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悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


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77 ウラノ×キミト


(長いな)


 暗い上にやたら長い穴。

一切狭くなることは無いため、今のところ入っていくことに支障はない。

しかし、あまりにも長い。

 目のドール越しに見ているキミトの体感で200メートルは地下に潜っている。


 ふと、突然穴の壁がなくなる。

それは、穴の先にある巨大な空間に到着したということ。

 ドールの視界は、光をよく捉えるため、穴から覗く少しの光で、洞窟内はギリギリ見えている。


 そして、内部が見えたドールと、それを操作しているキミトは完全に硬直した。


(なんだアレ!!)


 直径500メートルほどの、どうやって作ったのか分からないような球形のドーム。

 その中心にあるのは、大量の仮面で構築されている木のようなモノ。

その幹にあたる部分には、佐藤(兄)の姿と、二人分の人影を確認。


「ん?侵入者?」

「どこだ?」

「おぅ、アレ。」

(やバッ!?)


 ドールの見た人影は、阿吽の呼吸でドールを確認し、当然のように魔力の弾丸で狙撃してきた。


 それが、ドールの見た映像の最後。


◇◆◇


「な、なんなんだ、あいつら。」


 ドール越しに見た二人は、1人はまるでモグラのような見た目をしていた。

もう一人は、少ししか見えなかったが、コウモリのような見た目だと感じた。


「ご、合流、シオンさんと合流しないと。」

「うん、じゃあ次は何をする?裏乃君。」

「へひぃっ!?」


 蹲っていたし、ドールの視界に集中していたから気づかなかったが、シオンは既にキミトの近くまで来ていた。


「ここの地下、大体200メートルくらいのところに空間があって、そこに敵二人と、佐藤君が囚われてる。」

「うん」

「モグラと、コウモリみたいな魔物?だった。人みたいな二足歩行で、意志疎通ができているように見えた。」

「そう」

「仮面の生えた枝は五つ伸びてて、近くに捕らえられていた人が気絶している。地下にあった本体を叩くしかない。」

「わかった。」


 単調な返事に違和感を覚えて、再びシオンの顔を見たキミトは、その表情にゾッとする。

 今が夜だからとかではない、異常で黒い笑顔を浮かべたシオン。


「じゃ、その地下を壊せばいいんだね?」

「え?あぁ、え?まさかっ!?待って!」

「『銀景・雪世界』」


 キミトの静止も聞かず、シオンは魔法を発動する。

それは、キミトを氷漬けにしたときよりも繊細な魔力の精度で行使され、穴の中深くまでを氷で埋め尽くしてしまった。

 シオンは、キミトに話を聞くよりも早く穴の存在に気づき、城内に張り巡らせていた魔力の残りと追加の魔力をその穴の中に充填させていたのだ。


「う、そだろ。ぉおい!?佐藤君も中にいるんだよ!?」

「うん。だから木は凍結弱めだよ。魔力はあるけど、ここからの作業は慎重にいくから、速く立って。」


 そう言ってキミトに手で触れたシオン。

背中に当てられた手から、膨大な魔力が注がれる。


「ぅううおおおおお!?!」


 それは、キミトの魂力に作用して滲み出た極小の魔力であるが、今のキミトの器には多すぎる魔力だった。

 それと同時に体力を全快させられたキミトは、自身の足で立ち上がる。


「どういうことか説明してくれる?」

「面倒だから言った通りにして。」

「はい。」


◇◆◇


 二人は穴の近くに到着すると、それぞれ決めた役割を始める。

シオンは、地下で作っている丸フラスコ型に近い形状の氷を高速回転。それと同時に周囲の地面を凍結させて補強し、中心の木と敵であろう反応に届かない程度に、氷の外周を融解させる。


 キミト【無】属性魔法をふんだんに使い、大量の分身を穴を囲むように配置する。

 穴は小さいが、中の空間は広く、溶けた後の塊でも最低直径100メートル分の大きさとなる。

 それをそのまま引き上げると地面の隆起と沈下の影響で城そのものに被害がでる。

 それを回避するため、キミトは地面に起こる影響をとにかく少なく必要がある。

 

「『圧縮』『圧縮』『圧縮』」


 少しずつ、少しずつではあるが、地下200メートルまでの地面を円形

分離させ、その断面を圧縮することで補強していく。

 通常であれば、数分程度で魔力が枯渇するが、それもシオンが魂から魔力を絞ってくれるため、溢れてくる魔力で問題なく解決できる。


 これによって、地面は大きな土の塊として取り出すことが可能となる。

100メートルの円柱状の土、それを、これまた大量の分身による強力な【無】属性魔法の『念力』で持ち上げる。

 本体の氷塊はシオンが引き上げる手はずになっている。


土部分は問題なく引き上げられ、それと時を同じくして城内の仮面被害に遭わなかった騎士の一部が庭に出てきた。

 分身の一体によって説明を受けているが、ざわめきは止まらない。

そして、穴の更に下から、月の光を反射している大きな塊が出される。


 すべてが順調。一件落着まであと一歩。そういう時に限って、予想外のことは起きるもので


「ぁ……」

「?これは?」


 シオンの声に反応したキミトの本体が氷の中を視る。

魔力の反応が三つあって、それは佐藤とコウモリとモグラのものであるはずだったのだが。


「ゃばいっ!警戒!戦闘態勢を整えて!」


 そこにあったのは、魔力を放っているだけの人型の人形二体と、幹の中に埋もれている人形が一体だけだった。


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