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カッパが足湯でマッサージしたらお給料は抹茶タピオカラテってどーゆーこと!?

作者: 昼月キオリ
掲載日:2026/02/13

一話 カッパの兄弟と女将


〜登場人物〜


原田悠真(はらだゆうま)(22)

東京から息抜きに来た青年。

仕事に疲れ、息抜きがしたいと箱根湯本まで足を運ぶ。

 

水木綾乃(みずきあやの)(37)

旅館の女将。

美人でクールな性格だが、カッパ兄弟を溺愛して止まない。本人は周りに知られてないと思っている。

 

千堂朱莉(あかり)(25)

旅館の中居。


神風美希(かみかぜみき)(28)

旅館の中居。


土門平司(どもんへいじ)(45)

旅館の板前。

 

染井花(そめいはな)(45)

和菓子屋の店長。


白雨(はくう)甘雨(かんう)

カッパの兄弟。子ども。

旅館で働きたいと女将にお願いし、

足湯でマッサージする仕事を任された。

お給料は和菓子屋の抹茶タピオカミルク。


●のらりくらり

足湯の名前。


桜咲(さくさく)

旅館の名前。


●月見堂

和菓子屋の名前。





箱根湯本の坂道を少し登った高台に、源泉かけ流しの足湯がある。

更にその上に旅館「桜桜」がある。

そこは「湯本の隠れ家足湯」として地元で密かに人気の場所だ。

看板に描かれた大きな河童のイラストが目印だ。

 

そこに雇われているのはカッパの兄弟。

兄の白雨は、人間で言うと小学3年生くらいの見た目をしている。

弟の甘雨は、幼稚園児くらいの見た目だ。

 

頭の皿はピカピカ、背中の甲羅はツヤツヤ、キュウリが大好物だが、最近は抹茶タピオカミルクにハマっている。


旅館の女将・綾乃(37歳)は、美人でクールな雰囲気をまとった女性。

黒髪をきっちり結い、紺色の割烹着がよく似合う大和撫子だ。


元々は東京の広告代理店でバリバリ働いていたが、

過労で倒れたことをきっかけにここ箱根に移住した。

実家の古い旅館をリニューアルして女将になった。


最初、カッパ兄弟が「ここで働かせて下さい!」と言いに来たとき、綾乃は驚くこともなく冷静に断った。


綾乃「ダメよ、カッパが働けるはずないでしょう?

それに、旅館は今、人を雇い入れるだけの余裕がないの。つまり、お給料が払えないのよ。」


白雨「お給料無くてもいいよ!」

甘雨「うんうん、おいらたち、お金はいらない。だから、居場所を作って欲しいんだ!」


綾乃「あなたたちにどんな理由があるにせよ、

人間でさえ大変な仕事なのにカッパを雇うことはできないわ。」


二人は肩を落として帰っていく。


しかし、ある雨の日の夕方。

綾乃は仕事の疲れで足がむくんでしまった為、たまらず足湯に入った。

近くの茂みでカッパの兄弟がチラチラとこちらの様子を伺っている。


綾乃「バレているわよ。」


二人が「てへへ」と出てきた。

綾乃はため息を吐く。


綾乃「働かせるわけにはいかない。でも、足湯なら入っていいわよ。」


二人はうんうん、と頷くと足湯の中へ入る。


綾乃が自分の足をさする。


甘雨「女将さん、足痛い??」


カッパの思わぬ発言に綾乃は一瞬動揺する。


綾乃「え、ええ・・・。」


白雨「なら、僕たちが足マッサージするよ!」


綾乃「え?あなたたちがマッサージを?・・・」


小さな緑の手が、絶妙な力加減で足裏のツボを押す。

 

白雨と甘雨は「うんしょ、うんしょ」とやたら楽しそうに綾乃の足をマッサージしている。


二人を見る綾乃の目に一瞬、優しさの光が揺らぐ。


5分後、綾乃の口から思わずはぁ〜っと声が漏れた。

足だけではなく、全身の疲れがスッと溶けるように消えていたのだ。

さっきまでクールな表情をしていたのに、

いつの間にかふにゃふにゃ〜っと柔らかい表情に変わっている。


そして、凛とした表情で答えた。


綾乃「あなたたち、採用するわ。」


こうして、白雨と甘雨の足湯マッサージアルバイトが始まった。


お給料、という形ではないが

三食昼寝付き、寝床あり。

空いている一部屋を二人に提供した。



 



 


 


 


二話 青年、一時休戦

東京駅から小田原駅まで新幹線に乗り、箱根登山線に乗り換えて箱根湯本駅へ降りる。


原田悠真は、地元の高校卒業後、東京のIT企業に就職。しかし、毎日の残業続きに心も体もボロボロだった。

このままでは体が壊れてしまうと、思い切って有給を使い、自分を休める時間を取ろうと決意する。


箱根湯本駅に着き、坂を登る。

 

悠真「弱っている体には堪えるな・・・」

 

ふらつきながらもなんとか高台の足湯にたどり着く。

料金箱にはチップ代、料金自由と書かれている。


"ん?チップ代?・・・料金自由ってことは無料でもいいってことなのかな?"


とりあえず足を浸けてみた。


景色は最高だった。

箱根登山鉄道の小さな電車がチンチンと下を通り、湯けむりが立ち上る。


すると、水面からぴょこん! と二つの皿が現れた。


悠真「わっ!?」


甘雨「いらっしゃいませ〜!」

白雨「お疲れ様でーす!」

 

カッパだ。

悠真は目を擦り、目を疑った。

 

悠真「え、カッパ? 本物?」

 

白雨「本物だよ!」

甘雨「マッサージするよ〜! 足、貸して!」


悠真「マッサージ!?」


半信半疑で足を差し出すと・・・。

小さな手が、的確にアーチを揉みほぐし、指の間を丁寧に押す。


5分後、悠真は思わず声に出していた。

 

悠真「生き返った・・・君たち、ありがとう。」


甘雨「いえいえ〜!」

白雨「どういたしましてー!僕たち、ここでアルバイトをさせてもらってるんだよ」


悠真「アルバイト?」


白雨「うん、足湯でマッサージするのが僕らの仕事なんだ。」

甘雨「おいらたち、ちゃんとお給料もらってるんだよ!」


えっへん!と小さい方のカッパが胸を張る。


悠真「あぁ、さっきの料金箱の!」


甘雨「うん?違うよ、抹茶タピオカミルクだよ!」


悠真「抹茶タピオカミルク・・・?」


まさか、カッパの口からタピオカという単語を聞く日が来ようとは思わなかった。

 

白雨「街の方にある和菓子屋で売ってるよ。僕たちのお気に入りなんだ。」


悠真「へ、へぇ・・・和菓子屋か。ちょっと気になるかも。」


白雨「駅から近いし、ぜひ行ってみて!」

甘雨「抹茶タピオカミルクも美味しいよ!!」


悠真「じゃあ、後で寄ってみるね。」


甘雨「うん!!」


悠真「ん?ってゆーか、お給料、抹茶タピオカミルクだけなの!?」


白雨「そうだよ?」


二人が同じ方向にくい〜っと首を傾げる。


俺は、料金箱に千円入れることにした。


"女将さん!どうか少しでもこのコたちにご褒美をあげて下さい!"

と祈りながら。


「「ありがとうございます〜!」」

と元気よく白雨と甘雨が挨拶をする。


悠真は、次の休みに箱根湯本に来る予定を立てた。

先に和菓子屋に行き、抹茶タピオカミルクを飲むと二人に感想を言いに足湯に向かうのだった。


 





三話 抹茶タピオカラテとの出会い

旅館の休日。

綾乃は白雨と甘雨を連れて街に降りて来ると

ある場所へ向かった。


二人は隣を歩く綾乃の方をチラチラ気にしている。

どこへ行くんだろう?と不思議に思っている様子だ。

旅館から10分ほど歩くと、綾乃が足を止めた。

白雨と甘雨も一歩遅れて足を止める。


目の前には古い看板に「月見堂」と書かれている。

綾乃御用達の和菓子屋だ。


店長の染井が作る和菓子はどれも絶品だった。


綾乃「あんころ餅を一箱と、あなたたちは何か欲しいもの・・・」


と、その時。お客さんが入ってきた。

足湯にいた20代の二人組の女性だ。


女性1「抹茶タピオカミルク二つとどら焼き二つ下さ〜い」


染井「はい。抹茶タピオカミルク二つ、どら焼き二つね。」

 

""抹茶タピオカミルク??""


白雨と甘雨がパッと顔を上げる。


女性1「あ、この間のカッパさんたち!!」

女性2「疲れ取れたよありがとね!!」


白雨「どう致しましてー!」

甘雨「いえいえ〜!!」


染井「どうぞ、一人1200円になります。」


女性1「はーい!」


二人組の女性は個別にお会計をする。


甘雨が「にーちゃん、これなーに?なーに?」

と興味津々で覗き込んでいる。

白雨「こらこら、人のもの覗かない。」

と言いつつ気になって仕方がない様子。


女性1「ここの抹茶タピオカミルクすっごく美味しいんだよ!」

女性2「そうそう!飲んでみてね!」


月見堂で作られる特製の抹茶ミルク。

抹茶は京都の宇治抹茶、ミルクは北海道の牧場から取り寄せている。タピオカはモチモチで大粒。

1000円と値段は高めだが、絶品と有名で売れ行きは上々。


ほろ苦なので甘いものが欲しくなるので

和菓子と一緒に買っていく人も多いようだ。


綾乃「飲む?」


途端に二人の顔がぱああっと明るくなる。


甘雨「いいの!?」

綾乃「ええ」

白雨「甘雨、いじきたないぞ!」

甘雨「え〜」

綾乃「白雨、甘雨、いいのよ。これはご褒美だから。」


白雨「ご褒美!やった!」

甘雨「わーい、わーい!」


女性1「良かったねカッパさんたち!」

女性2「今度感想聞かせてね!」


甘雨「うん!!」


この日をきっかけに、カッパの兄弟は抹茶タピオカミルクが大のお気に入りになった。


 





四話 私の癒し

朱莉「頂いたチップはどうするんですか?

カッパ兄弟にはタピオカをお給料として渡しているんですよね?

それに、カッパに現金を渡しても使い道がないんじゃ・・・。」

美希「まぁ!それじゃあ旅館の費用に?それとも、皆んなにボーナス支給かしら?」

平司「そりゃあありがたい!」


綾乃がキリッと三人を睨む。

 

綾乃「いいえ。このチップはこのコたちが稼いだお金。

このコたちの為に全て回します。」


朱莉「女将さん、このコたちには甘いんですね。」

美希「本当ね。」

平司「意外な発見をしたな。」

綾乃「おだまり」


綾乃「白雨、甘雨、何か欲しいものは?」


綾乃は少しかがむと質問をする。


二人は顔を見合わせる。


白雨「僕、女将さんとお揃いの割烹着が欲しい!」

甘雨「おいらもおいらも!!」


綾乃は顔を両手で覆う。


"尊い!!何てこのコたちは尊いのかしら・・・。

このコたちは私の癒し!!"


平司「なんだか俺たち、悪いことしてるみたいになっちまったな。二人ともすまない。

俺はきゅうりくれーしかあげられないがこれで許してくれねーか?」


平司が二人に新鮮なきゅうりを一本ずつ渡す。


白雨「ありがとう!板前さん!」

甘雨「ありがとー!!」


"ぐっ・・・チキショウ、可愛いじゃねえか!!!"


朱莉「私もごめんね。飴くらいしかないけど。」

美希「私もごめんなさい。私はチョコレートならあるわ。」


白雨「わーい!ありがとう!!朱莉さん、美希さん!!」

甘雨「やったね!にーちゃん!!」


"あら、ちょっと母性が爆発しそう・・・"


"嫌だ、私もよ・・・。"




カッパ兄弟はこの旅館の癒し的存在だ。


足湯に入りながらその小さな手でお客さんの足をマッサージするアルバイトをしている。

それが終わると綾乃が二人を連れて月見堂に抹茶タピオカミルクとおやつを買いに行く。


たま〜に女将の綾乃が足湯にこっそりと抹茶タピオカミルクを持ち込み、一緒に飲んでいるらしい。


箱根湯本の小さな足湯で、今日も不思議で温かいひとときが流れている。


 


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