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ネジレン  作者: yoii
1/10

カエルの道

「ジョディ、そろそろ行かないと。

 学校、遅れちゃうわよ……」


「今日は何して遊ぶ?」


「昨日勝ったチームがおやつもらえるの、知ってるよね?」


「君は負けたチームでしょ……」


 友達の声が、少しずつ遠ざかっていく。


「ジョディ。

 ママは畑に行かなきゃいけないの。

 弟の面倒、ちゃんと見ててね?」


「……」


「お兄ちゃん、私、退屈なの……」


「じゃあ今日は、保安官ごっこしようか?」


「保安官ごっこ……いいね!」


 保安官ごっこと言っても、

 名前が立派なだけで、ただの町歩きだ。


「私はかっこいい保安官~。

 村の平和を守ります~」


 幼いメイは、

 毎日同じ道を歩いているのに、

 いつも楽しそうだった。


「カエルの道だよ!

 お兄ちゃん、こっち行こう!」


 その道は、

 いつも泥水が溜まっている。


 ところどころにある石を踏まなければ、

 靴も足も、

 すぐにびしょ濡れになる。


 石をポコポコと跳ねながら

 進まなければならないその様子が、

 カエルみたいだから。


 それが、

 メイがこの道につけた名前だった。


 カエルの道を抜けた先に

 広がっていたのは、

 とても広い野原だった。


 この野原では、

 訓練中のセイシャたちを見ることができる。


 セイシャ。


 それは文字通り、

 神に選ばれた存在たちだ。


 彼らは体から、

 青……いや、

 灰色がかった何かを放っている。


 的が一つ、

 また一つと砕けるたびに、

 その光はさらに大きくなっていった。


 それだけではない。


 セイシャたちの体には、

 赤い糸が巻きついている。


 不思議なことに、

 その糸は母にも、

 メイにも、

 友人たちにも、

 そして――

 私の体にも巻かれていた。


 だが、

 特にセイシャたちの体には、

 圧倒的に多くの糸が絡みついている。


「お兄ちゃん、

 また一人で変なもの見てるの?」


 そう。


 奇妙なことに、

 それは私にしか見えないらしい。


 私は、

 友達とは目が違う。


 赤い瞳に、

 不可解な模様が浮かんでいる。


 両親も、

 メイも、

 私とは違う目をしている。


 ――いや、

 違うのは私のほうだ。


 母は、

 私の目を見るたびに、

 決まって知らない誰かの話をする。


 三羅……だったか。

 名前は、よく分からない。


 ――クァクァガン。


 光が閃き、

 激しい風が吹き荒れた。


 目を開けると、

 野原の中央に、

 巨大な穴が空いていた。


「助けてくれ!

 誰か、早く!」


 一人のセイシャが必死に叫び、

 腕の中には、

 別のセイシャが倒れている。


「お兄ちゃん、行こう!」


「行かないで、メイ。

 危険だ」


「助けを求めてるんだよ。

 私たち、保安官でしょ?」


 メイは私の手を振りほどき、

 セイシャのもとへ駆け出した。


「メイ、

 一緒に――!」


 ――ドキドキドキドキドキドキ。


 倒れたセイシャの心臓は、

 異常なほど激しく鼓動していた。


「ガキども、出てこい!」


『はっ』


 倒れたセイシャの体には、

 あまりにも多くの赤い糸が

 絡みついていた。


 誰かに命じられたわけでもない。


 今まで、

 そんなことをしたこともない。


 ――ただ、

 そうすべきだと思った。


「ガキども、

 出てこいってんだ!」


 私は、

 赤い糸をひと掴み掴み、


 そのまま、

 口の中へ放り込んだ

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