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愛妻語録  作者: keikato
452/719

452 本当の姿

 体を横向きに倒し、コタツから収納ボックスに手を伸ばしていたら、

「あんた、足がないんね?」

 妻が皮肉をのたまう。

「足ぐらいあるわ」

「なら、ちゃんと立って取ったら?」

「こうやって這えばすむんでな」

「一度コタツに座ったら、芋虫みたいに這うことしかできなくなるんやね」

「芋虫も、そのうち蝶になる」

「でもあんた、ずっと芋虫のままやないね」

「じゃあ、今から蝶になって見せてやるわ。オレの本当の姿をな」


 妻いわく。

「いい、見たくないけん」


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