表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/84

82 海の魔法少女

 中央大陸の端にある海。そこは長らく魔物の棲み処だった。RPGなんかと違い、魔物も生物としての生態系があり、かつ魔物特有の狂暴性がその進化を早め、常に弱肉強食の魔境となっていた。

 そのため、海という食の宝庫すら魔物の領域で、人が住むのにはあまり向いている土地ではなかった。


 しかし、土地に人が住むのにはいくつもの理由が重なる。

少なくとも、その漁村は魔物の領域の中でも、弱い方の魔物が多い場所だった。


 だからこそ、人が死ぬとしても漁に出て魚を捕り、どうにかして今まで残ってこれた。

 この世界で魔物が出現して以降、海ではほとんどの種類の魚が絶滅し、今残っているのは細身ですばしっこい小魚ばかりである。


 前置き終了。

 そんな村で、突然現れた若くて強い男。

リューは出自も不明で名前も嘘くさい、しかし、リューが来てくれたおかげで、村はかなり豊かになった。

 小さく身が少ないが、海の魔物が減ったからか量が増えていった。

村の救世主、そんな風にみんなが言っていた。


 若い女は、リューに恋人がいても群がっていったし、男は嫉妬と同時に尊敬のまなざしを送っていた。

 老人は有難がって手を合わせるし、子供は一緒に遊ぼうとする。


「リュー!うちに寄って行ってよ!」

「リュー!今度手合わせしてくれ!」

「リュー……いつもありがとうね。」

「リュー!追っかけっこしようぜ!」


 そんな人気者リューとは対照的に嫌われている者もいる。


「リュー!早く帰るわよ!」


 彼女の名前をリサ。リューと共に漁村の外れに住んでいるが、村人との交流はまるで無い。基本的に山の家にいて、こうやってリューを連れて帰る時に村に来るだけだった。

 リサがいると、リューと過ごす時間が減る。

 リサの事は、誰も何も知らず、家で何をしているのかも分からない。


 リューが受ける不信感の全てを、リサが負う形になった。


 日常的には何も問題は無く、村は日に日に活気づいて、リューがいる限りリサに対してあからさまに嫌な態度をとる住民もいなかった。


 話を戻して、海の魔物について。

大陸を囲んでいる海は殆どつながっており、常に魔物たちの魔窟状態、強い魔物が大きく広い海を支配し、弱い魔物は淘汰される。


 リューが大量に魔物を倒したことで、その他の地域にいるそこそこ弱いけど、普通に強いくらいの魔物が流れ込んできている。

 リューが戦う魔物は、これから先も少しずつ強くなっていく。

問題は、記憶をなくしているリューが、どこまで対抗できるか。

 魂力も宝力も、無意識下でしか扱えていない今の状態で。

そして、


「リュー!私のうちに遊びに来てよ。」

「リューさん、一緒に散歩にでも……行きませんか?」


 この二人は、リューに近づく女性の内、最も有力な少女たち。

 一人目の名前はサティ。

 リサに近く少し強引で、勝気な少女、リューと歳も近く身長で言えばほとんど同じくらい。

 実は、村に来たばかりでまだ歓迎されていなかった頃のリューに目を付けていた。


 二人目の名前はミリ。

 大人しく控え目な性格で、あまり前に出ようとする性格ではないのだが、リューに関わることになると積極性が高まる。リサとサティの二人の隙を見て、二人きりになろうとするところなど、もはや狡猾と言っていい。

 二人には無い武器があるというのも、強みになっている。


「ちょっとアンタたち……人のオトコに色目使ってんじゃないわよ……」


 髪が逆立つリサ。それは比喩表現ではなく、立ち上る魔力によって上昇気流にも似た現象が起きているということ。

 魔力そのものに攻撃性は殆どない、どんなものも使い方次第で暴力の要因になるというのが【無】属性というだけで、魔力だけで傷つく例はほとんどない。

 しかし、魔力というのは圧を発する。蒸気の熱気で火傷するように、魔力の圧は精神に直接のしかかる。

 リサの常人離れした魔力には、二人合わせても敵わず、だからこそリサのいない時にこそ本気での誘惑を試みる。


 しかし、今日の二人は少し違った。


「リサ!もうアンタの魔力にビビることは無いわ!」

「そ、そうです!」

 

 サティは右手、ミリは左手に、それぞれ篭手のようなものを付けている。

手の甲に数個、魔法陣のようなものが浮かんでいる宝石が埋め込まれている。


「これがあればアンタなんて!」

「敵じゃ……ありません!」


 二人は篭手を装着している手を天高く掲げる。その姿からは、今までの二人とは違う強い魔力を感じる。


「「装着・メルトスティグマ!!」」


 二人の体は虹色の光に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ