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717 わからん人
夜、居間でごろりと寝ころんでテレビを見ていた妻が、オレの方を見て言う。
「なんか寒くない?」
「いや、べつに」
少したって、また妻がオレを見て言う。
「ねえ、寒くない?」
「いや、オレはぜんぜん寒くないけどな」
「うち、寒いんやけど」
「そうなんか、どうしたんやろうな」
熱でもあるのかと、ちょっと心配になった。
「ほんと、あんたってわからん人やね」
「何が?」
妻いわく。
「私が寒いって言ったら、毛布かなんか持ってきてっていうことやないね」
夜、居間でごろりと寝ころんでテレビを見ていた妻が、オレの方を見て言う。
「なんか寒くない?」
「いや、べつに」
少したって、また妻がオレを見て言う。
「ねえ、寒くない?」
「いや、オレはぜんぜん寒くないけどな」
「うち、寒いんやけど」
「そうなんか、どうしたんやろうな」
熱でもあるのかと、ちょっと心配になった。
「ほんと、あんたってわからん人やね」
「何が?」
妻いわく。
「私が寒いって言ったら、毛布かなんか持ってきてっていうことやないね」