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モンスターズ・バトル&ゲーム  作者: まるいもの
1章 プロローグ
8/36

ゴミスキル+ペン=ルーンマジック

「びええええぇぇぇぇぇぇ」


マリアが泣きながら走り去っていく。気持ちは分かるが俺のほうがダメージは大きいぞ・・・・・・


ふらふらと廊下を進んでいたら窓から猫が入ってきた。


《おおー異世界にも猫は居たんだな、ほれっこっちおいでー、その愛らしさで俺を慰めてくれー》


『フーーーッ』


あれ?めっちゃ威嚇されてるぞ?あっそっか、俺スライムじゃん捕食者だよ。


『フシャーッ』


猫が襲い掛かってきた!


  猫  VS  グリーンスライム(瞬)


猫の引っかき、瞬に一ダメージ


《流石に猫になんぞ負けるかー捕食者をなめるなあああ》


瞬の攻撃、猫はひらりと避けた。


猫の引っかき、瞬に一ダメージ


瞬の攻撃、猫はひらりと避けた。


猫の引っかき、瞬は二ダメージ


瞬は逃げ出した、ズザザザザザ


《ぎゃあああああ、猫にすら負けるうううううう》


俺は必死になって逃げ出すが、猫の奴は俺を逃がす気が無いらしい、やばいっ。


何処かっ何処か逃げる所おおおお、!!部屋の一つがほんの少しだけ扉が開いている。


《あそこならスライムは入れても猫は入れないはず!》


俺は出来るだけ体を薄くして扉の隙間から進入を果たす。

がりがりがりと扉を引っかく音が暫く続いたがどうやら諦めたらしい、音がしなくなり気配も遠ざかる。


《おっ俺は猫にすら勝てないのか・・・どうやって生きていけばいいんだ?》


捕食対象である小動物にすら勝てない・・・このままでは餓死する可能性が高いぞ。干からびたスライム、洒落にならねー!!


逃げ込んだ部屋は倉庫代わりに使われているらしく、物が乱雑に置かれていて、少し暴れただけで物にぶつかり崩れ落ちる。


《ぎゃああああ潰れるううううう》


何とか崩落から逃げた俺の上にぽよんと何かが跳ねた。


《ペン?》


それは一本のペンだった、どうもペン先はわざと潰されているような作りで、全体的に太く白色でこの世界の文字らしき物が刻み込まれている。


《結構いい作りなのになんでペン先が潰れてるんだ?》


俺が体でペンを突っついていると、バンッと勢いよく扉が開け放たれる。


《ひゃっこうひぃぅぅ》


「こんな所に居たのですか、なぜおかしな声をだしているのです?おかしいのは存在だけにしてください」


《いきなり扉が開くからビックリしたんだよっ、あとナチュラルに罵倒するのはやめてっ》


「・・・それは・・・ペン型魔法具、書ける君ですか・・・」


《この世界のアイテムは名前がなんか微妙だよなっ》


「ふむ・・・もしかするといけるかも知れませんね・・・一つ賭けてみますか・・・」


なっなんだ?いきなりぶつぶつと言い出したぞ、このメイド怖いんですけどっ。


ベアーチェさんはペンを拾うと迷い無く俺に突きたてた。ドシュッ!


瞬は一ダメージくらった、残りHP1。


《なんでえええええ、せっかく回復したHPがまた減っちゃったよ!!》


「ゴミ・・・いえ、スライムは姫様の事をどう思っていますか?好きですか?嫌いですか?」


《あんた、俺の名前覚えて無いだろう!マリアの事?人をスライムにしておいてゴミだのいらないだの言われて好きになれるわけ無いだろう?》


「ふむ・・・そこからですね・・・少し昔話をしましょう」


《えっ?いや別にしなくていいけど》


ガシッ、ギリギリギリッ


《へっちゃうHPがへっちゃう、あと1しかないのおおおおお、聞きます、聞かせてください》


ぽいっと捨てられる俺・・・もうお家に帰りたい。


「今から五年ほど昔の話です・・・」


当時最強と言われた魔王アデーレ。その魔力は膨大であり転生の秘儀を使いこなしては、配下の者たちを次々と強化し勢力を伸ばしていました。


しかし最強の魔王も病気には勝てませんでした。斑点病、体中に紫色の斑点ができ体の真から魔力を奪っていく死病。


魔王アデーレは自分の死期を悟り夢を娘に託しました。当時七歳の娘は母親の夢を必ず叶えると死に際に約束をしたのです。


夢とは魔属領の統一。我々魔族やモンスター達は弱肉強食が覆す事のできない自然の摂理。しかし魔王アデーレはせめて魔族だけでも統一する事でその摂理を覆そうとしました。


何故そんな事をしようとしたのかは分かりません、しかし、娘はその夢を引き継ぐ事を決心したのです。


ですが、その娘はとてもへっぽこだったのです、何をしようといつも失敗ばかり。先代魔王の義理で仕えていた部下も一人去り二人去り、ついには使い間一羽とメイド一人しか残らなかったのです。


それでも娘は諦めませんでした、なんど失敗しても召還魔法を行使し、いつか母親の夢を叶えれると信じ今も諦めることなく努力を続けているのです。


《ぶわわわわわっ(泣)、まっマリアにそんな事情があっただなんて、そうか、それなのに始めて成功した召還魔法で、できた従者がスライム(弱)だもんな、泣きたくもなるよなっ》


(単純ですね、さすがスライム)


《ベアーチェさん、俺にも何かできることはありませんか?》


「スライムはこの世界の魔法がどういう仕組みになっているか分かりますか?」


《いや、知らないけど、あと名前はシュン・ハットリだから》


「魔法とは、魔力を通した言葉又は音で世界に引き起こしたい事象を語りかける事により使うことができます。たとえば【ファイヤー】を使いたい場合は声に魔力を通して世界に【ファイヤー】を出したいと語りかけます、そうすると魔力分相当の火の玉が現れます」


《ああ、だからスライムは発声器官がないから魔法が使えないんだな》


「そうですね、ただ、何事にも例外が在ります、その一つがペンに魔力を流し込み、空中に魔力の文字を描く事によって世界に語りかける方法。私たちはルーンマジックと呼んでいます」


《おおっそれがあれば俺も魔法が・・・・・・ってスライムだからペンがもてません!》


「あなたに突きたてたペン、それは書ける君という魔法具で、念じるだけで動く魔法が掛かっています。空中に文字がかけるので一時期流行ったのですが直ぐに廃れました」


《え?なんで?》


「文字を書くより声を出すほうが速く効率がいいからですね」


《あーそれはそうですね、文字を書くより声を出すほうが早い》


「スライムが魔法を使うにはもうその手段しか残っていないでしょう」


《有難うございますベアーチェさん、希望が持てました、あとシュン・ハットリです》


「それでは、私は仕事が残っていますので失礼します」


《あっ待ってください、最後に・・・なんでペンを突き刺したの?》


「趣味ですが何か?」


《いえ・・・・・・何でもありません・・・・・・はい》


(あと、少し弄らしてもらいましたが)


《うっし、まだ希望は残っていた。みてろよ猫よ次にあうときは貴様の最後だ、わはははははは》



      ◆◆◆◆◆◆◆◆



《ふぬぬぬぬぬぬ、ぐぬぬぬぬぬぬりゃああああああああああ》


コロコロコロ。


《ゼヒュゥーゼヒュゥーゼヒュゥー、なっなかなか動かないぞ》


あれから一時間ほど動けー動けーと念じてみたが、偶に転がるだけでまったく動かせない。


どうしてだ?なにかやり方が違うのだろうか・・・・・・うーんうーんうん?


部屋の外から此方を窺うあの頭はマリアか?長く綺麗な銀髪が隠れきれずに見えてしまっている。


うーん、ベアーチェさんから昔話をきいて、今はもうマリアをどうこう言うつもりはなくなったけど、ゴミだのいらないだの言われるのはきついなー。


それから暫くうんうん唸ってみたがまったく成果が上がらない。


《くそー、これが最後の希望なのにまったくうまくいかないぞ、なんでだ?》


それにしてもだ・・・・・・マリアのやつ、扉の付近でうろうろと何やってるんだ?いいかげん声をかけるか。


《マリアっ、そこでなにやってるんだ?》


「にょわわ~・・・・・・にゃっにゃー」


《フシャーッ!!》


「にょわ~、なっなぜ怒るのじゃー」


《いやすまん、猫は今のところ敵なんだ、いいから入ってこいよ、さっきからずっといるんだなにか用があるんだろ?》


「むっむぅ、なっならば入るのじゃ・・・・・・そっそのシュンは書ける君の練習をしているのじゃろう?」


《まあそうだけど、よく見ただけで分かったな》


「それはじゃなー、ベアーチェがそっその、スライムがわらわのために書ける君の訓練をしておると聞いてじゃな」


《うっ、まっまあな、それにっ俺もこのまま最弱じゃ生きていけないしな、だから魔法が使えるようになるのは絶対条件なんだ》


「わらわが手伝ってやるのじゃ、昔はわらわも書ける君を使って遊んでいたのじゃ」


《おおっそれはありがたいな、どうにもコツがつかめなくて苦戦してたんだ》


「でわコツを教えるのじゃ、先ずは・・・・・・」


《ふむふむ・・・・・・》



      ◆◆◆◆◆◆◆◆



なるほどな・・・・・・俺は念動で動かすということにこだわりすぎてたのか。


マリアがいうには念動で動かすにしても、手の延長として考えると動かしやすいらしい。

元人間だからこそ手をイメージしないと旨く動かせなかったのかもしれない。


《よしっいくぞ》


「がんばるのじゃっわらわが応援してやるのじゃー」


《ぐぬぬぬぬぬぬ、とりゃああああああああ》


ふわっ


「おおっ浮いたのじゃ、ほれ速く動かすのじゃ」


《うぬぬぬぬぬぬ、せいっ》


シュッ、シュシュシュッ


「やったのじゃー」


《これは、コツさえ掴めば簡単だ》


「よしっシュン、何か魔法を使うのじゃっ」


《よし任せろっファイアー》


ふぁいあー


「?」


《あれ?出ないぞ?》


「なんじゃ、このミミズのような絵は」


《え?ふぁいやーって書いた・・・・・・んだ・・・・・・けど?、もしかして日本語じゃ駄目なのか?》


「日本語?シュンの故国語かや?」


《そうだけど》


「うーむ、この世界の言語でないと無理なのかもしれんのじゃ」


《ならさ、マリア、ファイヤーの文字を教えてくれないか?》


「うむ、任せるのじゃ!」


それから十分ほどかけてファイヤーの文字を教えて貰ったが、これはかなり難しいぞ?象形文字かといいたくなった。


だけどここで俺のゴミスキルが実力を発揮したんだ。


---中庭の的当て場---


《おしっ真ん中の人形を狙って、それ!》


俺の念動で書ける君が空中を駆ける。書く文字は5文字【ファイヤー】 スキル、ペン習字が発動する、覚えた文字を綺麗に書くことができるスキルだ! シャッシャシャッ


ペンが空中に【ファイヤー】の文字を描いた瞬間、文字が1つに混じりそこから火の玉が出現した!

ゴウッという音と共に人形にぶつかる、ドンッ!


《おおっ》


人形にぶつかり火が飛び散る、保護魔法が掛かっているので人形は無傷だが、あの大きさの火の玉がぶつかれば普通の生物にはかなりのダメージを与えるぞ!


「やったのじゃ、さすがわらわの従者なのじゃー」


ゴミだとかいらないとか散々いったくせに現金だなー、でも憎めないんだよな、昔話を聞いたからじゃなくて守ってやりたいってつい思ってしまう、そんな魅力をマリアはもっている。


「次はダンジョンでスライム退治なのじゃー」


俺を掴んで振り回しながら駆け出していく。


《まっまて、まだMPが回復しない》


【ファイヤー】一発でMPが五も減るんだ、ルーン魔法は一文字に1MPも使う、ファイヤーは五文字俺のMPは六、つまり一発でMPがすっからかんなのだ、さすが最弱だぜちくしょー。


      

      ◆◆◆◆◆◆◆◆



MP1回復するのに一分、あれから5分経ち俺は今初心者ダンジョン1階にいる。目の前には因縁の相手グリーンスライムLv1・・・今度は勝ってみせる!


「がんばるのじゃ、わらわがついておるぞー」


《任せろマリア、その期待に応えるぜ!》


いくぞスライム!俺もスライムだけどなっ。


グリーンスライムLv1 VS グリーンスライム(瞬)


《食らえええええ!》 シュッシュシュッ


【ファイヤー】    ドンッ!


グリーンスライムLv1に九ダメージ


グリーンスライムに二の炎追加ダメージ


グリーンスライムを倒した、2EXPが入った。


《おおっ一撃だ、やったぞマリアっ・・・マリア?》


マリアが泣いている・・・なんでだ?おれはちゃんと勝ったぞ?


《どうしたんだマリア、何で泣きそうなんだ?何か駄目だったか》


俺がそう聞くと首を左右に振る、そして・・・・・・


「うっ嬉しいのじゃ、ひっく、わっわらわのために頑張ってくれたのは、ひっく、シュンがはじめてなのじゃー、びえええええぇぇぇぇぇ」


俺に抱きつきながらとうとう泣き出してしまった。


《俺が初めてって、マリアにはベアーチェさんがいるだろう?あっあと梟の爺さんも》


「爺はお母様がわらわのために作ってくれた使い魔なのじゃ、ひっく、ベアーチェもお母様の頼みを聞いてわらわと一緒に居てくれるだけなのじゃ。ひっく、皆わらわのことをへっぽこといって出て行ってしまったのじゃー」


《マリア》


「シュンだけがあれほど酷い目にあったのに、わらわのためにがんばってくれたのじゃ、ゴミとかいって御免なさいなのじゃー、びええええぇぇぇぇぇぇ」


自覚はあったんだな・・・・・・


そうか、爺さんやベアーチェさんが居ても、いつも一人だったんだな・・・・・・


《これからは俺が居る、だからもう一人じゃないぞ》


「ぐしゅっ、うん!」


泣いて目を腫らしていても、その笑顔はとても可愛らい、スライムになっちまったけど、今だけはそれも悪くは無いと思った、今だけな。




猫にすら負ける主人公、しかしここからが反撃返しです。


猫よ・・・・・・いずれ決着はつける!!

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