2.惑星は死んだ歴史の断片ではなく、生きた詩だ。
宇宙では様々な惑星に、様々な種族の生命体が住んでいた。
各惑星の住人は独自に発展し続け、いつしか広大な宇宙に進出しようと考えるようになった。それはきっと、知的生命体なら当然の欲求であり、おそらく本能だったのだろう。
いくつかの先進的な惑星が宇宙に進出できるようになるまでに掛かった時間は、不思議なことにそう違いはなかった。
様々な惑星から、様々な船が、宇宙に進出した。
そして、いつしか誰とも無く他の惑星を植民地にするため侵攻が起こったのだった。
戦いの勝敗を左右したのは、惑星そのものの持つ資源力、そして軍事技術力であった。
後にそれらは「惑星格差」と言われた。宇宙の環境や戦闘に耐えうる戦艦を生み出す資源や技術の無い惑星は、ただただ、惑星外からの侵略を受け入れるしか無かった。
そうして数多の星が滅ぼされた。
戦争が落ち着きを取り戻した頃、ある資料が発見された。
戦いによって為す術も無く滅ぼされた惑星のひとつ、その映像だった。
美しかった。そこには景色があった。鮮やかな色があった。様々な環境があり、それに適応した様々な生物がいた。命があった。息吹があった。その星は、確かに生きていた。
誰もが既にその美しき宝が滅ぼされてしまったことに、悲しみを覚えた。
そうして、技術や資源の無い惑星を支援、保護する条約が宇宙間で結ばれたのだった。
そのために、特派員と呼ばれる調査員が惑星に赴き、どのような援助が必要か判断するための材料を集めるのだ。
彼らは、正式名称を要支援後進的惑星調査特別派遣員という。