招待
「うちには…
何のご用でいらっしゃったんですか?」
玄関先に立つ見知らぬ大人たちを見て、
母が慎重に尋ねた。
「ここにジョディという子がいると伺いましたが」
「…ええ。
そうなんですけど、
うちの息子に何か用件でも?」
彼らの視線が、
ゆっくりと私の方へ向いた。
互いに目があった男たちが、
ニヤリと笑った。
「あそこにいる子が
ジョーディですね」
不快な気分を覚えた。
「こんな時間に家にいるってことは、
学校には通ってないんでしょうね?」
「それなりの事情があります」
母の声が、
少し硬くなった。
「それで…
お話ししたいことって
一体何なんですか?」
男の一人が、
柔らかい声で言った。
「ご安心ください」
「私たちはジョーディを、
学校へ送り届けに来たのです」
「ジョディが…
学校に?」
今まで何度も、
学校に行けると言われたが、
その言葉はいつも私を
失望させてきた。
それでも理不尽にも、
少し胸が高鳴る気持ちを
抑えられなかった。
それでも、
分かっていた。
私たちの境遇では、
学校は夢のような話だということを。
「…私たちの事情では、
学校に送るのは難しいです」
母が、
小さな声で言った。
すると男たちは、
微笑んだ。
「ご心配なく」
「当校は、
費用が全額無料です」
「ジョディのような子供たちのための
学校ですよ」
母の顔が、
明るくなった。
その表情を見た瞬間、
心が揺れた。
「今日から行くの?」
母が、
私を見て言った。
「ジョディ、
今日から学校に行ってみるのは
どうかな?」
突然の幸運に、
頭が真っ白になった。
胸が、
ときめきでいっぱいになった。
「あの…
カバンや筆記用具とかは
必要ですか?」
「僕、
何も持ってないんですけど…」
「全部、
準備してあるんだよ」
「君は、
私たちと一緒に来るだけでいい」
「さあ、
馬車に乗りなさい」
彼らは、
急かした。
私は、
馬車に乗った。
扉が閉まる瞬間、
母の嗚咽交じりの声が聞こえた。
「うちの息子は…
算数も習ったことがなくて…」
「目のせいで、
他の子にからかわれたりしないかし…」
その言葉が終わる前に、
馬車はガタガタと
動き出した。
「学校は、
どこあたりにあるんですか?」
「本当に…
学校でご飯も
くれるんですか?」
返事は、
なかった。
昔、
聞いたことがある。
学校の先生たちは、
親切じゃないって。
馬車は、
しばらく走った。
時間の感覚が、
ぼやける頃――
目の前に、
巨大な建物が現れた。
屋敷。
いや、
城と呼ぶべきものだった。
「降りろ」
「ここが…
学校ですか?」
「あそこの噴水があるところが
運動場ですか?」
「黙れ」
‘?’




