表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/96

93 鬼力

『ここで死ぬるが良い。【海神世界】』


 ゴポッという水音が聞こえ、潜ったハズの海中から水が消えていく。

というよりも、水の要素が書き換えられ、水の中なのに呼吸ができ、水の中なのに浮力が無くなっていく。

 重力に従い、海底に近づき、一定の距離で地面のように止まった。

およそ半径100mほどの球状の空間。

 ディープロクスを中心として形成されているその不思議空間は、まるでジ○リ映画の世界。


『この空間内で我のステータスは1.5倍。常時HP回復と魔力消費が半分に魔力常時回復。』

「ふ、ふぅん……」

『触れて発動するスキルも、この空間内なら遠隔発動できる。』

「へぇ……」

『ちなみに、これはただの自慢ではなく、相手に情報を与えることでその効力を向上させる【魔陣】を組み込んでいるからだ。』

「……ソウデスカ」


 水の中ということに変わりはないので見た目には表れないが、リュウコは現在全力で冷や汗を掻いている。

 普通に、ここまでの事というのは予想外。というか、普通に舐めていたことを理解する。


『ここでなら確実に貴様を殺せるぞ。悪魔』

「ぁ?」

『我はこの日まで、ずいぶん長かった。何百年も……』


 突然妙なことを呟いたかと思うと、少しずつ、ロクスの気配が、雰囲気が変わる。

 水中の魔力がロクスに掻き集まっていくのを感じる。

 つまり、まだ何かある。


「『強化』『死之』『殺之』『宝之』『界之』『魂性体』」


 培ってきた力を総動員するが、魔法使いのようにはいかない。

リュウコの使う力は全て身体能力の向上がメイン。放出のようなものもあるが、しかし基本は身体強化。それが一番強いと思うから。

『陣』『術』『装』『紋』の四種の中で、『装』が飛びぬけて強く、『術』が『陣』と『紋』より頭一つ抜けて強い。そんな適性の相関図。


「『魂装』『魔力天鎧』『魔魂世界』」


 ロクスの使った『海神世界』と似たような名前だが、『魔魂世界』は全くの別物。リュウコの魂を強く意識し、その形を体全体に行きわたらせ、血のめぐりのように循環させる。

 そうすることによって、より強く体を保つことができる。

 つまり、これも前段階。


「覇技・鬼神」


 全身から立ち上る真っ赤なオーラ。

それは、これまでリュウコの学んできた力とはまるで違うもの。

 リュウコ独自の技術。それを『鬼力』と名付け、最奥義とすることにした。


 その理由はたった一つ。


―――ビキキッ


 いくつもの身体強化の魔法を使ったというのにも関わらず、既に骨がヒビ入り軋んでいる。

 『覇技・鬼神』を発明した瞬間、試しに使ったリュウコの腕は爆裂粉砕骨折した。空気の壁を多関節でぶち破ったのかってくらい盛大に爆発した。

 つまり、それだけの負荷がかかる技。


「なんかさぁ。この世界、俺の知らない知り合いが多いみたいでさぁ。お前もそのクチ?」

『ふふ、今こそ。決着の時。』

「でさぁ、そういうやつに限って人の話聞かないんだよね。」

『いざ参るッ』


 ロクスは、全身に『紋』のようなものを光らせ、今までにないほどの加速で突進してくる。

 しかし、そのまま体当たりするようなことはせずに、距離を詰めてコンパクトな打撃を繰り出して来た。

 抜群の破壊力に見合ったダイナミックな攻撃を交え、時にフェイントや小回りの利いた打撃でリュウコの呼吸を殺してくる。

 『鬼神』の効果で動体視力も上がっているが、そうでなければものの数秒でKOされているということ。


『【魚竜双拳】』

「【真魂破】」


 金属音のような打撃音が響き渡る。鯨の声のようなよく伸びる音が、空間に反響して止まらない。

 リュウコとロクス。それぞれの力は互角に見えたが、しかし。

常に回復できているロクスに対して、リュウコは逆に時間をかければかけるほど自壊する。

 決着がつくのは時間の問題。


「【双魂手】」

『【魚影手】』


 物理的に手数を増やそうと、魂力で腕を増やしたのにも対応する。

魚の影のようなものが集まり、ロクスの腕となった。

 それどころか、ロクスの腕は六本に、リュウコは四本と、普通に数で負けている。

 削岩機の様な音が響き渡り、徐々にだがリュウコが押され始めた。


――――ガガガガガガガッ


 少しずつ、少しずつ体に攻撃が届きはじめ、少しずつ、自壊以外のダメージが増えてきた。


 意識の隙間で【海神世界】を解除させることができたら、どうにかなるかもしれないという考えが生まれたが、リュウコはそれを秒で破棄した。


 なぜなら、それはロクス相手に勝ったことにならないから。

甘えを忌避しろ。常に最悪に向き合い、勝つことだけを考える。

 妥協は悪と、リュウコの中のヤバいやつが囁きかけてくる。


「【鬼拳】!」

『むっ』


 鬼力の大半を拳に集中させる。

腕の骨がそれはもう爆竹を埋め込んだのかというくらいの勢いで破裂しているが、お構いなしに力をためる。

 鬼力を貯めている右手以外の三本の腕で、ロクスの六本腕を相手し、その一瞬を見極める。


「——だぁああありゃぁあああああ!!!!」

『ぬぉぉぉぉおおおおおおお!!?』


 逆転は一瞬の出来事。

とはいえ、リュウコも満身創痍のボロボロ。

 ロクスの胴体、鳩尾を中心に、リュウコの腕が突き刺さっている。

破壊された風穴は、リュウコの腕よりも一回り大きく、そこから徐々に崩壊が広がっている。


『ぬぅ……まだ、まだだ。』


 そう言って無理矢理動かそうとするロクス。【海神世界】の影響なのか、崩れている体組織と同時に、再生している部分も存在している。 

 つまり、ロクスとの闘いはまだ終わっていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ