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624 リップクリーム
コタツの上にあったリップクリームをそろりと使わせてもらった。
妻専用のものなのだ。
ところが運悪くそこを見られてしまった。
「それ、もういらんけん捨てて」
妻が口をとがらせて言う。
「べつに捨てんでもいいやろ」
「あんたが使ったあと、使う気がせんやろ」
「ちょっと塗っただけなんやけど」
「早く捨ててちょうだい」
「ティシュで拭くけん」
「そんなことをしてもダメ!」
「そんなにイヤか?」
妻いわく。
「口がはれて、ウソつきになってしまうんよ」
コタツの上にあったリップクリームをそろりと使わせてもらった。
妻専用のものなのだ。
ところが運悪くそこを見られてしまった。
「それ、もういらんけん捨てて」
妻が口をとがらせて言う。
「べつに捨てんでもいいやろ」
「あんたが使ったあと、使う気がせんやろ」
「ちょっと塗っただけなんやけど」
「早く捨ててちょうだい」
「ティシュで拭くけん」
「そんなことをしてもダメ!」
「そんなにイヤか?」
妻いわく。
「口がはれて、ウソつきになってしまうんよ」