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659 ひとつになれるとき
夜、テレビを見ているときだった。
「蚊よ!」
妻が叫んだ。
蚊が一匹、テレビの前を通り過ぎ、それから天井へと向って飛んでいく。
「あんた、シューは?」
「オレの部屋や」
「早く取ってきて!」
妻に言われ、オレは自分の部屋から殺虫剤を手に取って返した。
「どこや?」
「ほら、あそこ」
妻が天上の一点を指さす。
オレはそこに向けて殺虫剤を吹きかけた。
蚊が落ちる。
「やったな」
妻いわく。
「こんなときぐらいやね、うちとあんたがひとつになれるんは」
夜、テレビを見ているときだった。
「蚊よ!」
妻が叫んだ。
蚊が一匹、テレビの前を通り過ぎ、それから天井へと向って飛んでいく。
「あんた、シューは?」
「オレの部屋や」
「早く取ってきて!」
妻に言われ、オレは自分の部屋から殺虫剤を手に取って返した。
「どこや?」
「ほら、あそこ」
妻が天上の一点を指さす。
オレはそこに向けて殺虫剤を吹きかけた。
蚊が落ちる。
「やったな」
妻いわく。
「こんなときぐらいやね、うちとあんたがひとつになれるんは」