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368 ドッグフードの味
2018.3 作
台所にドッグフードの使いかけの袋があった。
正月に帰省した長男家族の愛犬のものだが、そのあまりである。
ドッグフードなるもの。
いかような味なのかと、オレはちょっと味見をしたくなった。
一粒つまんで口に入れる。
ジャリジャリとしてまずい。
「ねえ、おいしいの?」
背後から妻に声をかけられた。
食べているところを見られていたようだ。
「食えんことはないな」
妻いわく。
「かわいそうに、あんた。とうとう犬のエサまで食べるようになってから」




