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44・4人の幼馴染




「トール、クララ姐と何の話をしてたの?」


灯りのついた店に戻ると イザベルが 心配そうな顔で尋ねてきた。


イザベルの家とクララさん、アグネスの姉妹の家は

お互い貴族同士、家族ぐるみで仲が良く

小さな頃から イザベルさんの兄を交えて4人、いつも一緒に遊んでいたそうだ。


それで 今でもイザベルは クララさんの事を『クララ姐』 と呼んでいた。


イザベルになら 話してもいいかと思った矢先に

クララさんが 後ろから割り込んできた。


「ん〜とね、イザベル、トールさんが それは ふたりの秘密って……

だからイザベルにも言えないの……」


確かに『他には漏らしませんから』とは言いましたけど……

その言い方だとちょっと……

明らかに狙って言ってますよね?


妹も同然のイザベルを揶揄いたくなる気持ちも分からなく無いけど。


最近のイザベルの様子を見てるとさすがに鈍い僕でも

彼女が 僕に好意を持っていてくれるんだろうって感じる。

まあ、勘違いの線も捨てきれないけど……


以前から その事で

周囲にからかわれているって話をイザベルから聞かされてはいたけれど

もし本気で僕の事が好きとかだったら

イザベル本人が そんな話題を僕に言わないだろうって思ってた。


だからそんな事は無いって思ってたし、

だって貴族令嬢で美少女ですよ?

お店の顧客以上の関係とか考えられ無かったけど

どうもここ最近 、もしかして?って思う。


イザベルの友人達に紹介してもらって一緒に話す様になると

クララさんやアグネスの イザベルへの冷やかしの会話とかも聞こえてくるし

イザベルのそれに対する反応とかも見ちゃったりしてるとね……

勘違い?しちゃってもしょうが無いでしょ?


外見だけじゃなく優しくて賢い女の子だしさ……


「トール⁉︎ 次期聖女様っていっても

クララ姐なんて 今日会ったばっかりじゃない!

私達だって心配なのよ?何なのよ⁉︎」


余計な考えに浸っているとイザベルが 僕の腕を掴んでいた。


その通りだった、

イザベルはシャルロットの件も最初から自分の事みたいに心配してくれて

そもそもクララさんやアグネスを紹介してくれたのだってイザベルだ。


イザベルが僕の事をどう思っていようが

僕が 彼女に隠し事をすることがあるとしたら

『それが伝える事がイザベルの為にならない 』

そんな場合だけじゃなきゃおかしい。


「クララさん、ごめんなさい。

僕は イザベルには全部話したいです……

それに さっきはかなり危ない話が出るのかと思ってましたからああ言いましたけど

実際、その逆で安全だったって話でしたし…… いいでしょう?」


クララさんはニッコリと笑顔を返してくれたが 僕には返事をくれなかった。

イザベルのほうに向き直ると 彼女の頬にそっと手をあてた。


「良かったわね?『イザベルには全部話したい』んですって 」


「な、何が良かったわねなのよ?わ、私達、仲間なんですから!

と、とーぜんでしょ⁉︎ 」


真っ赤になって嬉しそうに怒るイザベルの顔を見て

僕は しばらく勘違いさせておいてもらおうかな って思った。

ちょっと自惚れさせてもらうくらいならいいでしょ?



シャルロットも食器のかたずけが終わって戻って来たので

クララさんに再確認してから

さっきの外での話と僕の意思を全員に聞いてもらった。


少なくとも現時点では アンデット討伐は

害獣駆除レベル程度の危険性しかない事。

ただし 護身の為に魔力の特訓は 行う事。

シャルロットには同行してもらう事。


「だ、だったら私も行く!

ウチは武闘派貴族だから兄貴と一緒に剣術の稽古だってしてきたし、

火魔法だって実戦レベルって先生にも言われてるし、

クララ姐もシャルロットも心配だしぃ⁉︎」


イザベルさん⁉︎ そこであえて僕の名前を抜かさないでください‼︎

逆になんかそれって ?意識し過ぎか?

コッチが照れ臭くなっちゃうでしょ⁉︎


「ま、まあ、対人戦闘なら この中じゃイザベルが1番強いし、

連れてってあげたら?クララ姉様 」


クララさんの実妹でもある親友のアグネスからもイザベルへの援護があった。


「う〜ん、私は いいんだけど〜アルフォンスがなんて言うかなのよね〜?」


アルフォンスさんっていうのは イザベルの兄さんで

確かクララさんと同い年だって聞いていた。


「なんでアル兄に聞かなきゃいけないのよ⁉︎

それに今 遠征中で しばらく帰ってないから 関係ないわよ!」


イザベルはそう言うけど 危険性が少なくなったとは言え

貴族令嬢が 戦地に行くのに両親、家族に了承もらわない訳にはいかないだろう。


イザベルに詰め寄られたクララさんは困った顔でいった。


「そりゃ 家には居ないわよね。

アルフォンスったらわざわざ志願したらしくって

北方国境線討伐隊勤務なんですから 」


「………あ、あの馬鹿兄ィ〜〜……そ、そこまでクララ姐のことぉ〜〜……」


どうやらアルフォンスさん、クララさんにご執心で心配過ぎて転属しちゃったのか?

イザベルとアグネスの話で時々話題になってたけど……そこまでする?


「イザベル、あんた達 ……さすが血の繋がった兄妹ね………そっくり……」


アグネスが 慰める様に 親友の肩に手をかけた。


「「「あ、あんな剣術とクララ姐の事以外に考えてないアル兄ィと一緒にしないでよ!」」」


また真っ赤な顔でイザベルは せっかくの親友の手を払い除けた。


「いっしょよ、悲しいくらいいっしょ、……」


そう言いながら アグネスは払い除けられてもまた親友の肩に両手をのせて言った。


あの親友は 天然なのか?狙ってやってるのか?


普段のアグネスが 天然なだけに 判別がつかなかったけど

女同士の事にはあえて踏み込んじゃいけないって事だけは 僕にも分かっていた。




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