表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネジレン  作者: yoii
3/10

招待

「うちには…

 何のご用でいらっしゃったんですか?」


 玄関先に立つ見知らぬ大人たちを見て、

 母が慎重に尋ねた。


「ここにジョディという子がいると伺いましたが」


「…ええ。

 そうなんですけど、

 うちの息子に何か用件でも?」


 彼らの視線が、

 ゆっくりと私の方へ向いた。


 互いに目があった男たちが、

 ニヤリと笑った。


「あそこにいる子が

 ジョーディですね」


 不快な気分を覚えた。


「こんな時間に家にいるってことは、

 学校には通ってないんでしょうね?」


「それなりの事情があります」


 母の声が、

 少し硬くなった。


「それで…

 お話ししたいことって

 一体何なんですか?」


 男の一人が、

 柔らかい声で言った。


「ご安心ください」


「私たちはジョーディを、

 学校へ送り届けに来たのです」


「ジョディが…

 学校に?」


 今まで何度も、

 学校に行けると言われたが、

 その言葉はいつも私を

 失望させてきた。


 それでも理不尽にも、

 少し胸が高鳴る気持ちを

 抑えられなかった。


 それでも、

 分かっていた。


 私たちの境遇では、

 学校は夢のような話だということを。


「…私たちの事情では、

 学校に送るのは難しいです」


 母が、

 小さな声で言った。


 すると男たちは、

 微笑んだ。


「ご心配なく」


「当校は、

 費用が全額無料です」


「ジョディのような子供たちのための

 学校ですよ」


 母の顔が、

 明るくなった。


 その表情を見た瞬間、

 心が揺れた。


「今日から行くの?」


 母が、

 私を見て言った。


「ジョディ、

 今日から学校に行ってみるのは

 どうかな?」


 突然の幸運に、

 頭が真っ白になった。


 胸が、

 ときめきでいっぱいになった。


「あの…

 カバンや筆記用具とかは

 必要ですか?」


「僕、

 何も持ってないんですけど…」


「全部、

 準備してあるんだよ」


「君は、

 私たちと一緒に来るだけでいい」


「さあ、

 馬車に乗りなさい」


 彼らは、

 急かした。


 私は、

 馬車に乗った。


 扉が閉まる瞬間、

 母の嗚咽交じりの声が聞こえた。


「うちの息子は…

 算数も習ったことがなくて…」


「目のせいで、

 他の子にからかわれたりしないかし…」


 その言葉が終わる前に、

 馬車はガタガタと

 動き出した。


「学校は、

 どこあたりにあるんですか?」


「本当に…

 学校でご飯も

 くれるんですか?」


 返事は、

 なかった。


 昔、

 聞いたことがある。


 学校の先生たちは、

 親切じゃないって。


 馬車は、

 しばらく走った。


 時間の感覚が、

 ぼやける頃――


 目の前に、

 巨大な建物が現れた。


 屋敷。


 いや、

 城と呼ぶべきものだった。


「降りろ」


「ここが…

 学校ですか?」


「あそこの噴水があるところが

 運動場ですか?」


「黙れ」


 ‘?’

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ