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冬祭りの妖精と人間

 だ、だだだだだ、誰だこの人!え?オバケ?怖いわ!

「う、うわあぁぁぁぁぁ!」

 想像もしなかったダイナミックな光景にパニック状態の俺。…少し賓乳っぽいけど…じゃなくて!何だこのシチュエーション!

一人でパニック状態に落ち、この女がオバケか人間かを確かめる為にはやはり触ってみるべきかを悩んでいる俺を見ていた謎の美少女はなぜか怒鳴りだす。

「煩いわよ!黙れ!」

「やっぱり触ってみ…え?」

 その時、部屋のドアを叩く音がした。

「トリ!どうした?ゴキブリでも出た?」

 やべっ!山田だ!駄目だ!裸の美少女が俺の部屋にいる事を山田の奴が知ったら誤解はともかくどんなの犯罪を起こすかまでは思わないけど、とにかく!山田に気づかれたら俺が困るってことだけは確実だ!

「あ、何でもない!さっき取ったハニワが俺を見ながら急に踊り出してビックリしただけさ!」

「何だ、そっか。それは驚くよな。でも少し静かにしてくれよ。今から頑丈ロボバイタルVスペシャルやるから」

 納得してくれたか。ありがたい!

「お、おう!すまん!」

 とにかくこれで山田は去ってくれた。とか考えて後ろを見た俺の目に女性の裸は過激すぎるよ!!

「なにジロジロ見るのよこのスケベ!金出せ」

 何だこの女?この状況でそんな話かよ!お金かよ!出せばいいのか!じゃない!落ち着け俺!

「い、いいからとにかく何でもいいから服着てください!」

 俺はそっちを見ないで話した。

「無い。服出せ」

 おい!お金の次は服かよ!新種類の強盗か?うわっ!み、見ちゃう!

 俺はタンスからジャージーを出して謎の裸女に出した。

「い、今はこれしかありませんっ!」

「地味ね。いいわ。裸よりはましだから」

 何で俺がこんな目に…。

「って…。誰だあんた?」

 服着るのが終わるまで待った俺は彼女と床に座って聞き出した。

「失礼ね。人に名前を聞く時は自分から紹介するのが礼儀なんでしょう?」

「そっちが言うか?人の家に不法侵入して、しかも裸で。それに服も無いなんていったいどうやって入ってきたんだ?」

「いいから名前を話しなさい!」

「何で俺が!お前から俺の質問に答えろ!」

 言っとくけと俺は女性に怒鳴るとか怒るとかする野蛮な男ではない。基本女性には優しい紳士なのだ。でも俺は今、怒っている。こんなの俺じゃない。いや、でも怒るだろ普通。

 でもジェントルな俺は一歩譲って名前を話した。

「…笹塚十理黒。答えたからあんたも答えろ」

「サトイモ焼き鳥?変な名前ね」

「何それ!どう聞いたらそうなる!さ・さ・づ・か・と・り・ぐ・ろ!!いいから答えろ!」

「いいよ。えー何聞いたっけ?」

 …ああ、本気で怒りたい。

「まず、どうやって入ったのか…」

「アタシは自分で入ったこと無いよ。あんたに連れて来られただけ」

「連れて来たって、俺が?」

「そう」

 いや、俺はまだ記憶を失ったとかそんなあり得ない事件には会ってないぞ。今日の24時間は全てちゃんと覚えている。そっか。分かった。

「あんた、頭大丈夫か?」

「何よ。もしかしてあんた、アタシのことを変な女だと思っているわけ?」

 正解。

「分かったら早く自宅に帰ってくれ。俺は今疲れているから」

 そう言うとこの謎の美少女は悔しそうな顔をして俺を睨める。

「本当なのよ!さっき、あんたがUFOキャッチャーで取ったじゃん!」

「…………」

 あ、そういえば俺のフィギュアが、机の上に置いた俺のハニワが見えない。ってことは、この女がとこかに隠したんだな。

「返せ。俺のフィギュア」

「だからそのフィギュアがアタシだって!」

「警察は呼ばないから早く返して、早く帰ってくれ」

「…本当に信じていないよね?」

「当然だろ。信じるか、普通」

「…そうね。信じがたいよね」

 彼女の声が小さくなった。やっと諦めたのか?

「分かったらとっとと帰れ」

「分かった。信じさせてやる」

「そう。信じさせ……はぁ?」

 呆然とした俺の前で彼女は急に腕を上げ、俺の頭を強く叩いた。

「とーっはっ⁉」

「よし」

「よし、じゃねぇ!いきなり何すんた!」

 何だよ、急に殴りやがって。いったいどういうつもりだ、この女!

「いいから。外出てみなさい」

「外?」

 彼女がそう言って先に部屋から出て、俺はその後をついた。

「見て。時間が止まった世界よ」

「はぁ?時間がと…ま…?ええ?」

 目の前に一匹の虫がいた。だが、動いてはいない。しかも空中で止まっている。飛んでいるわけではない。…浮いている。

「何…だよ、これ…」

「あちにも」

 彼女が指した方向にいは走っている状態のままで止まっている近所のおじさんがいた。…こんな時間に?いや、それはどうでもいい。これは…そう、まるで時間が止まっているように…。

「どう?これで、信じるでしょう?」

 いや、信じるも何も…。

「何だ、これ?」

「だから言ったでしょ。時間が泊まった世界って」

「…お前、いったい何者?」

 と、聞くと彼女は偉そうな笑顔でようやく自己紹介をする。

「アタシの名前はザ•ミリオン•ドルトルイヤ•リバニオシ•ロニイン。時間の妖精よ」

 あ、何故か寒気がした。

「……。誰?」

「だからザ•ミリオン•トル…あ―、もう!ロニでいいよ!」

「いや、名前はいい。時間の…妖精?」

頷く自称妖精のロニ。

「待て。ちょっと考える時間をくれ」

 全ての動きが止まった世界。これを見ると彼女の話を信じるしかないようだ。…もしかして俺は夢でも見ているのか?あ、さっき殴られた時凄く痛かったから夢ではない。ん?待て。

「何で殴った?」

「ん?何が?」

「さっき、お前殴ったんだろ」

「あー。あれは時間を止めるための呪文みたいなことよ」

「どんな呪文だ」

「だって、時間を止めるためには契約者と激しく触れ合うしかないから」

「激しすぎだよ。ハゲになるよ」

「……?何?それ」

「いや。すまん。気にするな。それより契約者?俺が?つうか契約なんかしたことあってっけ?」

「あんたが俺を撰んだ時、契約は成立したのよ」

 撰んだって…。まさかゲーセンでのあれか?でもよりによって何で俺だ?と言うか、本当にフィギュアから出たのかこいつ?

「いや、でも俺がもしお前を選ばなかったら?取れなかったら?」

「そうね。どうなったんでしょうね」

 無責任な答えが帰って来る。

「それより入りましょう。時間が動く前に」

「あ?あ、ん」

 俺とロニが部屋に戻った直後、時計が動き始めた。

「時間が動いたね。いい?時間を止めた空間じゃなきゃ駄目なの」

「ん?いきなり何のことだ?」

「時間が動いた時、今ならこの部屋じゃない空間で時間が動くと大変なことになる。時間の流

れがゆがんでアタシ達は永遠に止まった時間の中を迷うことになるから」

「そ、そっか」

 怖いわ!動く時も、止める時も!ん?そういえば、何だか大事なことを忘れてんじゃないか?

「でも、何で妖精さんが俺の前に現れたんだ?」

 ロニはテレビをつけた。

「あ、そういえば大事な話を忘れたね」

 何か今から深刻な話が始まる雰囲気になった。

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