愛妻語録

176 心は天使

　夜九時のテレビニュース。

　性同一性障害の男性のことが放映されていた。

　その人は物覚えがついた頃から自分が男であることに違和感を持ち、ずっと悩んで生きてきたという。

　一緒に見ていた妻と話す。

「つらいんやろうな。体は男でもって、心は女。そんなんで、ずっと生きていくんやけん」

「ねえ、あんたは違和感がない？」

「ある、毎日のようにな」

「それって人間であることに？」

「ああ。オレ、こう見えても心は天使やけん」

　妻いわく。

「もう寝たら？」