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雪山+爆音=手

15日目


雪山に遭難してからすでに8日が経過していた。


スキルに【耐寒】がなかったら凍死していただろう。気温がどれ位か解らない。


しかし、氷晶が振り、ダイヤモンドダスト現象が起こるほどの低温なのは確かだ。


「わんちゃ~ん、そっちにいったよ~」


《了解っ》


スノードッグ、はっきり言って俺より格上のモンスター。だが、マナナのフォローとルーンマジックがあれば二対一なら勝てない相手じゃない。


【アースウォール】で奴の逃げ道を塞ぎ、その間にマナナの馬鹿力で作った雪球がスノーフルフの横腹を撃つ!


ギャンッ、悲鳴を上げてマナナを警戒する。


おっと、俺から目を逸らしたらアウトだ。【アイスランス】×二


ルーンマジックは殆ど音がしない上に、ペンが動くだけなので気配も薄い。


此方を見ていないと何をされているのかが解りづらいんだ。


氷の結晶が空中で固まりだし氷の槍が形作られる。アイスランスが風を切り裂きスノードッグに襲い掛かる。


『グギャン!』


二本の氷の槍に串刺しにされスノードッグが絶命する。


スノードッグLv6を倒した、経験値480÷2EXPを手に入れた。


経験値が入った瞬間Lvが上がり、体に変化が現れる。進化だっ!


青い光りが体を包み、そして入ってくる。力が漲る!!


--------------------

【スノードッグ(子)】

【HP128】

【MP140】

【攻撃力53】

【防御力63】

【魔法力32】

【必要経験値480】

--------------------

種族スキル

【捕食】(9)【第六感】

【耐炎】【耐氷】

【ジャンプ】【ステップ】

【火炎力アップ】【氷結力アップ】

【リジェネ(微)】

--------------------

ユニークスキル

【速書き術Lv6】

【ペン習字】

--------------------


真っ白になった見た目がゴールデンリトリバーのような子犬がそこにいた。


《よっし》


これで魔狼まであと二回進化すればなれる。この調子だと直ぐだな。あとは……ここが何処かわかればいいんだけど。


「わんちゃん、真っ白になっちゃったね~」


《うーんスノードッグってさっき倒しちゃった奴なんだよなー》


「大きさが違うからまちがえないよ~?」


いまいち信用ができないんだよな……もう三回ほど噛まれたぞ……


《それよりそろそろ下山しようか、もう十分ここらの敵と戦えるようになったし》


「そうだね~、リサもずいぶん睡眠をとったからいつでも変われるって~」


《それは頼もしいな、それじゃあ行こう》


「はーい」


暫く下に下に下山していると、なにやら争うような音が聞こえてくる。


《何か聞こえないか?こう争ってるような感じの音が》


「んーマナナはわかんないなー」


耳をぴくぴくさせて集中してみる……やっぱり、なにか硬い物がぶつかり合う音と叫び声みたいなのが聞こえる。


《マナナ、向こうに誰かが集団で争ってるみたいだ。近づき過ぎないぐらいで見に行ってみよう》


「わかった~」


音のする方に注意深く進んでいると、段々と激しい戦いの音が響いてくる。


「ほんとだー、誰かが戦ってるねー」


そっと木の間から下を見下ろす、二つの陣営が激しい戦闘を行っていた。


一つは猪みたいな顔をした陣営。おそらく猪系の獣人だろう。


もう一つは全員が青い髪と青い瞳をした少女達の陣営だ。


今のところほぼ互角だが、少しずつ猪達のほうが押し込んでいるように見える。


《さて、どうやったら猪達を追っ払えるだろう》


「狙うのは猪で決まってるんだね~」


勿論だ、誰が猪と少女比べて猪を取る?そんな変態は地獄へ落ちろ!


「んーあそこの偉い猪ぽいのを狙ったらどうだろう~」


《おおっそれはナイスアイデアだ》


結構近くに居るのに、俺達の事にまったく気づいていない他より豪奢な服を着ている猪が居る。


《よし、できるだけ一撃で倒したいんで【フレイムランス】でいこう。失敗した時のためにリサに代わってもらっていいか?》


そう言うと、マナナの雰囲気ががらりと変わる。


「OKだぜシュン、見つかったら逃げればいいんだな?」


《そうそう、それじゃあ行きますか!》


【速書き術Lv6】=一秒に三十文字、MP140、フレイムランスの詠唱と発動キー十六文字。


四・五秒間に【フレイムランス】が八発……食らいやがれっ!


【フレイムランス】×八


あたり一面銀世界に燃え盛る八本の炎の槍が猪リーダー(?)にむかって飛来する。


轟音をあたりに響かせて猪リーダーが炎の槍に貫かれ燃え上がる。


『ブゴオオオォォォォ』


ワーボアLv8を倒した、経験値650EXPを手に入れた。


《よっし、なかなか強かったんだな650って、一撃のようなもんだけどな~♪》


俺は自分が何をしたかも良く理解せずに、自画自賛していた。


何か大量に物が動く音と振動が振るえ聞こえてくる。


ん?なんだこの音……それに山が震えているような……


山の上から大量の雪が雪崩となってこちらを食らい尽くそうと襲い掛かる。


「ちょっシュン山がっ崩れてきてる!」


《え・・・?あっ雪崩・・・あああああああっリサー、リサさーん逃げてっにーげーてー!!》


「こんなの無理だっ!」


必死にリサが俺を抱え下に逃げるが、間に合わない。大量の雪が俺たちを飲み込んだ。


《「ああああああーーーー!!」》


そして雪崩は、俺たちだけではなく猪も少女達も全てを巻き込み、そこで俺の意識は途切れた。




        ◆ ◆ ◆ ◆




白銀の雪原から音をたて一人、また一人と青い髪の少女たちが浮かび上がってくる。


彼女達はエスプレッソ山脈で生まれる氷の精霊族だ。


「皆無事ですか?」


精霊達の中で一際美しく威厳のある少女が、他の精霊達の無事を確かめる。


「女王様、どうやら皆無事のようです」


「そうですか、それにしても何故雪崩が起こったのでしょう」


女王が疑問に思った呟きを先ほどの少女が応える。


「人族が猪どもの指揮官を魔法で不意を打ったのが見えました」


「人族がこんな場所に?」


ここは人が登ってきて生きていける環境ではない。


「女王様!この下からかすかにですが生命反応が」


「もしかすると危機を救ってくれた人族かもしれません。掘り起こしなさい」


『はいっ』


数人の精霊達が雪を願いで掘り起こす。


『雪よ私たちの願いを聞いて、広がり道を作っておくれ』


精霊の願いを聞き入れ雪が広がっていく。そこにスノードッグの子供が気を失っていた。


「スノードッグの子供ですか」


「女王様、たしか人間が子犬を抱いていました」


「そうですか……恩人の抱いていた子犬ならばせめてこの子だけでも助けましょう」


そっと子犬を抱き上げて精霊達がこの場を去っていく。


後に残ったのは、誰にも気づかれず必死に存在をアピールしている、雪から少し出ている手があるだけだった。



雪山、遭難ときたら雪崩ですよね!


マナナ!マナナー!!



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