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314 二人で一人前
2016.12 作
最近、物忘れがひどくなる。
さらに体力は落ち、なにをするにもすんなりといかなくなってきた。
それまで一人でできていたことも、妻の手を借りることがしばしばである。
それは妻も同様だ。
今日も二人。
そろって台所に立ち夕食の支度を進めた。
料理をしながら妻に話す。
「情けないけど、これが歳をとるということなんやろうな」
「いいやない。二人でやれば一人前なんやから」
「そうやな」
妻いわく。
「といっても、そのうちあんたの分は二割やけどね」




