭してしまって、社交界にほとんど顔を出さない人として描かれていた。
代わりに双子の弟君のアレク様が影武者として女装で学園に通わされていたのよね。
アレク様こそ、全ルート制覇した時のみ開く、逆ハーレムルートのキーパーソン。
今回のローズは王太子ルートだから、アーメイナ様の正体は明かされてないはず、よね?
なのに。
どうして、アーメイナ様がわたしの手を握りしめているの?
「あ、あの……」
「手が冷たいわ。暖かくしていないとダメよ?」
さあ、と促されては体を横たえるしかなくて。
でも、ですね。アーメイナ様。……女性の部屋に無断でお入りになるのは、マナー違反です。
男女二人きりになるのも……。
寝間着姿でアーメイナ様の前で横になっているだけで恥ずかしいんだから。
「あの、アーメイナ様……」
「アリィと呼んでくださらないの?」
「あの、そのことなのですけれど……」
「もしかして、わたくしのこと、お嫌い?」
「へっ」
またもや淑女らしからぬ声が出てしまった。反省です。
でも、仕方がないと思う。
そんなーー直球な質問をされるだなんて、思ってもいなかったんだもの。
銀髪を揺らしながら、アーメイナ様は手を頬に当ててため息を漏らす。……そんなほんの少しの仕草でさえ、こちらが顔を赤らめたくなるほどに色気たっぷりで……思わず、中の人が殿方であることを忘れそうになる。
「そうよね……パティのことだもの、強引に押し切ったわたくしが悪いんです。お友達になるのだって、本当はお嫌だったのね。……ごめんなさい」
あの、一人で納得して一人で完結するのはやめて欲しいのだけれど。……わたしには何が何やら全くさっぱり分からない。だって、アーメイナ様とお友達になった記憶、ないんですもの。でも、そんな悲しそうな目で見られると、とても居心地が悪くて。
「いえっ、嫌だなんてこと、ありませんわ」
とりあえず、誤解だけは解かなければ。
そう思って首を横に振ると、アーメイナ様は目に見えて嬉しそうに微笑んだ。
……本当に、中の人は殿方なの?
実はこの世界はわたしの知るゲームの世界なんかじゃなくて、アーメイナ様も本当のアーメイナ様なのかも知れない。
なのにわたしは散々な対応しかしていない。両親がここにいたら間違いなく折檻ものだ。
公爵令嬢と会話することすら夢のまた夢でしたのに、今は目の前にいるんだもの。
「そう言っていただけて嬉しいわ。そうそう、どこか痛いところはなくて? いきなり倒れたからどこかぶつけてないかしら」
言われてあちこち動かしてみます。倒れた拍子に打ち付けたのか、左手の甲が赤くなっていたけれど、それ以外は特に違和感はないみたい。
「大丈夫みたいです。……ありがとうございます、アーメイナ様」
「アリィ」
「……アリィ様」
結局根負けして愛称で呼んでしまいました。とても嬉しそうに微笑むアーメイナ様のお顔が眩しくて、つい視線を外してしまいます。
「あの、アリィ様がここまで運んでくださったのですか?」
「ええ」
ニッコリと微笑むアーメイナ様は、わたしの左手に気がつくと、柳眉を寄せてそっと左手をすくい取られました。
そういえば、光系統の魔法が得意だったはず。もしかして治してくださるのかも、と何気なく見つめていたら、アーメイナ様は顔を近づけてーーチュッと音を立ててキスをした。
それは男性が女性にする仕草と同じで、顔に血が上ってくるのを自分でも感じます。
これ、やっぱり中の人、アレク様?
女性同士でこんなことーー。と思ったら、ふわっと光が舞った。ああ、やっぱり治癒魔法。手の甲の痛みが瞬く間に消えていく。
「ありがとうございます、アリィ様」
頭を下げて手を引き抜こうとした。……けれど手はビクともしなくて、ぎゅっと握りしめられたままだ。アーメイナ様はまだわたしの手の甲に唇を触れていて、くすぐったいというか目のやりようがないというか、いたたまれなくなってきた。
「あ、あのっ、アリィ様っ、ライラック様とフレデリック様はあの後どうなったのですかっ」
とにかく手を離してーーううん、キスをやめてもらわないと、と思って話を振ると、アーメイナ様は少し唇を尖らせて顔を上げた。弧を描く赤い唇がとても妖しく見えて、とっさにそっぽを向く。
……アーメイナ様は女の方なのに、どうしてこんなにドキドキするのかしら。それとも実はやっぱりアレク様がーー。
「そのっ、ライラック様とローズ様は仲も良いですし、フレデリック様を取り合っていたような姿も見たことがありませんもの。とても、その、気になってしまって……」
こんなことを言うのは貴族令嬢としてはとてもはしたないこと。
もちろん、仲の良いお友達とかとはそういった話もするけれど、アーメイナ様はわたしが一方的に存じ上げている雲の上の人で、そもそも口を聞ける間柄でもない。
……少なくともわたしの記憶が確かならば。
こんなはしたないことを話す関係じゃないのだけれど。
でも、こうでもしないとアーメイナ様の気を反らせないんじゃないかと思うんだもの。
「そうね、あなたも生徒会の一員として気になるわよね」
「へ……?」
あの、わたしは生徒会とはなんの関係もないのですが。
「あら、ドロテア様はご結婚が決まって早々に卒業なさったじゃない。あなたは後席に選ばれたのよ?」
忘れてはいないわよね? と言われて首をかしげる。
生徒会役員の女性はライラック様とローズ様とドロテア様の三人。
結婚決まられたのね。知らなかったけれど、わたしが後席?
聞いてないんですけれど。
するとアーメイナ様は申し訳なさそうに目を伏せた。
「ごめんなさい、きっと今日のパーティで公表するつもりだったのね。てっきりもうご存知だと思っていたわ」
それは構わないのですが、わたしが生徒会? ……生徒会の皆様を虎視眈々と狙う他のご令嬢たちの反応が怖い。できることならご辞退申し上げたいのですが。わたしはただのモブなんですから。
「フレデリック様たちのことだったわね。婚約については白紙に戻す、ということで合意なさったそうよ」
「白紙に?」
「ええ。なんでも留学なさるそうよ。ーーライラック様とローズ様が」
「えええっ?」
そんなのシナリオにはなかった。ライラック様はともかく、ローズ様、王太子ルートに入っているのではないの??
「魔術の研究者としてアカデミーから招聘されているのだそうよ。そこに入るためには一時的にでも世俗との縁を断ち切らなくてはならなくて、お二人とも貴族籍からも外されるのだとか」
「そんな……フレデリック様がよく許しましたわね」
「帰って来れば復帰できるからでしょうね。二年後には結婚式だとおっしゃっていたから」
ああ、なるほど。箔を付けに行くのですね。
「そうですか……」
でも、なんだか違和感がある。わたしの知っている世界とここは、やっぱりずれている。
わたしはあのゲームの中にいるのではないの?
ぼうっと思考を巡らせていると、するりと手の甲を撫でられた。
反射的に手を引こうとしたけれど、ぎゅっと引っ張られてしまった。
バランスを崩したわたしは、気がつけばアーメイナ様に抱きしめられていた。
「あ、あのっ」
「大丈夫よ。……心配しなくても。わたくしがいつもそばにいるから」
「え……」
あのっ、そんな耳元で喋らないでくださいませっ。そんな近しい関係じゃなかったと思うんですけどっ。
というか、なんだかすごい力で拘束されているような……。
「あのっ、くるしっ……」
ちゅ、とまた音がして、首筋がぞわりと震える。……い、今く、首にき、ききききすっ!
頭に血が上ってきて、目の前がぐるりと回る。体から力が抜けて行く。……あ、これやばいやつ。
アーメイナ様、なんか魔法掛けたんですかっ。
「大丈夫。……そのままの君で堕ちてきて」
不意に低くなったアーメイナ様の声に目を開くと、至近距離に金色の瞳が見えた。肉食獣の、目。
……やっぱり、アレク様じゃないのーっ!
なんでヒロインじゃなくてわたしが狙われてるのっ!
というか、これ、絶対わたしの知ってる世界じゃないーっ!
ブラックアウトして行く意識の中で、「結婚式は早めにしようね」って聞こえた気がした。
◇◇◇◇
最初に気がついたのは学院の入学式。
フレデリックが挨拶に登壇した瞬間だった。
怒涛のように流れ込んできた記憶に、よく倒れずに耐えたと思うよ、自分でも。
その時すでに姉貴の身代わりとして女装して潜り込んでいたから、倒れたら色々まずかったはずだしね。
でも酷くない? 学院に入る資格は俺だって持ってるのに、俺は病弱って設定で入学は辞退したことにして、姉貴になりきれとかさあ。俺、一応オーランド公爵の跡取りなんですけど。
……あー、はいはい。わかってるよ。姉貴の方が魔術の才能があることも、入学前にすでにアカデミーに招聘されてて入学の必要がないことも、両親がそんな姉のことを手放す気がなくて婿に後を継がせようとしていることも、そのための箔づけとして学院は卒業した体にしたいことも。
だから自分の希望も夢も捨ててここにいるんじゃないか。
でも、記憶が流れ込んできて、状況が変わった。
赤の乙女は何色の夢を見るか
この世界はそんな名前のエロゲーの中だった。あ、前世の俺はちゃんと十八過ぎてたからな。
普通のエロゲーだと、主人公が次から次へと女たちを陥落させ、エロいことを教え込んでヌけるって奴なんだけど。
このゲームはファンタジー色の強いロープレもできるような舞台設定だった。
主人公は様々なキャラになることができて、攻略相手も実に豊富に取り揃えられていた。少なくとも選べるキャラは三十人、攻略相手はそれ以上いた。
同名の乙女ゲームもあって、そっちは姉貴がズッポリはまってたっけ。
……時々俺のエロゲーをプレイしてるのも知ってたけどな。俺の部屋でオナんなよ、まったく。
ともあれ、ゲーム自体は好評だった。ダウンロードコンテンツも全部買った。ファンディスクも買った。
その中のお気に入りがモブに恋するシナリオのファンディスクだった。
ハマった。
なんていうか、エロくない。
いや、何言ってんだお前って思うだろ?
エロゲーなのにエロくないのにハマったとか、バカじゃねえのって散々なじられた。……姉貴に。
そうそう、前世の姉貴って今の姉貴そっくりなんだよな。やりたい放題な暴君っぷりとかさあ。……ほんといやになる。
閑話休題。
で、それも思い出した俺は、アーメイナとして彼女に近づこうとした。
……努力はしたよ? うん。あんまり気がついてもらえなかったけど。
公爵家の姫君っていうのが仇になっちゃったんだよなあ。
いや、エロゲーではアーメイナとしてじゃなくアレクとして、アーメイナのご学友ということで遊びに来た彼女と知り合う。
……んだけどさあ、姉貴が俺で、どうやって俺と彼女が出会うんだよって話。それ以前にアーメイナとも仲良くなれてないからっ。
全然気づいてくれなかった。
だから、年越しパーティーでぶっ倒れた彼女を介抱する役を手に入れられてラッキーだった。
ついついアーメイナとしても距離を縮めたくてちょっと強引な手を使ったけど。
……ドレス姿で女性を横抱きしたの、まずかったかなあ。まあ、生徒会の面々にはバレてるから、生ぬるい目で見送られたのは痛かったけど。
手の甲にキスをした時の反応が実に初々しくて、やっぱり欲しくなる。
アーメイナとしての呼び名ならアミィが妥当だけどそれは嫌だから本名に近いアリィと呼んでもらった。
彼女の反応から本当に記憶されてないんだなあとがっかりする。以前茶会で一緒になった時に色々話もしたし名前呼びもしてもらったんだけど、なかったことになってるし。
だから少しだけいたずらをする。
女の子として抱きしめるのは、おかしいことじゃないよね?
そう思って抱きついたんだけど、美味しそうな首が目の前にあって、我慢できなかった。
……俺、こう見えても健全な男子だからなっ。
思わず舐めたら目を回してしまった。
でもあの表情。……俺のこと、バレてる?
もしかして、知られてた?
なんだ、それならそうと早く言ってよ。
「そのままの君で堕ちてきて」
チュッと音を立ててキスを落とす。
早手回しで囲い込んでしまおう。
ちゃんと俺として見てもらえるように、俺に恋をしてほしい。……ファンディスクと同じように、とは言わない。だって出会いから違うからね。
まずは我が家に招待しよう。話はそれからだ。
「結婚式は早めにしようね」
全力で落としに行くから。
すみません、連載版を書きだしたらどうしてもR18になっちゃうので、そちらはムーンさんに公開しています。
18歳以上の方で気が向いた方がいらっしゃればぜひ検索してみてくださいませ