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384 家の中の臭い
2019.3 作
窓の外、降る雨を見て、子供たちが幼いころのことを思い出した。
こんな雨の日は、布オムツが窓際に干されていたものである。
そのことを妻に話す。
「雨の日は、いつも窓んところに布オムツがぶら下がってたな」
「そうやね」
妻もなつかしそうに窓を見やる。
「くさかったな、居間じゅうに臭ってから」
「玄関も、ほら運動靴の臭いが」
「今じゃ、そんな臭いも消えてしもうたな」
妻いわく。
「そんなことないわよ。あんたの臭い、家じゅうで臭ってるやないね」




