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モンスターズ・バトル&ゲーム  作者: まるいもの
1章 プロローグ
7/36

スライム+へタレ=最弱

「びええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ」


「姫様ーお気をお確かにー爺がついてますぞー」


《へへ……どうせ俺は最弱中の最弱さ……へへへ》


鳥とゴミ(スライム)はどうでもいいとして、泣き顔の姫様を愛でるのもいいですが、そろそろ収拾したいですね。


ん……あれは、またカエルが来ましたか。


「姫様、客が城を訪ねに来た模様です」


「もう、ひっく、どうでもいいのじゃー、びええええぇぇぇぇぇ」


「姫様ー爺が爺がついておりますぞー」


鳥はそればかりですね。


「しかし客を無下にしたとなればアデーレ様の名に傷が付いてしまわれますが」


その言葉に反応してぴたりと泣き止む。


「母様の名前に、ひっく、傷がつくのかや?」


「はい」


「ぐしゅっ、会うのじゃ!」


「それでは先ず顔をお洗いください、それまでに謁見の間にお通しします」


「分かったのじゃ、爺、顔を洗いに行くのじゃ」


「お供しますぞ姫様ー」


とり合えずはこれでよしとしましょう。


《おーい二人とも何処行くんだー、ベアーチェさん俺これからどうしたらいいっすか?》


「この道を向こうに真っ直ぐ進み左に曲がると階段が在ります、ゴミ捨て場はその奥ですが何か?」


《なにかじゃないよおおおおお、ゴミ扱いしないでええええ》


無茶な事をいいますね、このゴミ(スライム)は


「では、私はお客様の対応がありますので失礼します」



     ◆◆◆◆◆◆◆◆



姫様がお顔を洗い終え玉座に坐ります、大きめの冠が頭からずり落ちまったく威厳がありませんね。


「ケロッグ商会のケロッグ・タジン様がお見えになりました」


二足歩行ができるカエルがきました、相変わらず不細工な顔です。


「ケロッケロッケロ。お久しぶりでございますマーセリア様」


「むむむむっ何をしにきたのじゃ、お主なぞ呼んでおらんのじゃ」


「これは異な事を仰る、私が来る用事など借金の取立てに決まっているでは在りませんか」


「あっあんな物は詐欺なのじゃ、無効なのじゃー」


姫様、そんな両手を振り回して、ああ駄々っ子みたいで可愛いですね。


「ケロッケロッケロッ。しかしですねー契約書にはマーセリア様のサインがしっかりと書かれておりますケロ、期日は10日後のコロシアムまで、期日までに返す事が出来なければこの城を賭けてのゲームをするという契約をお忘れなく」


「むきぃぃぃぃぃぃ、お主なんぞコテンパンにやっつけてやるのじゃー」


「ケロッケロッケロッそれは楽しみですねー。しかしマーセリア様にはいまコロシアムに出場できる従者が居なかったはずですねー、なにか目処がつきましたかな?」


痛いところを突いてきます、と言うよりいない事が分かっていて言っていますね。


「うぐっそっそれは~……!」


おや?こんな時にゴミ(スライム)が……間がいいのか悪いのか。


目を泳がせきょときょとと周りを見回していた姫様がゴミを見つけます。


「あっあやつじゃっ、あやつがわらわの従者じゃ」


そういってゴミスライムを指差します。


《ん?なんだ、どうした?》


「ケロッ……スライムにしかみえませんが……」


「こっこやつがわらわの100番目の従者なのじゃー!」


姫様錯乱していますね、目がぐるぐると渦を巻いています。これだから弄るのをやめれません。


「ケッケーロケロッケロッケーロケロッケロッ、すッスライム?スライムが従者、ケーロケロッケロッ、いやいやさすがマーセリア様素晴らしい従者をお持ちで、ぶふっ、そっそれでは10日後を楽しみにさせて貰いますよ」


カエルの顔など分かりませんが、ニヤニヤとしているのでしょうね。


「お帰りですか?ぶさ……ケロッグ様門までお送りいたします」


「今なにか言いそうになったでしょう!」


耳聡いですね。


「申し訳在りません不細工様、門までお送りいたします」


「そっちを言い直すんじゃないよ!見送りなんて来なくていい、私がこの城を手に入れたらじっくり調教してやるから覚えていなさい!」


「二度と来るでないわー、不細工面ー短足ー両生類ー、爺っ塩じゃ塩を撒くのじゃー」


「了解ですぞー」


問題は山済みですね、さて、何から手をつけましょうか。



      ◆◆◆◆◆◆◆◆




《くそー俺のことを放っていくなよー、しかし、スライムって遅いー》


必死になって進むがまったく進まない、流石最弱どんだけ低スペックなんだよ。


それでも進めばゴールは見える、何か話し声が聞こえるな、あそこが謁見の間か。


謁見の間に入ると丁度マリアと目があう、ん?


「あっあやつじゃ、あやつがわらわの従者じゃ」


そう言って俺のことを指差す。


《ん?なんだ、どうした?》


「こやつがわらわの100番目の従者なのじゃー!」


マリアがそう言うとカエル?が大笑いして帰っていく、最後にベアーチェさんと言い合っていたが一体なんだったんだ?


「悔しいのじゃーむきぃぃぃぃぃぃぃ」


《おーい、一体何があったんだー?》


「むむ、シュン殿、じつはカクカクシカジカでしての」


《借金取り!?マリアって借金してるのか、お姫様なのに?》


「騙されただけなのじゃー」



      ◆◆◆◆◆◆◆◆



《つまり一万ディナール(アースマーズの通貨一ディナール十円)を借りた契約書の右端に一ヶ月返済しなかった場合一億ディナールを支払う事。なんていうことが書かれていたと?》


「そういう事ですの」


「騙されたのじゃー」


いや騙す方も騙す方だが、騙されるほうもありえねーよ。


《そんな契約ありえないだろう?無視すれば良いんじゃないのか?》


「そういう訳もいけません、アーズマースにとって契約とは世界に制約を誓うと同義語です」


ベアーチェさんが珍しく真面目に応えてくれる。


「私達は世界に認識される事によって存在する事が出来ます。逆に言えば世界に認識されなくなれば存在する事が出来ません。そして契約とは、私達が世界に向けて約束事をするということです。」


《う、うーん?ちょっと難しいけど、簡単にいうと契約ってのは世界そのものと約束することであって、それを破れば駄目って事》


「はい、更に簡単にいうと契約を破れば消滅するかも知れません」


《うわー、それなのにあんな無茶な契約しちゃったのかー》


「ふぐぅぅぅぅぅ、騙されたのじゃ」


《いや、もうちょっとちゃんと確認しろよ、そんなんだから魔法を失敗したりするんだよ!》


「仕方在りません、姫様はへっぽこですから」


薄っすらと笑みを見せて言い放つ。


「へっぽこ言うななのじゃー、ぐすっ」


このメイド、絶対Sだそれもドが付く奴。


《それで、最後のゲームってのはなんなんだ?話からするに俺を召還して従者にしたのは、そのゲームとやらに出すつもりだったからなんだろう?》


「それはワシがせつぶぎゃっ」「あなたの説明は分かり難いので私が致します」


そういって梟を叩き落すメイド……もしかしてここのヒラエルキーはメイドが頂点にいるんじゃないのか?


「先ずゲームがなぜ出来たのか、それから説明しましょう……」


約六百年ほど昔、ここユーランシス大陸東方は六人の魔王によって覇権が争われていました。

魔王達は自分に仕える軍団を率い、他の魔王達と何時終わるとも知れぬ争いを続け、この大地は荒廃の一途を辿ります。

すでに二百年経っても終わりの見えない戦争、このままでは勝利したとしても残っているのは荒廃した大地のみ。

六人の魔王達はそれでも自分から戦いを放棄する事が出来ません。

しかし、一人の魔王が提案します、それならば戦争ではなくゲームで決着をつけようではないかと。

勿論他の魔王達は納得しませんでした、しかし、それでは自滅が待っているのみ。

従来のゲームでは勝敗に納得は出来ない、ならば自分達でゲームを作ればいい。六人の魔王達はそれぞれの考えや意見を言い合い、三つのゲームを作り出しました。


一つ、バトルコロシアム。円形の闘技場で一対一の戦闘。


一つ、バトルタクティクス。直径二キロのフィールドで五対五の戦闘。


一つ、バトルウォー。直径十キロのフィールドで百対百の戦闘。


この三つのゲームに魔王達が独自のルールを付け、その勝敗によって本格的な戦争ではなくゲームによる土地の奪い合いに代わって行ったのです。


今では魔王達以外にもゲームが広がり、モンスター達の激しいバトルに、マスター達の駆け引きが混ざった三つのゲームは、敵対種族の人族たちまで東方に観戦や参加をするほどにまで広がったのです。


「そして十日後ぶさ……ケロッグ商人とする事になったゲームはバトルコロシアム。一対一の戦闘による勝敗をきめるゲームですね」


《へーなるほど……ん?それってあのカエルがこの城を欲しがってるって事だろ?何で直接城を譲渡させようとしなかったんだ?》


「この城は少々特別なので、あんな詐欺紛いの手段で手に入れてしまっては、あの不細工は多くの実力者たちによって嬲り殺されるでしょう」


不細工って言い切った……


《バトルコロシアムって一対一の戦闘なんだろう?それにゲーム性なんてあるのか?》


「そうですね、出るゲームの説明ぐらいは致しましょう」


あれ?今出るゲームっていった?誰が?


「バトルコロシアムはマスターである参加者の従者や契約者が一対一で戦闘を行います」



             (敵マスター) 

           /-------\

          /    (敵)     \

         /              \

        |               |

        |               |

        |               |

        |               |

         \              /

          \    (瞬)     /

           \-------/          

             (マーセリア)


「勝敗は相手が死ぬかマスターがギブアップするまで続けます」


《自分でギブアップできないんだ!?》


「無理ですね」


なぜそこで微笑むんだ!いつもは無表情なのに。


「バトルコロシアムのルールは三つ在ります」


一つ、勝敗は相手が死亡するかマスターがギブアップするまで続ける事。


一つ、マスターはカードを使い戦闘者の支援が出来る事。


一つ、使えるカードは合計十Pの一~三枚である事。


《おお!?カードなんてあるのか》


「はい、直接戦闘をする者だけの能力で勝敗が決まらないように、ゲームらしく駆け引きが存在する為に作られたルールです」


《どんなカードがあるんだ?》


「カードは十種類あります、それぞれにポイントがつけられていて一番効果が低いのが1P高いのが10Pとなります、それぞれの効果は」


一、 攻撃補助カード(一割から三割攻撃力アップ) 効果時間二分  1P


二、 防御補助カード(一割から三割防御力アップ) 効果時間二分  2P


三、 速度アップカード(一・五から二倍アップ)  効果時間二分    3P


四、 ジャベリン (魔法の槍、魔法攻撃力十から二十)        4P


五、 シールド  (一撃だけどんな攻撃も防御)           5P


六、 癒しの雫  (HP三割回復)                    6P


七、 カードキャンセル (全てのカード効果をキャンセル)     7P


八、 属性付加  (戦闘フィールドに属性効果を付ける)      8P


九、 回復の雫  (HP七割回復)                    9P


十、全能力補助 (攻防速魔全て三倍)     効果時間一分    10P   


《色々なカードがあるんだなー》


「ゲームでは10P使い位置から三枚のカードで戦闘の補助をマスターがします、それぞれのカードはマスターの魔力が強いほど効果が割り増しになります」


《なるほど、直接戦闘する奴だけでなくマスターも強ければ強いほど有利になるのか》


「うぐぐぐぐぐぐ、あと十日でゲームなのじゃ、それなのに、それなのにわらわの従者がスライム……しかも最弱スライムなんていやなのじゃー」


《俺だってスライムなんてなりたくなかったよ!間違えたのはそっちだろう!》


「うっうぐぅ、しっしかし最弱なのはお主が悪いんじゃぞ」


《え?》


「転生した後の転生体の能力はその物の魂の強さで決まります」


えっとつまり……


「最弱なのは魂が【へタレ】だからですね」


ぎゃああああああああ、確かに生徒会長に告白しようとした事二十四回、全て直前で逃げましたー。


「わかったかーこのヘタレっ!」


《ぬわあああ、そっちこそへっぽこ魔王(自称)のくせにー》


「へっへぽこというでないわ!」


《そっちこそへタレ言うな!》


美少女とスライムが額(?)をつき合わせて怒鳴りあう。


「ふっふん、そなたなど同じグリーンスライムにも勝てぬくせに」


《ぬおー言ったな、言ってはならん事を。よーしそこまで言うならやってやる、たとえ能力で負けていてもこちらには知性って物があるんだ、単細胞生物に遅れをとるかよ!》


「ベアーチェ、初心者用ダンジョンを開けるのじゃ、この痴れ物に思い知らせてやるのじゃー」


「ふぅ……どちらにしてもダメージは姫様が負うのですが……それもいいですね」


うっすらと笑い何処からかゴミ取りトング(ゴミを挟むアレ)で俺を挟み上げる。


「あなたの歩みに合わせると時間がかかります」


《せめてゴミ扱いはもうやめてえええええええ》


初心者用ダンジョンとやらに移動する、叩き落された梟は誰も思い出さなかった。



     ◆◆◆◆◆◆◆◆



【初心者用ダンジョン一階】


ぽいっと放り投げられる俺、扱いがまじゴミなんですけど。


べちゃっ


《ぬぐぐぐぐぐ、くそー絶対見返してやる》


「さあ、倒せる物なら倒して見せるのじゃ!」


むむ、ダンジョンの床を移動しているのは、グリーンスライム。


……俺って今あれなんだよな……


よしっやってやる、後ろに回り込みつつ華麗なる奇襲アターック!


グリーンスライムLv1 VS グリーンスライム(瞬)


俺の攻撃がスライムに当たる、グリーンスライムに1ダメージ


ここだっ華麗に攻撃を避けるんだ!


グリーンスライムの攻撃、グリーンスライム(瞬)に2ダメージ


くそっ、だが次は俺のターンだ。


俺の攻撃がスライムに当たる。グリーンスライムに1ダメージ


今度こそ、とうっ!


グリーンスライムの攻撃、グリーンスライム(瞬)に2ダメージ


グリーンスライム(瞬)は逃げ出した。ズザザザザザザ!




俺は入り口まで戻りほっと息をつく。


《やばかった、後一撃で死ぬ所だった》


ふと上を見ると。あ、マリアが泣きそうだ……


「ふえっふええ、びええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、わらわの従者はグリーンスライムにすら勝てぬのじゃー」


そう言って泣きながら走り去っていく。


おっ俺だってスライムぐらいには勝ちたかった。


スライムなので泣くに泣けず当てもなく移動するスライム(瞬)であった。



皆さんSなメイドさんは好きですか?私は大好物です。


主人公最弱でした>w<ノ

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