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愛妻語録  作者: keikato
34/719

34 ジャンプの前

 童話の作品を応募しようと封筒に宛名書きをしていたところ、隣で妻が憎まれ口をたたく。

「ねえ、あんた悲しくない? どうせ落ちるとわかってて応募するの」

「そんなの、送ってみらんとわからんやないか」

「ならこれまで、なんか賞をもらったことがあるん?」

「なんもない。けどな、人はジャンプする前、一度はかがむもんやろ。オレは今がそのときなんよ」


 妻いわく。

「だけど、あんたみたいにずっとかがみっぱなしだったら、足がしびれて立てんやないね」


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