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魔狼の骨?+転生=犬

『ギャーギャー』バサバサバサバサ


木に止まっていた鳥が一斉に飛び立つ、少し泣き声が怖いな。


「にょわーー!」


長い銀髪を後ろで括りポニーテールにし、迷彩柄スゥエットとハーフパンツ、歩くのに適したブーツを履いたマリアが声をだして驚く。


「姫様ー唯の鳥でございまするー」


《そうだぞ、マリアはちょっと驚きすぎだ》


「んなっへっへタレのシュンに言われとーないわっ」


《うっうるせーへっぽこ》


「ふっふ~んへったれー」


《むぎぎぎぎぎぎ》


今俺たちはベアーチェ城から東に十キロほど離れている森に来ている。


なぜそんな場所にいて、そして今へタレ扱いされても強く言い返せないか……



       ◆◆◆◆◆◆◆◆



---3日前


初めてのゲーム、バトルコロシアムが終わってから一週間が過ぎた。


次のゲームの為にも、俺は毎日ダンジョンに潜りLvを上げていた。今ではブルースライムLv8だ。


もう直ぐ進化できるのも相まって今日もダンジョンでLV上げをしようと張り切っていた。奴が現れるまでは。


そう、そいつは現れた、あの日と同じように同じ窓から入ってきた……猫が!


《きっ貴様は……間違いないあの時の猫っ!ふっふふふ、ふふふふふここであったが百年目、あの時の屈辱晴らしてくれるわっ》


猫は俺の前で堂々と顔を洗ってやがる。


《その余裕もそこ……んなっ》


猫は俺のほうを見て    ふんっ   と鼻で笑ったんだ、何? あの馬鹿にした顔、むきぃぃぃぃ


《今度こそ捕食者の恐ろしさを見せてくれる!》


  猫  VS  瞬


【ステップ】【ステップ】【ステップ】


フェイントからの体当たり!


瞬の体当たり、猫はひらりと避けた! 猫のカウンター引っかき ザリッ 瞬に3ダメージ


《なっなんだとおおおお!》


猫の連続攻撃 ガリガリ 瞬に3ダメージ 4ダメージ


《おのれえええええ、流石に大人気ないとおもい魔法は使わなかったがもう我慢ならん!》


【ファイヤー】【ファイヤー】【ファイヤー】【ファイヤー】


四つの火の玉が猫を襲う!


猫はジグザグ廊下を駆け、火の玉を潜り抜け俺に飛び掛ってきた!


《うそおおおおお。なんであれを避けれるの?ありえないよね!》


【猫乱舞爪】


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


瞬に32ダメージ   のこりHP 3


瞬は逃げ出した  スザザザザ!




《ゴブリンに勝ったのに猫に負けるなんてこの世界バランス悪いんだよおおおおお!》


俺はまた倉庫に逃げ隠れる事で一命を取り留めることができたのだった。



        ◆◆◆◆◆◆◆◆



「それで?お主はどうしたいのじゃ?」


《俺もうスライムやだあ~~~~》 じたばたじたばた


「戯けっ、ねっ猫に負けるとはありえんのじゃーこのへタレ!」


《あの猫おかしいよ、なんであれだけ強いんだよ!》


「むぐぐぐぐぐ、ねッ猫に負ける従者なぞいらんのじゃーぐすっ」


ふぅとため息を一つ吐いてベアーチェさんが提案する。


「仕方ありませんね、姫様、もう一度転生の秘儀をしてはいかがでしょうか?」


《なっなに!?転生って何回でもできるのか?》


薄い胸をそらし高らかに宣言する


「フハハーわれに掛かれば造作も無いことなのじゃー」


「ただ姫様があまりにもへっぽこなので誰も魂Lvで従者の契約をするモンスターや魔族がいないだけですね」


《……もしかしなくても転生で弱くなる可能性が高いのか……それは誰もしたくないな》


「うっ五月蝿いのじゃ、今はもう四回に一回しか間違えんのじゃ」


《それでも25%もあるんじゃねーか》


「むぐぐぐぐ、ふんっそんなこと言うシュンには転生の秘儀をしてやらんのじゃ、あれは莫大な魔力とレアな素体がいるし、一回するにも大変なんじゃぞ」


むむむ……考えてみれば失敗したから何?て感じだよな……スライムだし。


《いや、俺が悪かった、転生秘儀をしてくれないか?》


「いやなのじゃー、べー」


むきぃぃぃぃあっかんベーなんて初めてみたぞっ。


《いやほんと悪かった、申し訳ありません》


ズム


「ふふ~んどうしようかの~」


俺を踏みつけながら楽しそうにニヤニヤと笑っている。


我慢だ我慢だ……できるかあああああ!


《調子に乗るなよこのへッぽこ自称魔王が!》


ビシバシビシッ 俺の【ステップ】からの体当たりをまともに食らうマリア


「にょわ~にょわわ~、痛いのじゃ痛いのじゃ~」


結局仲直りするのに一日ほどかかり、秘儀の用意をするのに二日掛かった。


そして今日。


「さて、何に転生させるかじゃが」


《人型希望ー》


「むう、それだと素体がのー」


《そういえば転生するのにいる素体って、転生する種族の死体が居るのか?》


「すこし違うのー、転生するのに使う素体は純度の高い何かしらの魔力の集まった物がいいのじゃ。死体を使うのはその種族に成りやすい、または成らせ易いのじゃ」


「前回はですの、ダークナイト殿の死体を純度の高い魔水で五年間漬けていましたから、使えたのですぞー」


《ということは今は素体がないのか?》


「うむ、そういう事じゃ、買おうと思っても今わらわはお金がないのじゃ」


今マリアは収入が0なのだ……マリアは街の人たちに人気があるから、唯で野菜などもらって凌いでいる状態なんだ。可愛いって得だよな……


「それでしたら姫様、魔狼の森に行って見てはどうですか?あそこなら魔力純度の高い魔狼の骨があるはずですよ」


「ぬっ……しかし魔狼本体も居るではないか……」


「そこは仕方ありません、ですがご自身の従者の素体を集めるのもマスターの責務です」


《狼か……うんいいな、そうしよう俺狼がいいです!》


「あううぅ、あの森は怖いのじゃぞ、ぐしゅっ」




       ◆◆◆◆◆◆◆◆



そして現在に至るというわけだ。


ハッハッハッハッ


おや?何か生暖かい空気が体に当たるな……


ハッハッハッハッ


ん?マリアと梟が離れた場所で此方を指差す……あはは何をしてるのやら……


ハッハッハッハッ


ベチョッと生暖かい涎が滴り落ちてきた……うん、もう現実逃避するのも無理。どうもぼけっと考え事をしていたせいで絶体絶命のピンチぽいですねー……


視線をあげて見る……でかっ、三メートル近く在りそうな狼の顔が二十センチほど前にあった……


《たあああすけてええええええ》


【ステップ】×いっぱい!


しゅばばばばっと魔力が尽きるまで【ステップ】を繰り返す。


しかし引き離せない、魔狼は軽々と追いついてくる。


駄目だ、基本スペックが違いすぎる、フェイントやジャンプも混ぜて逃げるがまったく引っ掛からない。

頭も相当いいぞ。


魔狼の足が素早く俺を掬い上げ、そのまま後ろ足で空中に蹴り上げる。まるでリフティングをしているように俺で遊びだした。


《やっやめ、ぐえっ、ぎゃっ、たっ助けて……》


魔狼はお腹がイッパイだったらしく、マリア達には目もくれずに俺で遊び倒した……




---二時間後


程よく遊んでスッキリしたんだろう、魔狼はボロボロの俺をほうり捨てて、何処かへ帰っていった。


「しゅっシュン?大丈夫かや?」


マリアと梟がおそるおそる近づいてくる。


《うっ裏切り……もの……》


「しっ仕方なかろう?あんなでっかいのわらわがどうにかできるか!」


「そうですぞ、奴めが腹をすかせていなくてラッキーでしたな」


もう返事をする元気も無いよー


「んん?シュン、おぬしの下にあるのはもしや魔狼の頭蓋骨では無いのかや?」


《な……に?》


確かになにかの頭蓋骨だ。


「おーこれは、なかなか魔力純度の高い骨ですぞー」


《もっもしや、これさえあれば俺もさっきの魔狼のように成れるのか!》


「まーどうせ(弱)がつくじゃろうが」


「ですのー」


《むぎぎぎぎ、みーてーろーよーっ絶対みかえしてやる》




        ◆◆◆◆◆◆◆◆



ズドドドドドドド


「……どうやら帰ってきたようですね」


「ベアーチェー見よっ魔狼の骨を見事もって帰ってきたのじゃ」


「魔力純度も申し分ないですぞー」


《ひゃっほーこれで単細胞生物ともおさらばだぜー》


おや?あれは……


「姫様、それは犬……まあ丁度いいでしょう」


マリアの泣き顔を想像し薄っすらと笑みを浮かべながら自分の仕事に戻るメイドであった。



    

        ◆◆◆◆◆◆◆◆




---転生の間---


またこの部屋に来る事になるとわな、いや、もしかしたら今後何度も来る事になるかもしれないな。


マリアと鳥がセッティングをしていく、ダークナイトが入っていた所に魔狼の骨を放り込んでいく。


あれ?なんか頭蓋骨小さくないか?


「さて、用意ができたのじゃ、シュン早く左の筒に入るのじゃ」


《おっおう……》


勘違いかな?


《マリア今度は絶対間違うなよ?》


「わっ分かっておるのじゃ、さっさと入るのじゃ」


ドポンと中に入る、マリアが目を閉じ精神を集中させる……


『常世の生、積み重なる死、巡る命は連環の輪。全ては一つと成り、また巡る』


【連環のロンド】秘儀発動


筒の中が光で満たされる、なにか混ざり合うような感覚が支配し……意識が薄れる。


ポンッ


そして、俺は転生した……


全長三十センチほどの立ち耳に巻き尾の柴犬風な目のクリっとした全体的に茶色の。


そう、あれだあれ……子犬に……


《「「えええええええええ!」」》


《マーリーアー》


「まっ待つのじゃ今回はわらわ失敗しておらんおじゃっ」


「たったしかに失敗はしておりませんぞー」


《む……》


「シュンがへタレだからなのじゃ」


《ぐ……むぅいいかえせない……》


「まっまずは何になったか調べて見ましょう【ステータスが見えるんルーペ】ですぞ」


--------------------

【魔犬(子)】

【Lv1】

【HP35】

【MP42】

【攻撃力20】

【防御力26】

【魔法力 8】

【必要経験値80】

--------------------

種族スキル

【捕食】(1)【第6感】

【耐熱】【耐寒】

【ジャンプ】【ステップ】

--------------------

ユニークスキル

【速書き術Lv3】

【習字ペン】

--------------------


《子ってなんだよっ子供って事かっ》キャンキャン


「まっ魔犬、狼じゃなかったのじゃ」


「……間違えてしまいましたのー」


《そういやなんだか小さいと思ったんだよ!》キャンキャン


「………」


ん?なっなんだ?


《どうした?マリア、なんだか目つきが変だぞ》キュ~ン?キャン


「もっふもふなのじゃ」


ゾクッ


《まっマリア?落ち着け、な?》キュッキューン?キャン


「もふもふなのじゃあああああ」


血走った目で飛びついてくるマリア、美少女な分恐怖も倍増だ!


《ぎゃああああああああたすけてえええええ》ギャワンギャワンギャワン


「まつのじゃシュン、主の命令じゃーもふもふさせるのじゃー」


《いやああああああああああああ》キャンキャンキャン


結局捕まり、一晩中弄られてすごした。構い過ぎるとノイローゼになると言う事を身をもって体験しました。   



単細胞生物から哺乳類にランクアップしました。


みなさん主人公の事を応援してやってください。


次はSメイドさんの活躍です。

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