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339 金がたまる福耳
2016.12 作
妻がオレの顔を見て問うてくる。
「あんた、自分の顔でどこが好きなん?」
「みんないいけん、どことは言われん」
「じゃあ、あえてひとつだけといったら、どこだと思う?」
「そうやな、この耳かな」
オレは耳たぶを指で引っぱってみせた。
「どうして?」
「耳たぶがふっくらして大きいやろ。こんな耳は、お金がたまる福耳と言われたことがあるんや」
「なら、いっぺん掃除したらいいわ」
「なんでや?」
妻いわく。
「耳クソがいっぱいたまってるやろうけん」




