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モンスターズ・バトル&ゲーム  作者: まるいもの
3章 タクティクス編
35/36

薔薇の香り+ビクトリー=おほおほ

『さー今年最終節のタクティクスゲームが始まろうとしています。五チームによる総当たり戦を二回行いポイント制にて順位が決められます』


ポルトランから約十キロほど離れた場所に特殊フィールドが張られている。約二百年ほど前、魔王六人による大規模魔法で作られたゲーム専用の施設だ。


『それでは、Cランクチームから紹介に移りたいと思います。最初に現れたのは、【俺たちマッスルズ】チームっ! マスター・ドメステックに率いられ最初に現れた戦闘者はケンタウロス! 俺の下半身は馬並だぜと吼えている! いやまんま馬だろ。次に現れたのはオーガ! リーゼントにした頭の先がプラプラと揺れているぞ! ホブゴブリンは小柄ながらもなかなか引き締まった体躯をしています! ドラミングをしながら入ってきたのはビッグフット! 最後に出て来たのはリーダーのミノタウロス! 筋肉なら負けないぜ! とまさに筋肉自慢の種族で構成された筋肉こそが正義といわんばかりのチームだー!!』


なんてこった、あのチームとだけはやりたくねービジュアル的に。


『次に現れたのはチーム【スカイ・ハイ】だー! マスター・テレスに率いられ、先ずはリーダーである空の貴族、有翼の騎士が凛々しく登場! 彼女の隣には彼の姿が、空の名馬ペガサス! 私を忘れたら酷いわよ! ハルピュイアイ。硬さになら自身あり、ガーゴイル! 最後に鷲の体に獅子の顔、怪鳥ズー! 空は彼らの領域だ!Bクラスから惜しくも落ちてしまいましたが実力は折り紙つきだ!』


むむ、全員飛べるチームか、手強そうだな。


『三チーム目に現れたのは全て獣人族で構成されたチーム【獣陣】! マスター・タランセに率いられ、巨体な体に豪腕は熊の獣人ワーベアー! 素早くしなやかワーキャット! 攻撃ばかりが脳じゃない、小さな体は隠れるには最適だ、ワーラット! 速さなら俺は負けない、ワーチーター! 最後に現れたのはBクラスでも活躍したリーダーのワータイガーだー! Bクラスに返り咲きを狙う優勝候補筆頭!』


あれぇ?あのワーキャットのお姉さんはけっこう胸が……


『のこるは後二チーム、そろそろ喉がカラカラです。 マスターエリザベスに率いられ初参戦! チーム【薔薇の香り】! ネーミングが微妙ですねー。 先ずは空の勇バードマン! 大地を駆け抜けろ魔狼! その巨体、頑丈な体はゴーレムだ! 更にはなんと、悪霊に堕ちた虚飾の王族ワイトを従えているぞ! リーダーは赤い炎の美女上級火精霊だー! バランスに優れたチームと言えるでしょう!』


あっあれはエリドボイじゃなくエリザベス! 何しに来たんだろうと思ったら普通に挨拶しにきたとかだったのか。


『ラスト一チームは マスター・マーセリア率いるこちらも初参戦【ビクトリー】! 名前負けにならないことを祈ります。 まだ体は未発達、しかしその分すばしっこいぞ成長中の魔狼! メイド服で登場だ、ゾンビっ娘! 獣人では珍しい絶壁胸のワーキャット! リーダーは逆に珍しい巨乳エルフ! エルフで巨乳って反則です! 最後には空の貴婦人、有翼人だー!』


「ぶっ殺すぞミミカ!」


『おやおやー? 何か聞こえますが空耳でしょう。実況、司会はみんなのアイドル、ミミカ・フレンチがお送りするニャン☆』





「あんにゃろー」


《知り合いか?》


「一応な、歳も近かったし色々遊んだ記憶があるな」


ざわざわ……『巨乳エルフ……』『本当だスゲー』『F? いやGは……』


「…………」


《あっミフィーどこにいくんだ》


『それではゲームの日程を「バンッ」ミギャーー!! やっやめ、ゆるして』ブツッ


マイクの途切れる音と共に司会が何処かへと連れ去られていく、合掌。


『えー、司会のミミカさんがいませんので、代わりに進行をさせてもらいます。ゲームの日程ですが第一試合は【筋肉マッスルズ】VS【獣陣】 【薔薇の香り】VS【ビクトリー】となります。それでは皆さんまた明日のゲームでお会いしましょう』


《いきなりエリザベスとかー》


「ふふん、ちょろいのじゃ」


「油断すなよマリア」


「…………」


リッジの言葉に反応しないマリア、このままじゃだめだろうけどどうすれば……



        ◆ ◆ ◆ ◆



『皆さんお待たせしました、ただいまからバトルタクティクスCランク一回戦が始まります。【薔薇の香り】VS【ビクトリー】なんと両マスターとも十二歳という最少年マスター同士の対戦となりました!』


先ずは初参加同士でやり合えってことかな?


『マスターエリザベス&【薔薇の香り】チームの構成はコレだ!!』


マスター。エリザベス・シェリ・ボーバンハット。


【スカウト】グラーズ<魔狼> 【ナイト】ルッカ・ルッカ<上級火精霊> 【ビショップ】 マキシアム・ソル・グラート<ワイト> 【プリンス】ソラノ<バードマン> 【クイーン】テリア・セリア 【ゴーレム】


『対するマスターマーセリア&【ビクトリー】チーム!』


マスター。マーセリア・ファレン・グランバーグ。


【スカウト】シュン・ハットリ<魔狼> 【ナイト】リッジ・レザー<ワーキャット> 【ビショップ】ミカエラ・ハレルラ<有翼人> 【プリンセス】ミフィーア・エプソ<エルフ> 【クイーン】マナナ・カプス<ゾンビ>


『それでは、ただいまの倍率ドン!』 【薔薇の香り】二・三倍 【ビクトリー】一・五倍


『こうなっておりますが、実力と言うよりは女性率の高さで【ビクトリー】に人気が上がっているみたいでねー。そして今回の舞台は森林フィールドに今決まりました。さぁ、ゲーム開始の時間になります。はたしてどちらのチームが勝つのでしょうか! 今始まりました!!』



        ◆ ◆ ◆ ◆



特殊フィールドは強力な契約魔法で毎回フィールドの属性が変わるようになっている。今回は森林フィールドだ。

ゲーム開始と共に俺は【捜索】のカードを使う。Cランクは簡易ルールだからマジックストーンはランダムで一つしかでない。

先に占領できれば三ポイント、そこからまたランダムでマジックストーンが出るのでそれを占領しに行くのを繰り返して最終的にポイントの多いほうが勝つ。

これが一つ目の勝ちパターン、俺の役割はどれだけ多くマジックストーンを占領できるかだ。


【薔薇の香り】は北側から【ビクトリー】は南側からスタート、一つ目のマジックストーンは少し北側の左端に反応。


《左端ほぼ真ん中だ!》


《にょわ、わかったのじゃ行くのじゃシュン》


念話でマリアに報告してからスキルで身体能力を底上げする。

【クイックアップ】【身体能力アップLv2】を使って最高速度で森を駆け抜ける。


木と木の間を弾丸のように駆け抜けて最短距離を行く。

見つけた、後もう少し。だけど相手もそこまで甘くない【第六感】が警報を鳴らす。

三メートルの巨体が俺めがけて襲い掛かってくる。グリーズか!

奇襲を紙一重で避けマジックストーンの手前で睨み合う。


《小僧、残念だがここでリタイアしてもらおう》


ふざけた事をいいやがる。


《甘く見るな!》


書ける君が素早く空中に文字を走らせる。


【フレイムランス】×二


牽制の炎の槍を撃ちこみ、避けた所を【マジックソード】で狙い撃ちだ!

だが、俺の考えはグラーズの予想外な行動で破綻した。


《甘く見ているのは小僧、お前のほうだ》


【魔食】ユニークスキル発動


グラーズに向けて放った炎の槍は、グラーズのユニークスキルによって噛み砕かれる。


《我に魔法は効かぬ、もう一度言おうここでリタイアしてもらう!》


全身から紫めいたオーラを薄っすらと放ち、威厳に満ちた声音に俺は威圧されていた。




グラーズの巨体から繰り出される攻撃を紙一重でかわしていく。

紙一重にも二種類がある、余裕があるかないかだ。今の俺は全く余裕がなかった、ギリギリだ。

くそっ、俺は素早く書ける君で土でできた槍【アースランス】を地面から数本グラーズに向けて解き放つ。

がそのすべてはグラーズのまとう紫のオーラに触れた瞬間崩れ落ちていく。


《無駄だ小僧!》


しまった、魔法に意識を割いた分グラーズの攻撃に反応しきれない!

強烈な前足の爪による攻撃に俺の体は切り裂かれながら吹き飛ばされる。


《ここまでだ》


倒れた俺に足を乗せられ動きを封じられる。

くそっくそっくそっ! 同じ魔狼なのに魔法を封じられたら手も足もでなかった。くそぉぉぉ!!


《それではリタイアして貰おう》


初めてのバトルタクティクスは、たった7分でのリタイアで終わってしまった。




        ◆ ◆ ◆ ◆



《にょわー、シュンが危ないのじゃー。リッジ早く助けに行くのじゃ!》


「にょわーだけで分かるわけないだろうがっ、シュンがいったのは左端だろう? もう間に合わねー今回は諦めろ。それより早く情報をよこしやがれ」


バトルタクティクスの広い空間をマスターが把握する為に、全体を見るための魔法やアイテムなどを一つ使う事が許されている。

マリアの場合は使い間のクロッカスが上空を飛び、見たものをマリアに伝えている。


《いやじゃっ、シュンを助けるのじゃー。リサ、ミカエラ行くのじゃ》


《あいよっ任せときな》


《えー、めんどくさいですねー》


「バカ野朗、【スカウト】を助ける為に【クイーン】を使うんじゃねー!!」


「リッジ、落ち着いて。マリアちゃんは始めてのタクティクスで混乱しているわ。私たちがフォローをしてあげないと」


「フォローするにも限度って物があるだろう! もういい、あたいがやつらの【クイーン】を倒してこのゲームに勝つ!」


「リッジ! 貴方も落ち着きなさい! マリアちゃんも少し時間を置けば冷静になれるわ。信じてあげなさい」


「……【クイーン】を倒す、それで終わりだ。ミフィー援護を頼む」


そういって敵クイーンが居るだろう場所へと駆け出すリッジ。


「もうっ……これはダメね。せめて何か収穫があればいいのだけれど」


そう呟いてミフィーもリッジを援護するべく木の上に飛び上がり、枝から枝へと移動しながら追いかけだした。




        ◆ ◆ ◆ ◆




「ここかっ、シュンどこだー」


リサはシュンとグラーズが争った形跡のある場所へとたどり着いていた。

しかし、そこにはシュンもグラーズもいなかった。シュンはあれから意識を刈り取られリタイアし、グラーズは他の場所に現れたマジックストーンを探しに行ったからだ。

そして、そこには別の人物がいた。


「ふん、マキシアムの言ったとおりになったな」


『はははっ、だから言っただろう? マーセリア嬢にとってシュンという魔狼は特別な存在だと』


リサの後ろから現れたのは上級火精霊のルッカとワイトのマキシアムの二人だった。


「ちっ」


咄嗟に後ろに飛び戦闘態勢をとるリサ。


「ほう、無駄な問答はしないのか。ならば始めよう」


『同じ死の眷属として最大の敬意を持ってお相手しようじゃないか』


ルッカは火でできたレイピアを構え、マキシアムは豪奢な錫杖を構え魔法を唱え始める。


「おらああぁぁぁああ!」


自己再生をするゾンビという非常識な特性を活かし、フルパワーで突撃するリサ。

疲れを知らず、どんな攻撃を食らっても瞬時に再生するという能力は相手の攻撃を全て食らいながらカウンターを入れるというありえない戦法を取ることができる。


「なっ!」


ルッカのレイピアを顔面に突き刺されながらさらに踏み込みボディに強烈な一撃。

ズドンッという音をたてて吹き飛んでいく。


「へっ、あたしに火なんか通じないよ!」


『それでも普通は顔面から受けに行かないでしょうに。【ダークチェーン】』


マキシアムの魔法が発動し、リサを黒い鎖でがんじがらめにする。


「なんだこりゃっ」


『話に聞いていましたが、本当に凄い再生能力ですね。しかし搦め手には弱いと……情報通りです』


「情報だ~? 誰から聞きやがった」


『それは秘密ですね、まあ昔馴染みですよ。貴方の情報に関してはね。さてバッジをもらいま――』


そこに一筋の光の矢がマキシアムの左肩を貫く。


『オオオオオッ、これが光魔法というやつかぁぁぁぁ! グゥゥ』


「リサさんお待たせしました」


空からミカエラが降りてくる。手にした本を鎖に当てるとリサを絡め取っていた黒い鎖が粉々に砕け散る。


「ワイトさんとは相性がいので私があいてをしますね。リサさんは精霊さんのお相手を」


吹き飛んでいったルッカが余りダメージを受けていない様子で近づいてくる。


「ああっこっちは任せときな」


第二ラウンドが始まる。




        ◆ ◆ ◆ ◆




森の中を素早く駆け抜ける。森で産まれ森で育った自分がこんな遮蔽物の多い森のなかでゴーレムに遅れを取るはずがない。

倒す必要はない、バッチを奪い破壊すればいいだけだ。

そう考えるリッジの思考は、シュンに対する嫉妬に近い感情のせいで短絡的になっていた。


「リッジ!」


ミフィーの忠告が後ろから飛んで来る。すかさず右へ、空からの攻撃を避ける。

地面に突き刺さる木製の手槍。


「ちっバードマンか!」


「リッジここは私が相手をするわ、あなたは行きなさい」


「すまねぇ!」


ここはミフィーに任せて先を急ぐリッジ。


「行かすものか! ケェェェ!」


バードマンが急降下を仕掛けてくる、がミフィーの矢がそれを許さない。

エルフの卓越した弓術は空を得意とする種族には特に威力を発揮する。


「ごめんなさい、リッジが納得する為にもあなたはここで足止めさせてもらいます」


「ふん? 不思議な言い方をする。まるで先ほどのワーキャットが負けることが前提のような言い方に聞こえるが?」


「さぁどうでしょう、もしかするとそのまま勝ててしまうかもしれませんね」(そうなっても今後こまることになりそうだけど)


話は終わりだと、ミフィーは矢を連射する。バードマンのソラノが空に舞い上がる。

ゲームは戦闘を軸に進んでいく。




        ◆ ◆ ◆ ◆



『さーゲームはそろそろ十分を過ぎ去ろうとしております。最初に【薔薇の香り】のグラーズが【ビクトリー】のシュンを撃破、さらに近くにあったマジックストーンを征圧して四ポイントを奪取。その後もマジックストーンを探し出しポイントは七対〇となっております』


Cクラスは簡易ルールなのでゲームの時間は三十分。まだ取り返すことのできる点差だが、連携の全く取れていないチーム【ビクトリー】は各々独自の考えで動き出していた。その結果……


『ゲームは中盤に入ったばかりですが、すでに四組の戦闘が始まっております。【スカウト】同士の戦闘はチーム【薔薇の香り】が勝っており、残りは三組、いえ、今全てのFP(フィールドプレイヤー)が戦闘状態に入りました。まさにガチンコ勝負! このゲームどちらが勝つのか面白くなってまいりました。』





リッジが居る場所から約三十メートル先に土塊でできたゴーレムが鎮座している。

まともにやり合えば流石に勝てるかどうかは微妙なラインだ、だからリッジは胸についている赤いバッジを素早く奪取することにした。


「フッ!」


呼気を鋭く吐いて、風のように走り抜ける。気づいていないのかゴーレムは無反応だ。

いける、そう思ったとき、ゴーレムについている赤く丸いものがバッチではなく赤い塗料で丸く描かれただけなのに気がついた。


「バカなっバッチは胸に着けるのがルール――」


土の下から勢いよくリッジに飛び掛る小さな影。その鋭い一撃はリッジを吹き飛ばし、叩きつけられた場所には罠が仕掛けられていた。


【粘着】発動


「ぐあっ」


吹き飛ばされ罠に摑まったリッジを見下ろす影は小さな少女の姿をしていた。

テリア・セリア。少女の姿をしたホムンクルス型ゴーレム。

十二歳ほどの体に整った顔立ち、緑色の髪、紫色でできたガラスのような瞳。

胸には赤い【クイーン】の証拠たるバッジ。


「ゲーム開始より十二分、【ナイト】リッジ・レザー捕獲完了。これより意識を奪います」


パリッというおとをさせ、電撃を纏う小さな手がリッジに触れる。


「ちくしょう!」


バチッ




『おおっと、今テリア戦闘者がリッジ戦闘者を倒しました。それにしてもストーンゴーレムだと思っていたら中から少女が出てきたのはびっくりしました。チーム【ビクトリー】は旨く連携がとれず、空から見れば一目瞭然の罠を回避できませんでしたねー、おーとっその他の勝負も決着が付きそうです』




        ◆ ◆ ◆ ◆




「くそっ」


リサの攻撃はルッカにかすりもせず、逆にルッカのレイピアはリサの体を切り裂いていく。

ボロボロのメイド服は見る影もなく、殆ど裸といってもいいほどだった。


「ふむ、体は再生できても衣服は無理ということか」


「当たり前だ!」


「しかし、直接胸にバッチをつけていたとはな。痛くないのか?」


「痛覚はないんでねっ」


雑になってきたリサの攻撃は冷静に戦闘を重ねるルッカには余計に当たらない。


「そろそろ決着をつけようか」


「できるもんならやって――」


茂みの奥から一匹の魔狼が襲いかかる。ルッカしか見えていなかったリサにその攻撃を防ぐ事ができず、三メートルの巨体に頭を叩き潰される。

パンッと頭が爆ぜ、再生をする間にバッチをもぎ取られた。




『勝負が決まったーー!! 【クイーン】であるリサ戦闘者からバッジを奪い取り【薔薇の香り】チームの勝利だーー!!』





「おや? 負けてしまいましたかー……」


『そっそういうことだ、だから早くその本をどけてくれ』


「えー?」


ミカエラはワイトのマキシアムを足蹴にし、聖書である本で【ヒールアタック】を連発していた。


「ふぅ、しかたありません。もう少しだったのですが」


『ふっ、ふふふっなっなかなか素敵なひと時だったよ、まぁ君達もそこそこがんばった……ひぃぃぃ』


さっと本を上げるとビクつくマキシアム。


下ろす『ふぅ』、あげる『ひぃぃ』、下ろす『ふっふぅ』、あげる『ひぃぃ、やっやめたまえ』

ミカエラの顔はニタリと笑い、邪悪な面相をしていた。





「どうやら決着はついたようだな」


「そうね、私たちの負けね」


バードマンのソラノとミフィーの戦いはミフィーが圧倒していた、ソラノは数本の矢が突き刺さっていたがミフィーはかすり傷すら負っていない。

しかしタクティクスはチーム戦、個人で勝っていてもチームで負ければ意味がない。


「次は最終日で会いましょう」


そういって音もなく森の中に消えていく。ソラノはゾクリと寒気がするのを感じていた。



       

       ◆ ◆ ◆ ◆



マスター専用通路―――


とぼとぼと通路を歩く姿がある。マリアだ。


「負けてしまったのじゃ……わらわは何もできなかったのじゃ……」


                                 『おーほほほほほっ』


                      『おーほほほほほほっ』


          『おーほほほほほほほっ』


「にょわっ、この頭に響くおほおほは!」


「おーほほほほほほほっ、あらあら、そこにいらっしゃるのは負け犬のマリアさんじゃありませんこと?」


「にょわ~、エリゲロイごときにバカにされたのじゃー」


「エリザベスですわ! だんだんひどくなってませんこと!!」


「なにしにきたのじゃ!」


「おほほほ、もちろんマリアさんの泣きべそを見に来たのですわ」


「にょわ~、むかつくのじゃ! 七歳までおねしょをしては泣いておったくせに!」


「んなっ、もうわたくしはリッパなレディーですわ、おねしょも二年前には直りましたのよ!」


「……十歳までしておったのか……」


「はっ、しまったですわ! とっとにかく、わたくしの勝ちですわ、マリアさんに勝ったのはエリザベス! エリザベスですわよ!!」


何度もエリザベスを繰り返しおほおほ笑いをしながら立ち去るエリグロイ。


「くっくやしいのじゃーー!」


初めてのタクティクスは十六対〇のポイント差の上に【クイーン】撃破という惨敗に終わった。



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