発見された子供
「ちくしょう、ガキども!
さっさと出てこい!」
荒々しい手が私を掴み、
そのまま床へと投げ捨てた。
体は地面を転がったが、
その痛みはまるで感じなかった。
心臓が——
心臓が、ひどく痛んだ。
まるで誰かに、
手でぎゅっと握り潰されたような感覚。
息をすることさえ苦しく、
胸を押さえたまま体を丸める。
「くるしい……うっ……」
「お兄ちゃん!!」
泣きながら、
メイが駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
「おじさん!
この人が、お兄ちゃんを投げ飛ばしたから、
こんなに苦しんでるんじゃない!」
「何てことを……!」
「お前たちが邪魔をするから、
治療が遅れるんだ!」
怒鳴り声は止まらず、
「最近、
有能なセイシャが次々と死んでいるのに、
こいつまで死んだら、
いったい誰が責任を取るつもりだ——」
そこまで言いかけたセイシャが、
突然、言葉を失った。
「……あれ?」
そばにいた別のセイシャが、
倒れていた仲間を抱き起こして叫ぶ。
「カズヤ!
大丈夫か!?」
「お前、
死ぬところだったんだぞ!」
「え……?」
「確かにさっきまで、
心臓がものすごく痛くて、
息もできなかったのに……」
「急に、
楽になったんだ」
「急に?
そんなこと、あるはずねえ」
セイシャたちの表情が、
一気に険しくなる。
「最近、
お前みたいに、
突然倒れて死ぬセイシャが
一人や二人じゃない」
「それなのに……」
「治療薬も効かなかったやつが、
こんなに元気になるなんて」
全員の視線が、
私に集まった。
「おい、ガキ」
私を押さえつけていたセイシャが、
ゆっくりと近づいてくる。
「お前、
カズヤに何をした?」
「ぼく、
何もしてない!」
「それより先に、
謝ってよ!」
メイが、
私の前に立ちはだかった。
私は、
震える声で答える。
「……糸を、
食べたんだ」
「この人の体に、
絡みついてたやつ」
「糸だと?
どんな糸だ!」
「ふざけたこと言ってないで、
ちゃんと説明しろ!」
——その時だった。
「おい……
おい」
「あのガキの目が……」
周囲が、
ざわつき始める。
「本当だ……
赤い目に、
輪の模様……」
「あの人の目と、
そっくりだ」
「まさか……
あの人と同じ目だなんて……」
メイが、
私の手をぎゅっと握った。
「お兄ちゃん、
あの人たち変だよ」
「お家に帰ろう?」
「おじさんたち!」
「今のこと、
全部ママに言うからね!」
——あの日以来、
私は母にひどく叱られ、
メイと二人で、
二度とカエルの道へ
行くことはなくなった。
「本当です」
「あの子が、
カズヤを救いました」
「あのガキは、
普通じゃない」
「確かに、
あの方と同じ目をしている」
「赤い糸、
青い光……」
「我々には理解できなかったが、
確かに、
あの方と同じものが
見えているようだ」
しばらくの沈黙の後、
低く、
重い声が響いた。
「マガツ様」
「あの小僧の情報を突き止めました」
「名は、
ジョディ」
「尾行し、
住んでいる場所も
確認済みです」
「……ついに、か」
マガツの口元が、
ゆっくりと歪む。
「聖者の短命の呪いを、
解けるかもしれんな」
「ジョディ、
だったな」
「必ず、
生きたまま連れて来い」
——トントン。
「ママ」
「外に……
変なおじさんたちがいるよ」
扉の向こうから、
声がした。
「失礼します」
「少し、
お話を伺っても
よろしいでしょうか」




