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ゾンビ+美少女=餌?

走る、走る、走る。


俺は今モカの森を走り抜けている。汗だくになりながら全速力だ、余裕はない。


モカの森は人族領と魔属領の国境線上に広がっている森で、よく亡命者が抜けていく事で有名だ。


彼らはそんな亡命者の成れの果てなのだろうか……


俺は今追われている……五十体前後のゾンビ達に。


《たーすーけーてー》キャインキャイン



       ◆ ◆ ◆ ◆



城からモカの森を目指して三日、途中何かに襲われる事もなく無事到着。


《んーミフィーが丁度いいLvのモンスターが居るっていってたけーどー》


んーおっ?何だか兎みたいなのが居るぞ。角のような物を額から生やし、そこらをきょろきょろとしている。


俺はルーンマジックがなくても倒せるか試してみる事にした。


タイミングを計って飛び掛る!


大きさは三十センチほど、俺と大体一緒ぐらいだ、首筋に噛み付いたがなかなか力が強いらしく振り回される。


しかし、兎程度魔法を使わなくてもたおせ……ませんでしたっ。


容赦のない振り回しで木に叩きつけられる!キャイン。


叩きつけられた衝撃に負け口を離してしまう。痛みで体が硬直地面に転がってしまう俺。


兎の野朗は頭上に飛び上がり俺めがけて突っ込んできた!やばい、あれを食らったら一撃死しそうだ。


急いで立ち上がり【ステップ】で緊急回避、兎はそのまま地面に激突する。角が突き刺さって動けない、今がチャンス!


ベルトから書ける君が中に飛び出しルーンマジックを発動させる。


【ウインドランス】


風の刃が槍のような形を作り出しホーンラビットの上半身を吹き飛ばす!


ホーンラビットLv5を倒した、経験値70EXPを手に入れた。


【ウインドランス】は少しオーバーキルだったみたいだ。


魔犬(子)では兎にすら勝てない……これは戦力外と言われてもしょうがない。


とりあえず兎を食べる。


【捕食】が発動した、兎でもモンスターだったんだな。


捕食対象ホーンラビット


HP+5

MP+1

攻撃力+2

防御力+1

魔法力+0


おおっなかなか美味しいぞ、よし、この調子で経験値と捕食でパワーアップだ!


その後、スパイダー二匹、ホーンラビット二匹、グリーンキャタピラー一匹を仕留めた。


Lvが三個上がり四Lvになった、この調子だと進化するのも直ぐだな。


今日はもうねぐらを探して寝るとするか。


子犬が一匹は入れるぐらいの小さな穴を見つけ、そこに葉っぱを敷き詰める。近くに川も見つけたし今日からここが俺の拠点だな。明日からガンガンLvを上げるぞ!


四日目


俺が拠点とした場所付近には昨日倒した三種しかいないみたいだ。今のところそれで問題は無い。もしLvが上がりにくくなったら移動すればいいかな?


今日もスパイだー三匹、ホーンラビット四匹、グリーンキャタピラー三匹ほど倒して就寝。Lvは七になった、明日には進化するかもしれない。たのしみだ。


五日目


今日は天気が悪い、朝から大雨だ。こんな見通しが悪い日に狩りにいって、逆に不意打ちを食らったら死んでしまう。


残念だが進化は明日に持ち越しだ。


六日目


雨も止み俺は早速狩りに出かける。スパイダーを二匹発見、先ずは奇襲で一匹!【ウインドランス】


ウインドランスの風の槍がスパイダーの頭を刺し貫く。こちらに気づいたもう一匹が二本足をあげて威嚇し、襲い掛かってくる。


【ステップ】で横に避けるが、スパイダーが後ろを向いて尻の穴から糸を撒き散らした。


足に掠りバランスを崩す、そこに迫るスパイダー。至近距離だがかまわず【スラッシュ】を三連発!自分も少し巻き込み傷を負ったが、スパイダーはバラバラになっていた。


スパイダーLv8を倒した 経験値120×2EXP手に入れた。


Lvが8に上がった。


よしっ後二つ!


その後も順調に狩りはすすみ夕方ごろそれは来た!


体が熱い、これは進化がきたかっ!


真っ赤な光が俺の体を包み込みそして入ってくる!


そして俺は進化したっ!


--------------------

【フレイムドッグ(子)】

【HP58】

【MP79】

【攻撃力36】

【防御力49】

【魔法力21】

【必要経験値380】

--------------------

種族スキル

【捕食】(4)【第六感】

【耐炎】【耐寒】

【ジャンプ】【ステップ】

【火炎力アップ】

--------------------

ユニークスキル

【速書き術Lv4】

【ペン習字】

--------------------


見た目は柴犬の子供のままだが、全身の色が茶色から赤色に変わった。


《よっしゃー!》


これはなかなかよさそうなスキルを覚えたぞ【火炎力アップ】、多分火関係の威力が上がるに違いない。


【速書き術】もLV4になったし、考えてみると基本能力は弱くても必要経験値が少ない分、進化しやすいから色んなスキルを覚えれるな。


これに転生を繰り返すとどれだけのスキルを手に入れれるんだ?


マリアの母親が最強の魔王だったってのも頷けるかも……どれだけ従者を強くできるか……


もしかすると俺は最強の道を歩んでるかもしれない!


七日目


進化を果たした俺は気が大きくなっていた、この森なら敵は居ないと。


何の根拠もなく、俺は更なる獲物を求めて森の奥に進む。


調子に乗るとろくな事が無いと、思い知らされることになるともしらずに……



        ◆ ◆ ◆ ◆



森の奥に進み五時間ほど、途中蜘蛛や兎を狩りLvも二個増えた。かなり順調だ、だが他のモンスターが見つからないのは少し問題だな。


いずれLvアップも頭打ちになってしまう。より強い敵を見つけないと……


ん?クンクン、何処からか腐った匂いがしてくる。


何故だか嫌な予感がする……これは【第六感】が発動してるのか。


行くか、戻るか……なに、いざとなれば逃げればいい。俺はそう考え匂いを辿って移動する。


すると森の中なのに何も遮る物がない広い空間にでる。そこには一体の死体が蠢いていた。


死体だ、頭が半分ほど潰れていて右手が千切れている。おそらく人族のゾンビ、新しい獲物だ。


何故こんな所に人族が?どうしてゾンビとなって動いている?そんな疑問は一切浮かんでこなかった。


俺はルーンマジックで奇襲する、これだけ開けた場所なら火炎系魔法も使える。


書ける君が普通ではありえない速さで空中に文字を描く。


【フレイムランス】


いつもよりも太く大きい炎の槍がゾンビを貫く。まだ動いている、もう一発。


【フレイムランス】


一度目の【フレイムランス】に刺し貫かれ、体を燃え上がらせながらばたつくゾンビにもう一本の炎の槍が襲い掛かる。


二本の炎の槍に貫かれゾンビは炭素と化して動かぬ死体に戻った。


ゾンビLV3を倒した、経験値250EXPを手に入れた。


やった、蜘蛛や兎よりよほど美味しいぞ。さっそく【捕食】しよう。


もぐもぐもぐ。んむ、きたきたきた。


【捕食】発動


捕食対象、ゾンビ

HP+10

MP+0

攻撃力+0

防御力+1

魔法力+0



HPの上がりが大きいなあとは防御力か。


土を掘り起こすような音が地面から聞こえてきた。


ん?地面から手が・・・ふふふ、昔の俺ならここでビビッテ逃げ出しただろう、だが今の俺は違う!もうへタレとは言わせない!!


更に別の場所でも同じことが起きる。


ん?ゾンビ二体か?まあ、いけるだろう。


現象は収まらない、他の場所から、また違う場所からどんどんと地面から手が生えてくる。


あ……あれ?ゾンビがー……五体?やばくね?


五つ程度で収まらない。あっちこっちから手が、頭が、上半身のみや下半身のみが這い出てくる。


《…………》


かっ囲まれたっ


そして俺の真下から土を割って出てくる音が!手が生えてくる……


《ぎっぎやぁぁぁぁぁぁぁぁ》


ゾンビがっゾンビがああああ!!


周り中ゾンビに囲まれている。


『ウァァァァァ』『オォォォォォォ』『アアアッアッアァ』


《ひっひいいいい、たったすけてー》


無我夢中で走り出す、ゾンビ達が追いかけてくる。ちょっ、ゾンビ達足が速いんですが!


どう見ても上半身のみのゾンビが物凄い勢いで両手を掻き追いかけてくる。


《いーやああああああああ!》


何処をどう走ったのかまったく分からないが、気がついた時には回りにゾンビの姿は見えなかった。振り切った。安堵のため息を吐く。


「ぐすっ……ひっく……ぐす……うぅぅぅぅ」


《ひぃぃ》、人の鳴き声に反応して体が硬直する。


女のすすり泣く声が聞こえた。先ほどまでゾンビの群れに追い掛け回されていたから神経が過敏になっているようだ。


《だっ誰か居るのか?》


ぴたりと泣き声が止まる……


「だれ?」


こっ怖い、心臓がドクドクと音を鳴らしている。勇気を出してそっとのぞいてみると、そこに一人の少女が泣き崩れていた。


黒髪を2本のお下げにし、タレ気味だがパッチリとした二重瞼、瞳も黒く唇は少し薄い、鼻は少し低いがそれが愛嬌のある顔に仕上げている。


すこしおっとりした感じの美少女だ。白いワンピース以外何も身に着けていないのが少し変だが。


「わんちゃん?……かわいい」


む、どうやらゾンビじゃないみたいだ、人族かな?匂いがなにかおかしい気もするんだが。


《俺はシュンって言うんだ、君はここで何をしてるんだ?》


「あれ?あれれ?だっ誰、どこにいるの?」


《ここ、目の前の犬》


「えっ……ええー?わんちゃん……話せるの?」


《おうっ、念話って魔法が掛けられてて直接頭に会話を遅れるんだ》


「すごいねー、あっ私はマナナ、マナナ・カプスよろしくねわんちゃん」


《それでマナナは何でこんな所に居るんだ?ここら辺にゾンビがうようよ居て危ないぞ?》


そういうとマナナがまた泣き出した。


《どっどうしたんだ?》


「ひっく、そのゾンビさん達はマナナの家族達なの……うぅぅぅぅぅ」



        ◆ ◆ ◆ ◆



話を聞いてみると、マナナ達はいきなり魔族のネクロマンサーに村ごと浚われたらしい。


実験と称して次々とマナナの家族や知人たちが殺されゾンビにされた。マナナは隙をみて逃げ出したけれど、ここがどこかも分からず、家族達のゾンビを見ては泣いていたという。


《そうか、大変だったな。1度森を出よう、俺たちがここに居てもどうしようもできない》


「……」


俺のことを無言でじっと見つめている。


《ん?どうした?》


「え?うっうんちょっとお腹がすいたなーと思って」


《そうか、ずっと森にいたならお腹もすくな。ただもう少し我慢してくれ1度外にでないと危なすぎる》


「うっうん、私わんちゃんを我慢するよ、大丈夫」


そう言ってにっこりと笑う。笑った顔はとても可愛らしかった……ん?なんかおかしくなかったか?


マナナは立ち上がって周りを見回す。


「どっちが森の外なんだろうね~」


《んー俺もめちゃくちゃに走ったからなー》


2人できょろきょろしていたらマナナが穴に足を取られる。


「きゃっ」


《マナナっ》


急いで服を噛み絶えようとするが、大きさが違いすぎる。そのままかなり深い穴に2人して落ちてしまった。


ドサッという大きな音、マナナが地面に叩きつけられた音だ。俺はマナナの上に落ちてしまい怪我一つ無い。


《マナナ!大丈夫……か?》


明らかに首の骨が折れている、足も手もぐしゃぐしゃだ、だがまるでビデオの巻き戻しを見ているみたいに傷が修復されていく。


《マナナ、お前一体……》


「ごめんねわんちゃん、もう私もゾンビにされているの」


ズザザザっと後座する。


《さっさっき、わんちゃんを我慢するって言わなかった?》


「えへへ、わんちゃんは可愛いし優しいからぜったいに食べないよ?大丈夫我慢できるから」


我慢できるって、食べるのを我慢するほうか!!


《でっでも、ゾンビなのになんで意識があるんだ?それにさっきの再生能力……》


「私たちを浚った魔族は、私のことを特別製だって言ってたの、だからかな?」


《特別製?》


「うん、色々なモンスターの細胞?を体の中にいっぱい入れてからゾンビにした……だったかな?」


《え?それって生きてる時にされたのか?》


「えへへ、凄く痛かったけどリサが助けてくれたから耐えれたんだ」


何で笑えるんだ、そんな目に合わされたのに。


怒りで頭に血が上る、生きながら体を弄くられて挙句にゾンビにされるだなんて。


《大変だったんだな》


「わんちゃん……優しいんだね、たべ……大丈夫だよ?」


少しマナナと距離をとりつつ考える。おそらくリサって子もゾンビにされているだろう、せめてマナナだけでも何とかしてやりたい。


ガサガサガサ


《ん……!モンスターだっ、マナナは後ろに下がって》


「わっわんちゃん}


《くそっ数が多い!》


全長五十センチはある蟻の群れが此方に襲い掛かってくる!


逃げられない、やるしかないっ!


【ステップ】【ジャンプ】を駆使しつつ洞窟の壁や天井を飛び跳ねる。


【ファイアー】×5を放つ。アント一匹に二発もう一匹に三発で倒す。一匹一匹は強くない。


だけど数が多すぎる、後から後から沸いて出てくる蟻に対して俺のMPが尽きた。


足や口角を避け噛み付くが奴らの固い甲羅を破る事が出来ない。息が切れ動きが鈍る。だめだっ殺られる!


俺の脳裏に絶望の影が過ぎった時、硬いものを殴ったような打撃音と共にアリ達が吹き飛んだ。


「てめーら、あたしの可愛いわんちゃんになにしてんだあああ!!」


お下げが解け、長く赤い髪(・・・)が波打つ。目は爛々と光り口には2本の長い犬歯がちらりと見えた。


マナナだ、髪の色や雰囲気がまったく違うが確かに彼女だ。力に体が耐えれなかったのだろう、右腕がぐしゃぐしゃに潰れている。


しかし彼女の特性である超再生が直ぐに腕を元に戻す。


「ひーひゃははははははっぶち殺してやるよ糞虫どもがああ!」


赤い髪のマナナが次々とジャイアントアント達を殴り飛ばしていく。


一撃で蟻が吹き飛ぶ、腕を再生しつつ更に吹き飛ばしていく。蟻の攻撃が彼女を傷つけても直ぐに回復してしまう、全ての攻撃を無視して一方的な破壊行動が繰り返される。


時間にして約五分の惨劇は蟻の全滅を持って終演した。


《あっあのー……》


「ん?おう、わんちゃん、不埒な虫どもはあたしがぶち殺したからもう心配ないぜ?」


《まっマナナだよな?》


「いや、あたしはリサだ、マナナと一緒にこれからよろしく頼むぜ」


そういってからからと笑うその姿は、先ほどまでの凄惨な惨劇を起こした人物とは思えないほど陽気な笑顔だった。


すみません主人公調子乗りました。


まだまだ弱いですががんばって強くなります。応援お願いします。



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