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黒犬異世界奇譚  作者: 黒い悪魔
黒犬、になる
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第五話 交易都市デリアン

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「さぁ、みなさん降りてください。デリアンに着きましたよ」


俺たちは、ブロンドヘアーの兄ちゃん(確か、ルイとかいう奴)によばれて外へ出る。

どうやら、街に入るには手続きをしなければならないらしい。積荷の確認も必要なんだとか。


「ここがゼリア大陸でもっとも栄えている内陸交易都市、デリアンですぞ」

「ここがデリアン…」


交易都市、デリアンは川に浮かんだ都市だった。


向こう岸が霞んで見えるくらいデカイ川の真ん中に街が浮かんでいる。が、川の水が淀みなく流れている。なにやら凄い建築技術の粋が集まってそうな造りをしているのだろう。


夕日に照らされて幻想的な雰囲気だ。


街までにはこれまた大きな橋があり、街の入口の門には兵士らしき武装した人たちが立っている。


「すごい…川に浮かんでる…」

「確かにそう見えますなぁ。実際はデリアン川の中洲に造られた都市ですぞ」


ヘルキンスの話によると、中洲にできた街がどんどん大きくなっていき、技術の発達とともに中洲の外側にまで街が広がって出来た都市らしい。


「このデリアン川は北のリース山脈から流れでて、カリア海に流れ出る川でその周りにはいくつもの街が点在しておるのですよ」


やっぱり、川ってのは大事だなぁ。日本も古来は川が重要だったしなー


「さぁ、お話はそこらへんで。一向に橋を渡らない私達を兵士達が怪しんでますよ」


ルイが早く早くと催促したので、みんなで橋を渡る。


「わざわざ橋の前で止まらんでもそのまま渡れば良かったんだがの」

「せっかく初めてデリアンにいらっしゃるんですから、このスケールの凄さを見てもらわないと」

「確かにな。こんな都市は他の国にはないからの。それにしても、お前はデリアンが大好きだのー」

「根っからのデリアンっ子ですから」

「ルイさんはデリアンの出身なんですか?」


なんてことを話しているうちにすぐに兵士達のところまで来た。


「ここに名前と職業を書いてください。ちゃんと直筆でお願いします」

「デール・ヘルキンス、行商人っと。はい、通商許可証」

「確認しました」


ルイとセシリアも名前と職業を書く。


冒険者ハンターの方は冒険者証ライセンスを見せて下さい」


ルイが手を兵士の前に手をかざすと何やら指輪が光り、文字が浮かび上がる。


「ルイ・カーライド、D級冒険者、ディレーブ国デリアン支部所属。確認しました」


どうやら、浮かび上がったあの文字に個人情報が書いてあるのだろう。

セシリアも手を兵士にかざす。と、ルイの時と同じように文字が浮かび上がる。なんて書いてあるかは読めない。


「セシリア・クレント、D級冒険者、所属なし、身元保証はリーランド王国支部、ディレーブ国での保証はセントレリア支部。確認しました。随分と遠くから来られたのですね」

「えぇ。世界を旅して周っているいるんですよ」

「若いのに、頑張ってますね」

「ありがとうございます」

「あ、そちらのあなたのペットですか?」

「はい。ひょっとして、何か問題あります?」

「あ、いえ。あなたのペットなら問題なしです」


ふむ。兵士というのだから、もっと高圧的な奴らかと思ったらそうでもないんだな。


「積荷の確認終了。問題なしだ」

「どうぞ、通って構いませんよ」





□ ■ □ ■ □





兵士たちが、門を開けてくれる。そして、その門をくぐる。


と、賑やかな街の様子が俺たちの目に飛び込んできた。


す、すげぇ…。めちゃくちゃ活気があるぞ。恐るべし、交易都市デリアン。


「わぁ…すごい!色んな人がいる!」

「すごいもんでしょう?これがデリアンですぞ」

「ここは交易都市なだけあって様々な地域から人と物資が集まります」


ここは大通りみたいで、いくつもの店が道なりにそって軒を連ねている。人はとても多く、かなりの賑わいを見せている。時々、耳の尖った人や、尻尾を持った人などが見受けられる。


街並みは…なんだろう?統一性が全くないが、それでいてぴったりとピースがハマっているような不思議な感覚する街だ。基本は石造りの街並みなんだけど、出店や、人々の服装、顔つきなど、どれをとっても統一性が見られない。にも係わらず、違和感は全く感じられない。



「さて、私は商会の方に物品を届けてくる。ルイ、お前の報奨金はあとで支部の方に入れておく」

「分かりました」

「報告に行くついでにセシリアさんをギルドに連れていってくれないか?」

「あ、そうですね。セシリアさんも冒険者ですし、もし何日か滞在するならお金も必要ですし」

「よろしくお願いします」


では、とヘルキンスが馬車を引き連れて遠ざかっていく。この大通りはかなりの道幅があり、馬車くらいなら余裕で通れる。まぁ、ちょっと通行人は邪魔くさそうだが…。





□ ■ □ ■ □





2人と1匹で店を冷やかしながらギルドへと向かう。


ルイの提案で、街を案内しながらギルドへ行くことになった。


「それにしても、本当にたくさんの人種がいますね。亜人族の方とかは差別されることが多いのに、みんな、楽しそうにしてる」

「この街は、歴史的に差別の少ない街なんですよ」


ルイが誇らしげに街について語る。


「元々、ここに街を作り始めたのは、シンジーク旅団という世界をまたにかけた大規模隊商キャラバンなんです。かなりの人数がいて、400人以上いたらしいです。世界を周っているぐらいだから、人族だけじゃなくて、エルフや様々な動物の亜人族が隊商にいたそうです」


「それっていつぐらいの話なんです?」

「今から100年ほど前。ちょうどグランドヘイツ大戦の最中です」

「それってたしか、人族と亜人族とで起きた戦争ですよね?」  

「えぇ。その戦争の影響で、亜人族や精霊族といった人々を抱えている旅団は人族から狙われたんです。その手から逃れるために、このデリアン川の中洲に自分たちの居住区を造ったんです」


ほー、ようは難民の街だったんだな。


「彼らは旅団のコネを利用して、食料や衣服などといった生活必需品を川を通じてやり取りしたんです。その内に、旅団が造った街の噂が広まり、戦争で行き場をなくした、亜人族がどんどん移住してきたんです。それに、人族も。はじめはいざこざが絶えなかったそうなんですが、徐々にその関係も回復していったそうです」

「そうやってできたのが、この街なんですか」

「だから、ここには様々な人種の方が住んでいるんですよ」


と、デリアンの成り立ちについての講義を聞いていたら、ふと、美味しそうな臭いが漂ってきた。

くぅ~とお腹がなる。


「ん?なんだ、お腹すいたの?」


セシリアが俺を抱き上げる。


「わう」

『腹減った』


「可愛いですね。この先に繁華街がありますから、そこでご飯を食べるといいですよ」

「ひょっとして、この子、その臭いを嗅ぎつけてお腹がなったのかも」


ご明察です、セシリアさん。


「その前に、ギルドの方に行かないと閉まっちゃいますから、先にギルドに行きましょう」

「そうですね」


「わぅ…」

『俺の飯が…』




12月7日改変

冒険者証の読み方を『ハンターカード』から『ライセンス』

に変更致しました。


3月19日改変

細かな点を編集いたしました。

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